義妹とその母によるNTRのエチュード

義妹とその母によるNTRのエチュード

last updateLast Updated : 2025-04-09
By:  水鏡月聖Updated just now
Language: Japanese
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両親の再婚で義理の兄妹になった二人、しかし義妹は父の愛人で、それを知る義母は義妹を寝取ってほしいと言ってくる しかし、性の経験のない主人公にはそれは難しい。義母は主人公にセックスレッスンを始めることになる

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序文

――お願い、蒼君。茉莉を、直人さんから寝とってほしいの。 芹香さんはそう言った。 ――寝取る。ネトリ。NTR。「それは倫理に反する行為ではないとあたしは思うわ」 と芹香さんは言う。「これは非難することはできない。純粋な愛、純愛だと思うわ。だけどそれを、好ましいと思っていない人間もいるわ。あたしと、蒼君。そしてその二人が手を取り合ってその愛を勝ち取ることも誰からも非難されるようなことじゃない。それもまた純愛よ。 要するに茉莉がこの世で誰よりも好きな人が蒼君になればいい事なの。すべては倫理に反しない、純粋な愛の結末」 ――純粋な愛。純愛。 そうだ。それこそが純愛なのだ。愛する人がいて、その人を振り向かせるための努力をする過程。それもまた純愛。「俺に、できますかね」 そんな言葉の裏には、当然君ならできるというような励ましの言葉を期待していたし、当然もらえると思っていた。だけど……「たぶん、今の蒼君には無理ね」 芹香さんは厳しい言葉を言い放つ。「あ、ええっと」「じゃああえて聞くわね。蒼君は直人君に何だったら勝てるの? 包容力だって経済力だって足元にも及ばないわ。強いて言えば若さかしらね。でも若さっていうのは強みかな? 経験の低さを物語っているだけじゃないの? それに茉莉はそれなりに経験を積んでいるわ。蒼君はどうかしら? 茉莉を寝取ろうとしたところで、蒼君のテクニックで満足できるかしら? ふふふ、厳しいことを言ってごめんなさいんね。でも、寝取るということはそういうことなのよ。蒼君、そういう経験はあるの?」 立て続けに浴びせられる辛辣な言葉に心はすでに折れそうになっていた。俺に勝てる要素なんてない。それに俺は童貞だ。壁に耳をあてて遠くの茉莉の声に一人自慰をすることが関の山の情けない人間だ。「俺には……」 自信を無くしかけてうつむく俺を芹香さんは優しく抱きしめてくれた。「だいじょうぶよ。だいじょうぶ。誰だって初めから上手にできるわけじゃないわ。安心して、あたしがちゃんと教えてあげるから」 言っている意味が解らなかった。いや、それは嘘だ。言っている意味が解らないことにした。わからないから、不可抗力としてそうなってしまったのだと自分自身に言い訳をするためだ。俺の頭の中を占めているちんこがそうささやいたのだ。 だから俺は、自分のパンツの中に滑...

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42 Chapters
序文
――お願い、蒼君。茉莉を、直人さんから寝とってほしいの。 芹香さんはそう言った。 ――寝取る。ネトリ。NTR。「それは倫理に反する行為ではないとあたしは思うわ」 と芹香さんは言う。「これは非難することはできない。純粋な愛、純愛だと思うわ。だけどそれを、好ましいと思っていない人間もいるわ。あたしと、蒼君。そしてその二人が手を取り合ってその愛を勝ち取ることも誰からも非難されるようなことじゃない。それもまた純愛よ。 要するに茉莉がこの世で誰よりも好きな人が蒼君になればいい事なの。すべては倫理に反しない、純粋な愛の結末」 ――純粋な愛。純愛。 そうだ。それこそが純愛なのだ。愛する人がいて、その人を振り向かせるための努力をする過程。それもまた純愛。「俺に、できますかね」 そんな言葉の裏には、当然君ならできるというような励ましの言葉を期待していたし、当然もらえると思っていた。だけど……「たぶん、今の蒼君には無理ね」 芹香さんは厳しい言葉を言い放つ。「あ、ええっと」「じゃああえて聞くわね。蒼君は直人君に何だったら勝てるの? 包容力だって経済力だって足元にも及ばないわ。強いて言えば若さかしらね。でも若さっていうのは強みかな? 経験の低さを物語っているだけじゃないの? それに茉莉はそれなりに経験を積んでいるわ。蒼君はどうかしら? 茉莉を寝取ろうとしたところで、蒼君のテクニックで満足できるかしら? ふふふ、厳しいことを言ってごめんなさいんね。でも、寝取るということはそういうことなのよ。蒼君、そういう経験はあるの?」 立て続けに浴びせられる辛辣な言葉に心はすでに折れそうになっていた。俺に勝てる要素なんてない。それに俺は童貞だ。壁に耳をあてて遠くの茉莉の声に一人自慰をすることが関の山の情けない人間だ。「俺には……」 自信を無くしかけてうつむく俺を芹香さんは優しく抱きしめてくれた。「だいじょうぶよ。だいじょうぶ。誰だって初めから上手にできるわけじゃないわ。安心して、あたしがちゃんと教えてあげるから」 言っている意味が解らなかった。いや、それは嘘だ。言っている意味が解らないことにした。わからないから、不可抗力としてそうなってしまったのだと自分自身に言い訳をするためだ。俺の頭の中を占めているちんこがそうささやいたのだ。 だから俺は、自分のパンツの中に滑
last updateLast Updated : 2025-03-04
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家族と義妹のプレリュード1
どいつもこいつも脳みそがちんこでできているらしい。高校二年の夏休みが明けた九月初日の教室ではいきがった男子生徒の武勇伝が飛び交う。やれ、彼女が出来ただの、やれ、初めてセックスをしただのそんなくだらない話ばかりだ。「よう、折田。お前夏休みはどうだったんだよ」「別に、なにもないよ。ほとんどバイトばかりしていたからな」 クラスメイトの山岸が声を掛けてきた。別に仲がいいわけでもない。ただ単に自分の自慢話がしたくて、十分にマウントが取れそうな相手である俺を選んだだけだ。「――でさ、それで由奈にフェラしてもらってさ」 聞いてもいない話をしてくる。隣のクラスの西崎由奈は清楚な雰囲気でちょっとだけ好意を抱いてはいたのだが、夏休み前に山岸と付き合うようになったと聞いて嫌いになった。煩悩にまみれて自制できないような奴に魅力は感じない。 山岸に自慢話に興味がないことを悟ってもらいたくてあえて視線をそらす。たまたまそこにいたたいして美人でもないけど結構モテる河野がいた。少しばかり肉付きが良い日焼けあとの残る腕を遠くの誰かに向けて手を振っている。その袖口から覗く腋と水色のブラに一瞬だけ反応して慌てて視線を逸らす。 山岸は気づいたらしい。耳元に顔を近づけて「いいよなあ。河野、後ろからガンガンつきてえよ」とつぶやく。 その言葉のせいで少し河野のことが嫌いになった。ちんこでものごとを考えるのは嫌だ。 チャイムが鳴り、教室に担任が入って来る。この瞬間に夏休みは完全に終わる。「お前ら、夏休みは真面目に過ごしたか?」 担任の須藤は二十代の後半で社会教師。夏休みは趣味で化石の発掘をしているらしく真っ黒に日焼けした姿で教壇に立つ。若い男性教師というだけで意味なく女子からモテるのだが俺はこの担任が嫌いではない。いくら女子生徒からモテようとも一切それになびくことなく自分の趣味に打ち込んでいるからだ。「それじゃあ、まあ、ホームルームを始める前に大事な話がある」 教室中がざわざわと騒ぎ立てる。予想がつかないわけでもない。夏休み明け、教室の一番後ろの俺の席の隣には、夏休み前まではなかったはずの机と椅子がある。「はいはいはい。静かに。いいか、男子ども。あまり大きな声を出すんじゃないぞ。女子もな。嫉妬していじめたりするんじゃないぞ。よーし、中西。入ってきていいぞ」 教室前面のドアが開く。
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家族と義妹のプレリュード2
中西茉莉の周りには休み時間ごとに多くの女子生徒が集まっていた。転校してきたばかりで物珍しいというのもあるだろうが、やはり何と言ってもその整った容姿だ。クラスの中でもカーストの高いグループのいくつかが休みの時間ことにやってきて、彼女を自分たちのグループに引き込もうと必死なのだ。 そして男子生徒の幾人かも遠巻きながら彼女のことを気にしている。我先に彼女と親交を深めたいとは思いながらも取り巻く女子生徒も多くてなかなかに近づきがたくなっているようだ。 そんな彼女は俺の隣の席。取り巻きのカーストの高い女子たちと会話をしながら隣にいる俺にも話を振ってくるのだ。「休みの日は何してる?」「どんな音楽聞くの?」「好きな食べ物は?」そして「ねえ、好きな女の子のタイプは?」 もちろん俺は取り巻きのカースト上位の女子たちと仲がいいわけではない。だが、中西茉莉はまるで俺がその輪の中に入っているかのように話しかけてくる。「ねえ、もしかして茉莉ちゃんって。折田君のことがタイプなの?」 クラスのカースト上位者でもある、斎藤美和がそう言った。クラスの男子の数人が俺の方に攻撃的な視線を向ける。「タイプ、と聞かれるとそういうわけじゃないよ。でも――」「でも?」「蒼君はちょっと特別かな」 教室の空気は凍り付く。そして斎藤さんは言った。「折田君はさ、すごくいいやつだよー。ね、いっそのこと付き合っちゃえば?」 なんて無責任な話だ。斎藤さんは俺のことなんてほとんど知りもしないだろう。だけど、彼女が俺との仲を応援したいというのはわからなくもない。 中西茉莉がその気になれば、きっとおそらくほとんどの男子生徒を手中に収めることだってできるだろう。それは、その他女子にとってはつまらない状況だ。だが、俺のような眼中にない相手に好意を向けたうえで、自分たちのグループに引き込めばグループの格も上がり、その上無害という都合のいい存在になる。 いや、正直に言えばそんなことはどうでもいいのだ。もしここで中西茉莉が「そうだね、付き合っちゃおうか」なんて言い出した時、俺はどういうふうに反応すればいいのだろうかという思考の渦に飲まれてしまっていた。 だがそれも、つまらない杞憂だった。「はは、さすがに付き合うのは無理かな」 そんな中西茉莉の言葉に「だよねー」と斎藤さんは言った。それで凍り付いた教室の空気
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家族と義妹のプレリュード3
物心がつく前から我が家に母はいなかった。でも、確かに記憶にはかすかに母親の記憶がわずかに残っており、物心がつく頃には母はてっきり死んだものだと思い込んでいた。思春期に入り、世の中のいろいろなことがわかるようになってから、母は育児放棄のために出て行ったのだということを知った。 記憶の限りほとんど俺は父と二人で生活してきた。元々フリーランスの父は仕事を在宅で行い、家事のほとんどをしながら俺を育てた。「あーなんか記念日か何だっけ?」「いやな、別にそういうんじゃないだが」「なんだよ、その言い方。なんか気持ち悪いな」「ああ、いや……会ってもらいたい人がいるというか」「だれに?」「母親だよ――」その言葉を聞いた瞬間に、何をいまさらと思った。「今更会いたくなんてないよ。俺を捨てた親だろ? 俺の家族はあんただけで十分だ」「ああ、そういう意味じゃなくてだな……」「なんだよ、じゃあどういう意味なんだ?」続く言葉で、ようやく理解が追い付いた。父は昔から、一言足りない。「――新しい、お母さんだ」 その意味を考えるのにしばらくの時間がかかった。たぶん、二、三秒なのだろうけれど、随分長い時間がかかったという印象だ。「――そうか、おめでとう」「いやじゃ、ないのか」「いやというか……もともと母親の記憶なんてないようなものだし、この年になって新しいおかあさんなんて言われても実感ないな。俺にしてみれば、新しい母というか、父の新しい妻という感じだな。だから、なにも遠慮することはない」「一緒に住むことになるかもしれないが……」「部屋なら空いてる。二人で住むには広すぎるくらいには」「そうか……会ってみて、もし嫌なら別にいいんだ。無理強いはしない」 改めて無駄に広い家を見渡す。郊外とはいえ庭付きの一戸建てに俺達親子は住んでいる。俺が生まれる前に建てたマイホームは、おそらく俺の妹や弟まで想定して建てたものだろう。実際その家に妹や弟が生まれることもなく、母親さえもいなくなった家は空き部屋だらけの無駄な家だった。「どんな人だ?」「かわいい人だよ」「歓迎だ」「あと、娘もいる。お前の妹だ」「……悪くない」 よくあるラブコメの妹を想像した。生意気だけどなんだかんだで兄のことが大好きな妹だ。そしてそんな都合のいい話があるわけないという気持ちもまたあった。 週末の夕方、
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家族と義妹のプレリュード4
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青春と恋のワルツ1
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青春と恋のワルツ2
それからしばらくしてからのとある昼休み、すっかり茉莉争奪戦において勝者となった斎藤さんが来て、お昼行こうと茉莉を連れ出す。  俺は一人残された教室で弁当を広げ食べようとした時、山岸がやって来た。 「なあ、折田。お前、中西と仲いいよな」 「まあ、悪いわけじゃあない」 「でも別に彼氏ってわけでもないんだろ?」 「……」  余計なことは言わない。幸い、茉莉が転校早々に俺とは『付き合うのは無理』と明言したおかげでつまらない嫉妬をうけずにはすんだものの、まだ自分にも脈はあると思い込んだ身の程知らずが日々茉莉にアプローチをかけているようだ。  一見仲がよさそうに見える俺に仲介役を頼もうとする輩は決して少なくはない。そのことを鑑みれば兄妹であることをこんな奴に知られたらどう利用されるかわかったものじゃない。  山岸はやたらと俺に対し、茉莉のあれこれを聞き出そうとしてくる。当然俺は「そんなことを知っているわけないだろ」と返すのだが、事実何も知らないので教えるも何もない。  そんなくだらないことに付き合ってしまっていたがために弁当を食うのがすっかり遅れてしまった。  ようやく人払いをして弁当の蓋を開ける。唐揚げやミニハンバーグのような男子高校生に必要なたんぱく質をしっかり補ったうえで玉子焼きやブロッコリー、ミニトマトなど栄養と色合いをバランスよく兼ね備えた完璧な弁当だ。しかもこれは茉莉の手作りである。  おそらく何も知らないであろう山岸を遠目に鼻で笑いながら茉莉弁当を口に放りこむ。  当然非の打ちどころもなくうまいそれに優越感を感じる。いつものような空腹を満たすだけの菓子パンとはわけが違う。せっかくだから時間をかけ、ゆっくりと味を堪能していた。そうこうしているうちに昼食に出ていた茉莉と斎藤さんが帰ってきた。斎藤さんは茉莉の席のところでだべっている。ふと後ろを振り返り俺の弁当を見て、そのまま動きを止める。  しばらく俺の弁当を見つめ、斎藤さんは俺の耳元でささやいた。 「アンタのお弁当、茉莉と同じおかずだよね」  俺はそれを無視した。無視するよりほかなかった。 しかしそれは、翌日にはクラスの誰もが知る事実となってしまっているようだった。 誰が言いふらしたかなんてそんなこと考えるまでもない。学校では別々に弁当を食べている俺と茉莉だが、その二人の弁当が同
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青春と恋のワルツ3
 深夜にふと目が覚める。寝苦しい暑さの中で耳鳴りと共に体全体に重みを感じて目を開く。思わず声を上げそうになったが息を押し殺す。下の階では父が眠っているのだ。  そして俺の上には茉莉が馬乗りになっている。食指を一本口の前で立て、暗闇の中で白い歯を見せて微笑んでいる。自分の下半身が固くなっていることを自覚する。茉莉はショートパンツとキャミソール姿で俺のその部分に馬乗りになり。体重をかけたまま体を前後に揺さぶった。  ゆっくりと、ゆっくりと、それでも一定のリズムを保ったままで茉莉は俺の上で動き続けた。自分は動きたくても身動き一つとれない。あるいは、身動き一つとりたくないと強く願っているだけなのかもしれない。 脳の中が真っ白な靄で埋め尽くされて何も考えられなくなった。 そんなことはいけないとわかっているはずなのに、それでもその状態が永遠に続いてほしいと同時に考える。 しかし、それほど長くなど続かない。  目が覚めた時には、ベッドの上でひとり汗をかいて息を荒くしている自分がいた。下着の中で精液がべったりとあふれかえっていることに気づく。ひとまずティッシュで拭き取れるだけ拭き取り、それからどうすればいいかを考える。  そもそも茉莉と一緒に住むようになるまでこんな事態が起こることなんて考えていなかった。自分の部屋にいる時だって、隣に茉莉がいるとなるとたとえヘッドホンをしていたって音が漏れているんじゃないかと不安になるし、ガサゴソという音が聞こえるかもしれないと心配になり自身の処理ができなくなっていた。それに使い終わたっティッシュペーパーの問題だってある。今までは家事のほとんどは俺と父とでやっていたが、最近ではほとんど芹香さんと茉莉とがやってくれるようになった。部屋のゴミを袋にまとめるにしたってそれを捨てに行くためには大きなゴミ袋に移すことになる。それどころか使い終わったティッシュを部屋のゴミ箱に入れておくというわけにもいかないだろう。どうしたって匂いの問題もあるだろうし、今までが気にせずにのうのうと生きてきただけだったのだ。とりあえず下着は履き替える。しかし、これを洗濯するというわけにもいかないだろう。どうせ洗濯をするのはいつも茉莉だ。家族の半分が女性になった時、さすがにどうしても男が洗濯を担当するわけにはいかなくなってしまい、話し合いでそう決まってしまったのだ
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青春と恋のワルツ4
 十月に入り、夏服から冬服に変わったが、いまだ残暑はしつこく、制服の分厚くなった分汗がにじむ。  昼休みに一人静かに弁当を食べているところに山岸がやって来る。俺の向かいに勝手に座り、購買で買ってきたかつサンドロールにかじりつく。 「ところで折田。お前、いつも中西とはどんなデートをしているんだ?」  余計なお世話だ。俺と茉莉は実際つきあってなどいないし、デートをしたことなんて一度もない。こいつ、まだ茉莉のことあきらめていなかったのかよとほとほと呆れる。 「いや、別に……たいしたことはしてないよ。ただ何となく話をしたり、一緒に映画を見たりするくらいだ」 「それは、要するに家デートをするということか?」 「まあ、そんなところ……かな」  ――正確に言えば私生活を送っているだけだ。デートと言えるようなものではない。 「あと、茉莉はああ見えて料理がうまいから、家で料理を作ってくれる。それを食べながら音楽を聴いたりなんかする」 「ふーん、それで、飯食った後は中西を食うって話だな」  頭の中がちんこでできている人間の想像力の儚い事か。 「いや、デートって言っても、何をしていいのかわからないしな」  それは本音だ。茉莉にはいつも家事を押し付けてしまってばかりで、バイト代もたまってきたことだし、何かしてあげたいという気持ちがあるのも確かだ。 「カラオケとか、行かないのか?」 「カラオケか……行かないな……」 「じゃあさ、今度一緒にカラオケに行こうぜ」 「一緒に行こう……っていうのは、山岸と行くっていう話か?」 「……鈍いな。中西は何でこんな男が良かったのか。あのな、そういう話ではなくて、俺とおまえでカラオケにでも行こうっていう話を中西に持ち掛けろって言っているんだ。そうなると男二人に女ひとり。これじゃあバランスが悪いだろう? 中西は友達を呼ぶことになる。呼ぶ友達は誰だ?」 「そりゃあ、茉莉が呼ぶ友達と言えば……もしかして山岸、斎藤さんのことが?」 「斎藤美和……いいよなあ。顔もそれなりだし、乳もでかい。いうことなしだろ」 「いや、そりゃあ悪くはないけど」 「おっと、折田。中西と比べたらっていうのはナシだぜ。言っておくけど俺はまだ納得してないんだ。まさか中西がお前を選ぶなんてな。さすがにオレもNTR趣味はないから身を引いてやってるんだ。その
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青春と恋のワルツ5
 帰り道に茉莉ときょうの夕食は何がいいかという話をしていた。 「カツ丼、とかはどうだろうか?」 「アオってさあ、大体丼物で答えるよね」 「だってどんぶり物は効率がいい。洗い物も少なくて済むし、それぞれの食材が調和となってどんぶりに収まる姿はもはや芸術だよ」 「それはまあ、わかるんだけどさ、作る方としてはせっかくだから別々に味わってほしいなんて気持ちもないわけではないし、その、女子的にはどんぶりを掻き込むのって、ちょっと抵抗があるのよね」 「すまん。そんなとこまで考えたことはなかったな」 「まあ、それはいいんだけどさ、ちょっと愚痴ってみたかっただけだし。でもさ、今日は確か冷凍庫の中にも、とんかつにできる材料はなかったのよね。ちょっと遅くなってしまったし、買い物に寄って帰るのも億劫なので、今日は親子丼でいいかしら? 鶏肉だったら冷凍庫の中にあるのだけど」 「いや、全然それで構わないよ。俺は親子丼だって――」 「ん、どうしたの?」 「いや、あれ? 芹香さんじゃないかな?」  家に帰る途中の橋のたもとで芹香さんらしき人が立っている。夕方の六時ということは、今日はそろそろ仕事の時間じゃないかと思う。しかし、こんなところで立っているというのも妙な話だ。まるで誰かと待ち合わせでもしているような……」 「なに言ってんの? あれ、全然ママじゃないわよ。んもう、ほんとアオは人の顔を見分けられないんだから」  そう言いながら半ば強引に俺の袖を引いた。だから俺もその場では単なる見間違いなんだとその場をやり過ごしたのだが、やはりどう見てもあれは芹香さんだとしか思えなかったのだ。  カラオケの当日、待ち合わせは駅前の銅像の前だ。地元の偉人というか、実在したのかどうかも怪しいその街のシンボルとなっている銅像はこの町のごく一般的な待ち合わせ場所だ。  俺は茉莉と一緒に家を出て、一緒にその場所に向かう。二人は付き合っているという前提なのでそこに不自然さはないはずだ。  銅像の前に斎藤さんがいた。ふんわりとしたサーモンピンクのブラウスに黒のフレアスカート。スエードのシューズという学校でのノリのいいイメージとは一線を画したゆるふわなスタイルは高校生にしてはどこか大人びた印象を与え、おそらくおしゃれに気が遣えるタイプの女子だとわかる。それに比べると相変わらず薄着な茉莉はも
last updateLast Updated : 2025-03-14
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