芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています

芸能人の幼なじみと、ナイショで同居しています

last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-11
Oleh:  藤永ゆいかBaru saja diperbarui
Bahasa: Japanese
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萌果は小学生の頃、弟のように可愛がっていた幼なじみの藍に告白されるも、振ってしまう。 その後、萌果は父の転勤で九州に引っ越すが、高校2年生の春、再び東京に戻ってくる。 萌果は家の都合でしばらくの間、幼なじみの藍の家で同居することになるが、5年ぶりに再会した藍はイケメンに成長し、超人気モデルになっていた。 再会早々に萌果は藍にキスをされ、今も萌果のことが好きだと告白される。 さらに「絶対に俺のこと、好きにさせてみせるから」と宣言されて……? 「ねえ、萌果ちゃん。俺も男だってこと、ちゃんと分かってる?」  芸能人の幼なじみと、秘密の同居ラブストーリー。

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第1話

「ねぇ、萌果(もか)ちゃん。俺も男だってこと、ちゃんと分かってる?」「え?」開いたカーテンから、オレンジ色の光が射し込む部屋。唇が触れ合いそうな至近距離で、妖艶な笑みを浮かべているひとりの男子。私の幼なじみで、今をときめく超人気モデルの久住 藍(くすみ らん)。私は今、幼なじみの藍の部屋のベッド上で彼に抱きしめられている。「もしかして、俺に襲って欲しくてここに来たの?」「ひゃっ……」背中に回されていた手がそっと腰へ下りていき、思わず声が漏れる。「ふふ、可愛い声だね。もっと聞かせてよ」今、目の前にいるのは……一体だれ?藍は私にとっては、ずっと弟みたいな存在で。昔は泣き虫で、いつも私のあとをついてきて。決して、こんなことを言ったりする子じゃなかったのに……!ことの始まりは、今から1ヶ月ほど前に遡る。*高校1年生の3月上旬。「実はな、この春から東京への転勤が決まったんだ」夕食後。自宅のリビングで家族3人でお茶していると、お父さんが突然そんなことを口にした。「えっ、転勤!?」予想外の言葉に私は、手に持っていたクッキーをうっかり落としそうになる。転勤ってことは、学校を転校するってことかあ。せっかく仲良くなれたキコちゃんたちとも、離れ離れになっちゃう。「……」「どうした?萌果。嬉しくないのか?東京に戻れるんだぞ?」私が黙りこんでしまったからか、向かいに座るお父さんが心配そうな顔でこちらを見つめてくる。私たち家族は、元々東京に住んでいたのだけど。今から5年前。お父さんの働く会社が、新たに福岡に支店をオープンさせることになったため、お父さんが東京の本社から異動になりこの地にやって来た。生まれてから11年間ずっと東京で暮らしていた私は、慣れない九州の土地に最初は戸惑ったけれど。キコちゃんやミチちゃんという仲の良い友達もできて、5年間それなりに楽しくやっていた。だから、離れるとなるとやっぱり寂しい。「ねぇ、萌果。東京に帰ったら、久しぶりに藍くんにも会えるじゃない」お母さんの言う『藍くん』とは、東京にいた頃に家の近所に住んでいた幼なじみの男の子。「まあ、そうだけど……」私には、幼なじみの藍との再会を素直に喜べない理由がある。...

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37 Bab
第1話
「ねぇ、萌果(もか)ちゃん。俺も男だってこと、ちゃんと分かってる?」「え?」開いたカーテンから、オレンジ色の光が射し込む部屋。唇が触れ合いそうな至近距離で、妖艶な笑みを浮かべているひとりの男子。私の幼なじみで、今をときめく超人気モデルの久住 藍(くすみ らん)。私は今、幼なじみの藍の部屋のベッド上で彼に抱きしめられている。「もしかして、俺に襲って欲しくてここに来たの?」「ひゃっ……」背中に回されていた手がそっと腰へ下りていき、思わず声が漏れる。「ふふ、可愛い声だね。もっと聞かせてよ」今、目の前にいるのは……一体だれ?藍は私にとっては、ずっと弟みたいな存在で。昔は泣き虫で、いつも私のあとをついてきて。決して、こんなことを言ったりする子じゃなかったのに……!ことの始まりは、今から1ヶ月ほど前に遡る。*高校1年生の3月上旬。「実はな、この春から東京への転勤が決まったんだ」夕食後。自宅のリビングで家族3人でお茶していると、お父さんが突然そんなことを口にした。「えっ、転勤!?」予想外の言葉に私は、手に持っていたクッキーをうっかり落としそうになる。転勤ってことは、学校を転校するってことかあ。せっかく仲良くなれたキコちゃんたちとも、離れ離れになっちゃう。「……」「どうした?萌果。嬉しくないのか?東京に戻れるんだぞ?」私が黙りこんでしまったからか、向かいに座るお父さんが心配そうな顔でこちらを見つめてくる。私たち家族は、元々東京に住んでいたのだけど。今から5年前。お父さんの働く会社が、新たに福岡に支店をオープンさせることになったため、お父さんが東京の本社から異動になりこの地にやって来た。生まれてから11年間ずっと東京で暮らしていた私は、慣れない九州の土地に最初は戸惑ったけれど。キコちゃんやミチちゃんという仲の良い友達もできて、5年間それなりに楽しくやっていた。だから、離れるとなるとやっぱり寂しい。「ねぇ、萌果。東京に帰ったら、久しぶりに藍くんにも会えるじゃない」お母さんの言う『藍くん』とは、東京にいた頃に家の近所に住んでいた幼なじみの男の子。「まあ、そうだけど……」私には、幼なじみの藍との再会を素直に喜べない理由がある。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-10
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第2話
私、梶間(かじま)萌果と久住藍は幼なじみで、生まれたときからずっと一緒にいた。私は4月生まれで、藍は3月生まれ。同じ学年だけど、その差は1年近くある。だから、私は藍のことはずっと弟のような存在に思っていた。藍は男の子だけど、甘えん坊で。その上、怖がりの泣き虫で。『萌果ちゃん、待ってよぉ』小学校の低学年くらいまでは、いつも私のあとをついてきていた。藍は、目が大きくくりっとしていて。子どもながらに整った綺麗な顔立ちをしていて、天使のように可愛かった。でも、髪の毛が長くて見た目が女の子みたいだった藍は、幼稚園時代よく女子からいじめられていて。私が藍を守ってあげたりもしていた。藍が道で転んで怪我をしたら、絆創膏‪を貼ってあげて。お昼寝をするときは、添い寝もしてあげた。そんな藍に、私は弟以上の感情を抱くことはなかった。だから……。『あのね、実は僕……萌果ちゃんのことが、ずっと好きだったんだ』『……ごめん』小学5年生の3月。私が福岡に引っ越す前の日。私は藍に告白されたけど、断ってしまった。『えっ、どうして?萌果ちゃん、僕のこと嫌いなの?』藍の大きな瞳には、涙が溜まっている。『嫌いじゃないよ。藍のことは好きだけど……藍は家族っていうか、弟みたいに思ってたから。藍のことを、そんなふうに見たことがなかったの。だから、ごめんね』『弟……』藍はショックを受けたような顔でポツリと言うと、ボロボロと涙を流しながらその場から走っていってしまった。ああ、やってしまった。藍のことを泣かせてしまったという罪悪感が、私を襲う。だけど、曖昧な答えで相手を期待させるのも良くないし。何より私は、明日にはこの地を離れる身。だから、藍には悪いけどきっとこれで良かったのだと、11歳の私は自分に言い聞かせた。翌日。私は家族で福岡に引っ越し、それから藍とは会うことも連絡をとったりすることもなかった。そして、私が福岡に引っ越してから数年後。中学2年生のとき、私は人伝に藍が芸能界デビューしたことを知った。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-10
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第3話
「ねぇ。萌果も一緒に見ない?」藍がファッション誌のモデルになったと知ってから、お母さんは嬉しそうに藍が載っている雑誌を毎月必ず買う。藍が専属モデルを務めるのは、高校生から大学生あたりをターゲットにした、人気メンズファッション誌だ。これまで数々の人気俳優を輩出し、芸能界の登竜門とも言われるような有名ファッション誌の表紙を、藍はデビューからわずか数ヶ月で単独で飾るようになった。それくらい、藍の人気はうなぎ上りだった。「ほら!今月の藍くんも、かっこいいわよ〜」お母さんは、にんまりとした笑顔で雑誌の表紙を私に向ける。表紙には、クールに微笑む藍の顔が。それを見た私は、素直にかっこいいと思った。藍は顔の全てのパーツが整っていて、中学生とは思えないくらいに大人びている。昔は、女の子と間違われちゃうくらいに可愛かったのに。会わない数年の間に藍も成長して、見た目がすっかり“男の子”になったんだな。そう思うと、なぜかほんの少しの寂しさを覚えた。九州に引っ越してから、藍と会うことはなかったけれど。お母さんが藍の載ってる雑誌は、毎月欠かさず買っていたから。私もこっそりと、それをいつもチェックしていた。離れたところで、幼なじみがモデルとして頑張っていると思うと嬉しかったし、私も藍に負けないように勉強を頑張ろうって思えた。*それからさらに数年が経ち、現在。高校2年生の春。お父さんの転勤が決まり、家族みんなで再び東京に戻ってくることになった。ただ、今回の転勤は急に決まったことだったから。引っ越しの準備とか、仕事の引き継ぎとか……まだ、しばらくかかりそうってことで、私だけ学校の都合で一足先に戻ってくることになった。お父さんたちは、最低でも1ヶ月はこっちに来られないみたい。昔住んでいた一軒家がそのままあるから、私はそこでしばらくひとり暮らしかなと思っていたら。高校生の娘のひとり暮らしは心配だと両親が口を揃えて言うため、その間私は近所の幼なじみの家で居候させてもらうことになった。そう。幼なじみでモデルをしている、藍の家で──。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-10
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第4話
引っ越し当日のお昼すぎ。新幹線で東京まで来て、そこから電車に揺られて数十分。私は、地元の最寄り駅に到着した。「うわあ、懐かしい~!」大きなスーツケースを引きながら歩いていると、幼い頃に藍とよく一緒に遊んだ近所の公園の前を通りかかった。大きな桜の木も、ブランコも滑り台も。何もかも、全てあの頃のまま。あの赤いブランコに、藍とよく乗ったなあ。あの鉄棒で、藍と一緒に逆上がりの練習をしたこともあった。ほんと懐かしすぎる。足を止めしばらく昔を懐かしんだあと、私は再び歩き始めた。公園を過ぎると、あと数分で久住家に着くため、私の胸のドキドキは最高潮に。お母さんは福岡へ引っ越したあとも、藍のお母さんと連絡を取り合っていたみたいだけど。私が会うのは引っ越して以来、実に5年ぶりだから。いきなり一人で向かうなんて、いくら何でも緊張するよ……。しかも私は小学生の頃、勇気を出して告白してくれた藍を振ったんだから、一体どんな顔をして会えばいいんだろう。ばくんばくんと、大きくなる胸の鼓動を感じながら歩いていると、あっという間に目的地に到着した。ツートンカラーの外壁と、片流れ屋根が印象的な外観のごく一般的な二階建て一軒家。お庭には、色とりどりの花がたくさん咲いている。──ピンポーン。私が緊張しながらインターフォンを押すと、中から明るい声が聞こえてきた。「もしかして、萌果ちゃん!?会わないうちに、随分と大人になってぇ」ドアが開いた先にいたのは、綺麗な女の人……藍のお母さんの橙子(とうこ)さんだった。私が小学生だった頃から見た目がほとんど変わらず、今も若々しくてキレイ。「待ってたのよ。さあ、入ってちょうだい」橙子さんは私の荷物を持つと、私の手を引いて玄関へと招き入れる。最後に来た5年前と変わらず、家の中は甘いフローラルの良い香りがする。この香りを嗅ぐと、藍の家に来たんだって改めて実感する。靴を脱いで通されたのは、広いリビング。観葉植物や、オシャレなインテリアが並んでいる。「荷物の段ボールはもう着いてるから、安心してね。先に、お部屋に運んでおいたから」「はっ、はい。あの、今日からお世話になります」私は、橙子さんにペコッと頭を下げた。「やだ、萌果ちゃん。久しぶりに会ったからって、そんなに畏まらないで?今日からしばらくは、ここが我が家だと思ってくつろいでね」「
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-10
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第5話
「えええっ!?わっ、私がですか!?」橙子さんの思わぬ頼み事に、私は素っ頓狂な声を出してしまう。ちょ、ちょっと待って。藍を起こしてって、さすがにそれはちょっと……気まずいというか、何というか。「もしかして、萌果ちゃん。5年前に藍が、あなたに告白したときのことを気にしてるの?」「えっ!橙子さん、藍の告白のこと知ってるんですか!?」「そりゃあもちろん、親だもの。あの子、萌果ちゃんに振られたあと、わんわん泣きながら家に帰ってきて……」「うう。あのときは、すみませんでした」急に申し訳なくなって、私は橙子さんに頭を下げる。「告白を受けるも受けないも、萌果ちゃんの自由なんだから。気にしなくていいわよ。あれから5年経ったし。藍ももう、とっくに吹っ切れてるわ」橙子さんが、私の肩にポンと手を置く。「藍ね、あれからずっと萌果ちゃんに会いたがっていたのよ?」「そうなんですか?」「ええ。だから、萌果ちゃんが起こしに行ってくれたら藍もきっと喜ぶわ。萌果ちゃん、お願いできる?」「はい。わかりました」 橙子さんに返事すると、私は2階へと続く階段をのぼった。自分は居候させてもらう身だから、断れずに引き受けたっていうのもあるけど。藍が私に会いたがっていたと橙子さんから聞いて、やっぱり嬉しかったから。階段をのぼりきり、廊下を歩いて一番奥が藍の部屋。橙子さんにOKしたとはいえ、藍とは5年ぶりに会うから。藍の部屋の前に立つと、やっぱり緊張する……!──コンコン。意を決してノックしてみるけど、ドアの向こうからは返事がない。橙子さんがグッスリだって言ってたから、さすがに起きてるってことはなかったか。「お邪魔しまーす」声をかけると、私はドアを開けて藍の部屋へと足を踏み入れる。開いたカーテンから陽が射し込む部屋は、オレンジ色に染まっていた。ベッドで仰向けに寝ている藍に、私はそーっと近づく。「綺麗……」思わず口からこぼれた言葉。だって、藍の寝顔がすごく綺麗だったから。藍のチョコレート色のサラサラの髪が、窓から入ってくる風で揺れる。藍はまつ毛が長くて、肌も透き通るように白くて。寝顔ですら美しい。さすが、モデルをやっているだけあるよなぁ……って、まずい。見とれている場合じゃなかった。私には、藍を起こすという大事な使命があるんだった。「ら、藍……?」そっと声をかけ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-10
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第6話
状況を理解した私は、身体を左右に振ってどうにか脱出を試みるけど、その力はとても強くて抜け出せそうもない。私は身動きひとつ取ることができず、藍の腕の中でしばらく息をひそめていると。「……ねぇ。俺の部屋に女の子ひとりで来るなんて。もしかして、俺の寝込みを襲いに来たの?」へ!?頭上からいきなり声がして、私が顔を上げると。さっきまで寝ていたはずの藍が、いつの間にか起きていた。「らっ、藍!目が覚めたの!?」「うん。実は、少し前から目が覚めてたんだけど、気づかないフリしてた」「え、どうしてそんなこと……」「ずっと離れて暮らしてた萌果ちゃんが、俺のそばにいるなんて夢みたいで。嬉しかったから」藍……。「久しぶりだね、萌果ちゃん」私を見てニコッと微笑んでくれるその顔は、小学生の頃の面影があるけれど。数年ぶりに聞いた声は、声変わりを経てずいぶん低くなっている。「ほんと、久しぶ……っ!?」『久しぶり』と、私が最後までちゃんと言えなかったのは、言葉の途中で藍が私の唇を塞いだから。「ちょ、ちょっと藍!今……」「うん。萌果ちゃんとの再会を記念してのキスだよ」「へ!?」悪気のない様子で、ペロッと舌なめずりする藍。「さ、再会のキスって……何それ!」かああっと、顔全体が熱を持った。ていうか、今のが私のファーストキスだったのに!「なに?その反応……もしかして、今のが初めてだった?」「……っ!」図星をつかれ、私は言葉につまる。「ねぇ、萌果ちゃん。俺も男だってこと、ちゃんと分かってる?」「え?」藍は再び唇が触れ合いそうな至近距離で、妖艶な笑みを浮かべている。「萌果ちゃんも、男の部屋に来るときはもっと警戒しなくっちゃ」け、警戒って。まるで、藍が危険みたいな言い方……。「それとも……もしかして、俺に襲って欲しくてわざとここに来たの?」「ひゃっ……」背中に回されていた手がそっと腰へ下りていき、思わず声が漏れる。「ふふ、可愛い声だね。もっと聞かせてよ」「あ……っ」藍の熱い唇が首筋に触れ、ゾクリと震える。ねぇ。今、目の前にいる人は……一体だれ?「萌果ちゃん、会わない間に綺麗になったよね」「……っ」サラッとお世辞まで言えちゃうなんて、こんなの私が知ってる藍じゃない。藍は私にとっては、ずっと弟みたいな存在で。昔は泣き虫で、いつも私のあとをつい
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-13
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第7話
藍の部屋を飛び出した私は、階段を急いで駆け下りる。ああ、どうしよう。慣れないキスをされて防衛反応みたいなものが出たのか、藍のことを殴ってしまった。藍のあまりの変わり様に動揺したとはいえ、いくら何でも殴るなんて。でも、好きでもない私にあんなに何度もキスするなんて、藍もひどいよ……!「あら、萌果ちゃん。藍は起きた?」プンプンしながら私がダイニングに行くと、橙子さんが声をかけてくる。「起きましたけど、あんな子は知りませんっ!」「……あんな子って。俺のことをそんな言い方するなんて、ひどいなぁ」「きゃっ!」人の気配がすると思ったら、いつの間にか藍が私のすぐ後ろに立っていた。昔は同じくらいだった身長も、今やすっかり伸びて私よりずっと高い頭の位置で驚く。「母さんに言われて俺を起こしに来てくれたのなら、最初からそう言ってくれれば良かったのに。何も言わないから、てっきり寝込みを襲いに来たのかと思っちゃったじゃん」「……っ!」さっきベッド上で藍に抱きしめられたときのことが、頭の中を過ぎる。「萌果ちゃん、なに真っ赤になってるの?」藍がニヤリと口角を上げた。「もしかしてさっきのアレ、思い出しちゃった?」わざとらしく藍が耳元に囁く。うう、耳に息が……!「はいはい。藍も萌果ちゃんに会えたのが嬉しいからって、いつまでもバカなことやってないで」橙子さんが、パンパンと手を叩く。「早くお夕飯にしましょう。せっかくのお料理が冷めちゃうわ。ほら、藍。あんたも早く手を洗ってきなさい」「はーい」橙子さんに言われ、藍が渋々といった様子で私から離れる。ふぅ。橙子さんのお陰で助かった……。それから、藍と橙子さんと3人で食卓を囲む。テーブルには、ご飯と味噌汁。デミグラスソースのハンバーグに、サラダが並ぶ。私は藍と向かい合って座り、私の隣には橙子さんが座っている。ああ。味噌汁が体にしみ渡るなぁ。豆腐とワカメの味噌汁を飲んで、私はほうっと息をつく。「橙子さんの手料理、どれも美味しいです」「そう?喜んでもらえて嬉しいわ」雑談をしながら橙子さんの手料理に舌鼓を打っていると、しばらくして家のインターフォンが鳴った。「はい?」「すいません、久住さん宛にお荷物が届いてます」来たのはどうやら宅配便のようで、橙子さんが玄関に向かったため、ダイニングには私と藍のふたりき
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-14
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第8話
「ねぇ、萌果ちゃん」「なっ、なに?」橙子さんがいなくなった途端、藍が話しかけてきた。さっきあんなことがあったからか、藍に声をかけられただけで変に身構えてしまう。「あのさ、ずっと気になってたんだけど。口の端のところに、ソースがついてるよ」「えっ!?」やだ。口にソースがついてるなんて、恥ずかしい。「ど、どこ?」「左のほう」藍が、自分の左唇の端を指でちょんとさす。私は自分の手でソースを取ろうとするも、なかなか取れない。「違うよ、萌果ちゃん。そこじゃなくて、もう少し上」私に場所を教えながらも、なぜかニヤニヤ顔の藍。「ねえ、藍。なかなか取れないんだけど……本当にソースなんてついてるの?」つい、藍のことを疑ってしまう私。「ごめん、萌果ちゃん。ソースついてるの、左じゃなくて本当は右なんだ」「え、右!?」私が慌てて右側に触れようとすると、その手を掴まれた。「俺が取ってあげるから。萌果は、じっとしてて」「う、うん」藍に言われたとおり動かないでいると、藍がこちらに身を乗り出してくる。鼻先が触れそうなくらいに彼の綺麗な顔が接近し、私が思わず目を閉じると。唇の端に、濡れた生温かいものが触れる感触がした。えっ。なに?今の……。「はい、とれたよ」藍に言われて目を開けると、藍がべっと舌を出している。「えっ、藍……もしかして今、私の唇を舐めたの?」「うん」「……っ!!」予想外のことに、私は顔から火が出そうになる。てっきり指で取ってくれるのかと思っていたら、まさか舐められるなんて!うう、こんなことされたら心臓に悪いよ……。「み、右についてるのなら、最初から素直にそう言ってくれれば良いのに!」「嘘ついてごめんね?萌果ちゃんがあまりにも可愛くて、つい意地悪しちゃった」意地悪って……。藍は人から意地悪されることがあっても、自分からはそんなことをする子じゃなかったのに。「もう!さっきのキスといい意地悪といい、誰にでもそんなことしてたら、嫌われちゃうよ!?」「……しないよ」「え?」「いくら俺でもこんなこと、好きな子にしかしない」す、好きな子って……至近距離で藍と視線がぶつかって、心臓がどくんと大きく音を立てる。「俺は、今も萌果のことが好きだから」うそ。藍が、今でも私のことを好き!?さっき橙子さんが、藍は小学生の頃の失恋からはもう吹
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-15
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第9話
数日後の朝。今日は高校の1学期の始業式で、私にとっては東京の高校への転校初日でもある。私は洗面台で顔を洗って、パジャマを脱いで。新しい制服に袖を通す。アイボリーのブレザーに、タータンチェックのスカートが可愛い。転校先をこの学校に決めたのは、家から徒歩圏内ということもあるけれど。一番は、小学生の頃から憧れていたこの制服が着たかったから。「おはようございます、橙子さん」「おはよう、萌果ちゃん」キッチンに行くと、橙子さんが朝食を用意してくれていた。部屋には、お味噌汁の良い香りが漂っている。「萌果ちゃん、今日は転校初日だけど。昨夜はよく眠れた?」「はい。お陰さまで……うわあ、美味しそう」テーブルの上には、ご飯と味噌汁、厚焼き玉子に鮭の塩焼きが並ぶ。今日は和食なんだ。ここに居候させてもらうようになって、まだ数日だけど。久住家の朝食は、その日によって和食だったり洋食だったりと違うから。今日は和洋のどっちかな?って、毎朝ひそかな楽しみなんだよね。「今日から学校だっていうのに。藍ったら、まだ起きてこないのかしら」橙子さんがお椀にお味噌汁を注ぎながら、二階のほうを軽く睨む。「あの。良かったら私、藍の様子を見てきましょうか?」「いいの?萌果ちゃん。それじゃあ、お願いしようかしら」「はい。任せてください」私は階段をのぼり、藍の部屋へと向かう。私が藍の部屋に行くのは、引っ越し初日にベッドで藍に抱きしめられたあのとき以来だ。──コンコン。「藍、起きてる?」「……ああ、うん」藍の部屋のドアをノックすると、私が引っ越してきたあの日と違って、返事があってホッとする。良かった、藍ちゃんと起きてた。「ドア開けるよー?」──ガチャッ。「あっ」「え?」ドアを開けた先には半裸の藍がいて、私は一瞬頭が真っ白になり、固まってしまう。えっ、うそ。藍……ハダカ!?「……っ、ご、ごめん!」我に返った私は、慌てて藍の部屋のドアを閉めた。そして、逃げるように階段を駆けおりる。見たのは一瞬だったけど。さっきの藍の程よく筋肉のついた胸元が、しっかりと目に焼きついている。藍って細く見えるけど、ちゃんと鍛えてるんだ。藍の上半身なんて、幼稚園や小学校の頃に何度も見たことがあるのに……今は、あの頃とは全然違ってた。「藍も、もうすっかり男の人なんだな」「そりゃあ、そうだ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-16
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第10話
「ねえ、萌果ちゃん。早くやってくれないと、学校に遅れちゃうよ」藍が、私の顔の横に手をつく。「高校2年生の初日から、遅刻してもいいの?」「それは……ダメ」「だったら、ネクタイ結んで?」それから私は藍の顔の近さにドキドキしながら、ネクタイをどうにか結んだ。「ありがとう。萌果ちゃんは昔から器用だから、ネクタイを結ぶのも上手だね」「そっ、そう?」少し意地悪もされたけど、人間褒められるとやっぱり嬉しいもんだな。「ということで、明日からもよろしく」よろしくって……まさか、これから毎朝藍のネクタイを結ばなきゃいけないの!?「それと、俺の職業柄、念のために萌果ちゃんがウチで同居してることは、学校では秘密ってことにしてね」藍が唇に人差し指を当て、パチッと片目を閉じる。……確かに。今女子高生の間で、藍の人気は凄いらしいから。もし同居がバレたりしたら、大変だよね。変な噂がたって、藍の人気が下がるのも良くないだろうし。「分かった。ここで暮らしてることは、秘密にする。絶対に誰にも言わない」「ありがとう」それから私と藍は時間差で家を出て、別々に登校した。高校は、家から徒歩20分のところにある。そして今は、学校の朝のホームルームの時間。「梶間萌果です。福岡から引っ越してきました」担任の先生から転校生として紹介された私は今、教壇に立って自己紹介をしている。転校生として、こうしてみんなの前に立つのは小学生のときに福岡に引っ越して以来、2回目だけど。やっぱり緊張する……。「小学5年生までは、ずっとこっちに住んでいたので、また戻って来られて嬉しいです。よろしくお願いします」ペコッと頭を下げると、パラパラと拍手が起こった。「それじゃあ梶間の席は、窓際の一番後ろな」「はい」担任の先生に言われて、私は窓際の一番後ろの席に着いた。「ねえねえ」ホームルームが終わると、さっそく隣の席の女の子が私に声をかけてきた。胸の辺りまで伸びた髪をゆるく巻いた、可愛らしい女の子。あれ?この子、どこかで会ったことがあるような……。「梶間萌果ちゃんって、久住藍くんと幼なじみだった……あの萌果ちゃんだよね?」え!?いきなり藍との関係を女の子に指摘され、私は肩が跳ねる。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-17
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