直人君の話によると、有希ははじめから直人君に近づく目的であたしの友達になったのだそうだ。直人君がいつもあたしのことを見ていて、あたしが直人君のことを見ているのに気付いた彼女はその関係を利用して間に介入してきた。あたしに協力してほしいと持ちかけることであたしが直人君に告白することを牽制し、その間に直人君を誘惑したのだという。 たしかにそういわれれば納得のいく部分は確かにある。だけど、そのことを言われることで、学生時代唯一だった友達の有希は友達なんかではなく、ただの性悪女だったことになってしまうし、できればそんな話は聞きたくなかった。 あるいは直人君自身が有希にフラれたことをいまだに根に持っていて、そういうことにしてしまっただけなのかもしれない。今の直人君は小説を書いているといっていたし、作り話をするのは得意だともいえる。 なんにしても、今のあたしにとってはどうでもいいことだ。過去を変えることなんてできないんだから。 「あの時僕らは、何かを読み間違えてしまったのかもしれないね」 そんな言葉で自分に都合よく話を持って行こうとしているけれど、そんな本心はすべてお見通しだ。所詮男の頭の中はちんこでできている。だから、ちんこを満足させるためにくだらない嘘や見栄で虚勢を張るのだ。 「違うわよ、直人君。それは単に今の直人君が、あたしとセックスをするための口実として、そういうことにしているだけなんでしょ? ねえ、正直に答えて。直人君は今日、セックスがしたくてあたしをここに呼んだんでしょ?」 「な、何もそんな言い方はしなくても……」 「いいのよ、べつに遠慮なんてしなくても……もう、ここまで来ちゃったからには、直人君はセックスしてもしなくてもあたしにお金を払わなくちゃいけないの。払わないにしてもその半分の料金をあたしは上に支払わなくちゃいけないしね。だから、直人君は今日、すでにあたしとセックスする権利はちゃんと持っているんだよ」 きっと直人君はまだあたしに遠慮しているところがあるのだと思う。だからあたしはその遠慮を取り払うために直人君にキスをした。 いや違う。そういう理由をこじつけて、ずっと好きだった直人君とそうしたくて、互いに納得できるいいわけを探した結果に過ぎないんだ。 男はキスさえすればすぐにその気になる。いくら誠実を気取って善人ぶろうとし
Terakhir Diperbarui : 2025-04-09 Baca selengkapnya