――お願い、蒼君。茉莉を、直人さんから寝とってほしいの。 芹香さんはそう言った。 ――寝取る。ネトリ。NTR。「それは倫理に反する行為ではないとあたしは思うわ」 と芹香さんは言う。「これは非難することはできない。純粋な愛、純愛だと思うわ。だけどそれを、好ましいと思っていない人間もいるわ。あたしと、蒼君。そしてその二人が手を取り合ってその愛を勝ち取ることも誰からも非難されるようなことじゃない。それもまた純愛よ。 要するに茉莉がこの世で誰よりも好きな人が蒼君になればいい事なの。すべては倫理に反しない、純粋な愛の結末」 ――純粋な愛。純愛。 そうだ。それこそが純愛なのだ。愛する人がいて、その人を振り向かせるための努力をする過程。それもまた純愛。「俺に、できますかね」 そんな言葉の裏には、当然君ならできるというような励ましの言葉を期待していたし、当然もらえると思っていた。だけど……「たぶん、今の蒼君には無理ね」 芹香さんは厳しい言葉を言い放つ。「あ、ええっと」「じゃああえて聞くわね。蒼君は直人君に何だったら勝てるの? 包容力だって経済力だって足元にも及ばないわ。強いて言えば若さかしらね。でも若さっていうのは強みかな? 経験の低さを物語っているだけじゃないの? それに茉莉はそれなりに経験を積んでいるわ。蒼君はどうかしら? 茉莉を寝取ろうとしたところで、蒼君のテクニックで満足できるかしら? ふふふ、厳しいことを言ってごめんなさいんね。でも、寝取るということはそういうことなのよ。蒼君、そういう経験はあるの?」 立て続けに浴びせられる辛辣な言葉に心はすでに折れそうになっていた。俺に勝てる要素なんてない。それに俺は童貞だ。壁に耳をあてて遠くの茉莉の声に一人自慰をすることが関の山の情けない人間だ。「俺には……」 自信を無くしかけてうつむく俺を芹香さんは優しく抱きしめてくれた。「だいじょうぶよ。だいじょうぶ。誰だって初めから上手にできるわけじゃないわ。安心して、あたしがちゃんと教えてあげるから」 言っている意味が解らなかった。いや、それは嘘だ。言っている意味が解らないことにした。わからないから、不可抗力としてそうなってしまったのだと自分自身に言い訳をするためだ。俺の頭の中を占めているちんこがそうささやいたのだ。 だから俺は、自分のパンツの中に滑
Terakhir Diperbarui : 2025-03-04 Baca selengkapnya