『輝く銀河系の彼方から来しトラベラー』ー古のタビ人―

『輝く銀河系の彼方から来しトラベラー』ー古のタビ人―

last update最終更新日 : 2025-03-09
による:  設樂理沙たった今更新されました
言語: Japanese
goodnovel16goodnovel
評価が足りません
6チャプター
20ビュー
読む
本棚に追加

共有:  

報告
あらすじ
カタログ
コードをスキャンしてアプリで読む

概要

現代

純愛

ハッピーエンド

天使

浮気・不倫

裏切り

三角関係

知紘と仲良く暮らしていた美鈴の結婚生活に暗雲が立ち込める。 いとも簡単に美鈴との絆を断ち切った夫・知紘。 悲しみと共に困惑するやらで、ネガティブになってしまう 美鈴の前に救世主が現れる。その人は金星からやって来たという 綺羅々だった。どうして、私にやさしくしてくれるの? よその女性に現を抜かす夫の知紘に見切りをつけ、亡き祖父母 が住まっていた古民家へと移住する美鈴。そこで偶然か必然か? 根本圭司という人物と知り合うことになる。 ふたりの男性と交流ができる美鈴の未来は、誰と? どこに? 向かうのだろう。 美鈴は過去世で金星にいた時、薔薇という名前で 存在しその時に嫉妬心に駆られた奈羅という女性から 嫌がらせを受けていた。

もっと見る

最新チャプター

無料プレビュー

◇幸せって 第1話

1昨日までのあたしは、平凡ながらも幸せだった。 大恋愛の末、結婚をした知紘《ちひろ》との暮らしに。……なのに、たった一日でグルリンパっとあたしの幸せが ひっくり返ってしまった。それはものの見事に。こんなことって、ある? びっくりし過ぎて涙も出やしない。 それは……ほんの小一時間ほど前の出来事。[今は夜時間]知紘が珍しく酩酊状態に近いぐらい酔っぱらって帰宅。 ドアを開けるなりいきなり、トーク炸裂。「ねね、聞いてぇー。うひひ、俺ってなんでこうモテちゃうんだろねー」「チーちゃん、気をつけて。こけそうだよ」知紘が片手を壁について、靴を脱ごうとしているんだけど、 身体がふらついていて危うい。それでも話は止まらない。「俺さぁ~、田中真知子さんからデート誘われたんだぜ。 あーっ、モテてごめんねっ。うひひっ。 あっ、おいっ、そこのおばさん、嘘じゃないぜっ。 信じてないなぁ~。ちよっと待ってみ……」 くだらないことを言いながら知紘がふらふらしながら ポケットに手を突っ込む。出してきたのは小さなカードのような名刺。 「これ、見てー」 私に手渡してきたので仕方なく名刺を見た。 『田中真知子』と保険会社の社名入りの名刺だった。 確かに知紘の言う名前と一致している。『そんな女とどこで知り合ったのよ』 知紘に聞きたいわけじゃないから訊かない。 知りたいのは本当だけど。 名刺からして、彼女の営業絡みというのはおよそ察しはつくけども。だけど今日は野球のサークルからのご帰還なわけで、どいうこと?  って思うわけよ。会社に来て会ったというのでないのなら、野球の練習している場所に 彼女が来てたってことになるわよね。 「はい、はいー。見た? じゃっ、も……返してっ。 彼女さぁ、むちゃくちゃ俺好みなのよー。ドストライクぅ~」『はぁはぁ、さようでございますかっだわさ』 ここまではギリ許容範囲だった。 「んとにな、古女房とは比べ物にならんっ。あははははーっ。 真知子ぉ~、スキっ」 そう言いながら知紘は名刺にキスをした。 『ぎゃあ~、阿保タレがっ、なにを……』「ねねっ、ちょ、聞いてるぅ? おばさん」「おばさんって誰やねん」 私が訊くと、ちゃんと反応する知紘。 いらんところ...

トレンド

コメント

コメントはありません
6 チャプター
◇幸せって 第1話
1昨日までのあたしは、平凡ながらも幸せだった。 大恋愛の末、結婚をした知紘《ちひろ》との暮らしに。……なのに、たった一日でグルリンパっとあたしの幸せが ひっくり返ってしまった。それはものの見事に。こんなことって、ある? びっくりし過ぎて涙も出やしない。 それは……ほんの小一時間ほど前の出来事。[今は夜時間]知紘が珍しく酩酊状態に近いぐらい酔っぱらって帰宅。 ドアを開けるなりいきなり、トーク炸裂。「ねね、聞いてぇー。うひひ、俺ってなんでこうモテちゃうんだろねー」「チーちゃん、気をつけて。こけそうだよ」知紘が片手を壁について、靴を脱ごうとしているんだけど、 身体がふらついていて危うい。それでも話は止まらない。「俺さぁ~、田中真知子さんからデート誘われたんだぜ。 あーっ、モテてごめんねっ。うひひっ。 あっ、おいっ、そこのおばさん、嘘じゃないぜっ。 信じてないなぁ~。ちよっと待ってみ……」 くだらないことを言いながら知紘がふらふらしながら ポケットに手を突っ込む。出してきたのは小さなカードのような名刺。 「これ、見てー」 私に手渡してきたので仕方なく名刺を見た。 『田中真知子』と保険会社の社名入りの名刺だった。 確かに知紘の言う名前と一致している。『そんな女とどこで知り合ったのよ』 知紘に聞きたいわけじゃないから訊かない。 知りたいのは本当だけど。 名刺からして、彼女の営業絡みというのはおよそ察しはつくけども。だけど今日は野球のサークルからのご帰還なわけで、どいうこと?  って思うわけよ。会社に来て会ったというのでないのなら、野球の練習している場所に 彼女が来てたってことになるわよね。 「はい、はいー。見た? じゃっ、も……返してっ。 彼女さぁ、むちゃくちゃ俺好みなのよー。ドストライクぅ~」『はぁはぁ、さようでございますかっだわさ』 ここまではギリ許容範囲だった。 「んとにな、古女房とは比べ物にならんっ。あははははーっ。 真知子ぉ~、スキっ」 そう言いながら知紘は名刺にキスをした。 『ぎゃあ~、阿保タレがっ、なにを……』「ねねっ、ちょ、聞いてるぅ? おばさん」「おばさんって誰やねん」 私が訊くと、ちゃんと反応する知紘。 いらんところ
last update最終更新日 : 2025-03-09
続きを読む
◇侮蔑の発言 第2話
2最愛だと思っていた夫からの悲しい侮蔑の発言の数々を聞かされ、苦しくて悲しくて情けなくて胸が潰れそうだった。それは私の心を衝撃MAXの威力で破壊した。熟睡できず、うつらうつらとした眠りのあと、重い心を抱えたまま、何とか起床し食事の準備に取りかかる。台所に行くと、風呂場からシャワーの音が聞こえてくる。昨夜は泥酔していて、そのまま寝たので今、シャワーしているのだろう。          ◇ ◇ ◇ ◇知紘からおばさん呼ばわりされていた美鈴は、オードリー・ヘプバーンのように上方に流れる眉を持ち、日本女性にしては凛々しく筋の通った高い鼻をしている。くっきりとではないが、富士額らしい美しい額とバランスのよいやや肉厚の唇、そして痩せているせいか均整の取れている範疇ではあるが頬骨がほんの少し出ているという、そんな容貌をしている。最後の仕上げが深い悲しみの色を湛えた切れ長の黒曜石の瞳で、美鈴の魅力を存分に引き出している。ヘアーはワンレングスのブラック、ロングヘア―。そんな美鈴には赤い色目の洋服がよく似合う。そして寂しげな風情の微笑みが……。翌朝の朝食でのこと。シャワーを終えたチーちゃんが食卓に着いた。すかさず、私はひとつの質問を投げかけた。「ねっ、チーちゃん昨日はなんかいいことあった?」「……ン~っと、そうだ、楽しかったかな。楽しかったような気がするな、でもまぁ、飲み始めてから後半ちょっと、覚えてないなぁ~。久しぶりに飲み過ぎた」「楽しかったみたいよ、帰ってきた時なんか、超ちょう、ご機嫌さんだったもんっ」「俺、楽しいっとかなんとか、言ってた?」「言葉で、楽しい……は言ってないかな。楽しそうに見えただけ」「ふ~んっ」焼いたトーストを食べている時もチーちゃんは何気にルンルンだ。「チーちゃん……」ズズっとミルク多めのカフェオレを飲む知紘に訊いてみる。「チーちゃんの中ではさぁ、『おばさん』っていくつからの線引きなのかな」
last update最終更新日 : 2025-03-09
続きを読む
◇浮気 第3話
3「いきなり、なに?」「うん、私ももうすぐ30の大台だし」「美鈴は見た目25才くらいでまだまだいけんじゃん。 そーだな、おばさんねー……流石に40才越えたら おばさんのカテゴリかなぁ。 でも昔と違って今の女性は見た目が若いからねぇ~」 「そうなんだ、40代からおばさんってカテゴリに入るのね。 そっか、そっか」 「どうしちゃったの、突然『おばさん』の話って、ははっ。 今日の美鈴、変だ」 「チーちゃん、昨日家に帰ってきた時のこと覚えてないの?」「うん、そうだね。家に入ったのは覚えてるかなー」「私のこと、『おばさん』って連呼してたこと覚えてないんだ」「ブッ。そんな失礼なこと言ってないでしょ、言ってない」「覚えてないのに、どうして言ってないって断言できるの」「もし、言ってたとしても美鈴のことじゃないと思う。 誰かほかの女性のことだよ、きっと。だって俺、美鈴のこと『おばさん』だなんて思ったことないもん」 「ふーん。まっいいや。そういうことにしておきましょ」この問答があってか、チ―ちゃんはそそくさと家を出ていった。          ◇ ◇ ◇ ◇その週の週末は雨だった。 それなのに……朝から早起きしてる知紘が出かける準備を始めた。「チーちゃん、今日は雨だよ。どうして出かける準備してるの?」 「あっ、チームのみんなでカラオケ行くことになってるんだ」「チーちゃん、野球ないんだからさぁ、一緒に映画見ようよ。 Wowowの映画録画してるのもあるし、オンデマンドでも観れるし、 いいの探して一緒に観ようよ。前は一緒によく観たじゃない」「それ、今度な。ひとまず今日はもう約束してるから。じゃ、いってくるわ」「チーちゃん……」 玄関先で知紘に声掛けする私の目の前で知紘が玄関から外へとスルリと抜け出し、ドアがゆっくりと閉まる空間で私の声が空しく響いた。 『寂しいよ~』以前なら野球のない日にわざわざ出かけて行くことは なかった……と思う。例の真知子ちゃんが理由なのかもしれない。私と知紘は結婚して7年なんだけど、7年で古女房って よく考えてみると酷すぎなぁ~い? なんか、チ―ちゃんのことが分かんなくなってきた。一週間前に酔っぱらって帰って来る前は、なんだかんだ 二人の生活が楽しかった。 たった一週間のことで、こんなにも
last update最終更新日 : 2025-03-09
続きを読む
◇ドロボー 第4話
4「休日なのに、また今日も出かけるの?」私と一緒にいるよりも楽しい場所と楽しい人がいるんだね、たぶん。 「うん、前からの約束だからさ。行ってくる。 あぁ、晩御飯いらないから……。それじゃ」 「待ち合わせの人ってアノ真知子ちゃんなんだね」「へっ? ま、ま、マチコぉ~?」『とぼけなくていいわよ。 真知子ちゃんとデートするって、あなたが言ってたんだよ?』酔っぱらってた日にね。知紘は首を傾げながら知らないふうで玄関を出て行った。 今にも私は田中真知子ちゃんに夫を取られそうだ。 夫の様子から、このままだと取られそうなどと甘いこと 言ってられないと思った。 この勢いで夫を……知紘を寝とられるかもしれない、そう思えたから。その月の残りの土日併せた休日の4日間、夫が家で寛いだ日は 一日もなかった。 月が替わった頃、ふと思い立ち野球部が公開している インスタグラムを見てみた。 知紘がある女性の肩を抱き寄せて映っている画像を目にする。 美鈴は、この人物がたぶん田中真知子なのだと直感した。 そこでハタと閃き、今度は『田中真知子』インスタグラムと検索してみると、彼女はインスタを公開していた。驚くべきことに彼女個人のインスタにちゃっかりと知紘は恋人でもあるかのよう にパソコンの画面の中に……インスタの画像2枚に、楽し気な様子で映り込んで いた。そこは、あきらかに部屋の中だった。 部屋の中で撮影したものだ。しかも周囲に野球の関係者は見当たらない。 私は思わず叫んでいた。『真知子、それは私の夫よ。返して~』 ねねね、ちょっと、酷くない?  奥さんのいる旦那を取るなんて……人のモノを盗るなんてドロボーじゃない? そう、ドロボーよぉ。 『真知子の泥棒~』部屋の中で私の声が空しく響く。
last update最終更新日 : 2025-03-09
続きを読む
◇寂しい 第5話
5翌月の休日も夫は家に留まることなく、ウキウキと出かけて行った。堪り兼ねて、二週目の休日に引き留めてみた。「チーちゃん、たまには一緒に過ごそうよ。寂しいよ」 「ごめん。だけど今は野球部のメンバーと親交深めときたいんだよね。 やっぱり試合の時にものすごく効いてくるからさ。 寂しい思いさせてごめんね。 アレだよ、実家に帰ってゆっくりしてくるといいよ。 俺、飯は外で食うかコンビニで間に合わせるから、気にしないで ゆっくりしておいでよ」「そっか。やっぱり出かけるのね。分かった。両親に顔見せに帰ってくる」 「うん、それがいいよ。お義父さんもお義母さんも喜ぶと思うよ」 知紘はうれしそうにそんなふうなことを私に言い、軽やかに出かけて行った。 あの嬉しそうな笑顔は、つい最近まで一緒に過ごす私に 向けられていたものなのに。 今しがたも向けられたけれど、意味が違う。私と一緒に居られて嬉しいの顔じゃなくて、私と居なくて済むから 嬉しいの顔だもの。以前と今とじゃ、意味合いが真逆になってしまっている。 私の悲しい気持ちも……寂しい気持ちも……何も知紘には響かない。今の夫は箍が外れ調子に乗って、浮かれてる。 不倫一歩手前、片足突っ込んでいる状態。いや、そう思いたいだけですでに両足、ズブズブかもしれない。 結局翌月も、そう、知紘と真知子が出会ってから二か月目の末日になっても 状況はなんら変わらなかった。今の夫を見ているとまるで遠い日の、自分に夢中になっていたときと同じだ。 私にも毎日のように会いたがり、熱々だった頃のことが蘇る。 人の気持ちは変えられないのだと改めて理解した。 夫から離婚したいと言われたら受け入れようと思う。これ以上縋ったり、取り乱したりすることなく、話し合いができるよう 心の準備をしておかなくちゃ。それにしても、あんなに仲の良かった夫婦が二か月で……というより、 ある日を境に夫の心変わりで私たち夫婦の関係性が劇的に変わろうとは、 まるで悪い夢でも見ているような気分だ。
last update最終更新日 : 2025-03-09
続きを読む
◇森林植物園 第6話
6 また月が替わり7月に入った金曜日のこと。知紘から、晩御飯はいらないからと電話連絡が入る。会社が終わるとまた、真知子に会いに行くのだろう。すごいね、会社での仕事を終えてからの週末、女に会うというのは初めてのことだ。……ということは、今後度々同じことがあるのだろうと思える。          ◇ ◇ ◇ ◇その日、私は気晴らしに近隣の森林植物園へ草花を見に行くことにした。自然に触れて心癒されたいと思ったからだ。この季節、植物園ではアジサイが見事に咲き誇っていた。幻の花と言われている六甲の名花シチダンカなどのヤマアジサイや六甲ブルーに輝くヒメアジサイなどが、深い色目の緑に交じり、鮮やかに咲いていた。私はしばらくその場所から動けなかった。日常いかに、草花とかけ離れた生活をしてきたのかが実感された。植物はただそこに咲いているだけ。できることは、水分を吸い上げ誰かに愛でてもらうことだけ。自らは動けないから。でもすごいよね、誰かに……何者かに……何かをしてあげられることはできないけれど、ただそこにあるということだけで、誰かを……何者かを……彼らの心を癒すことができるのだ。すごいぞっ、アジサイ。しばらく、アジサイの花々を堪能したあと私は、植物園内の散策コースにある道をそのままゆっくりと進んだ。すると間もなく目の前にパステルカラーに彩られたトンネルが見えてきた。みずみずしい色合いでグラデーションが変化していくトンネルの中、涼しげな青がきれいで、歩いているとひんやりとして感じられた。          ◇ ◇ ◇ ◇生まれてはじめてのトンネル体験に感心しながら歩いていると、どこからともなく頭の中に声が、言葉が響いてきた。
last update最終更新日 : 2025-03-09
続きを読む
コードをスキャンしてアプリで読む
DMCA.com Protection Status