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家族四人のシンフォニー2

Penulis: 水鏡月聖
last update Terakhir Diperbarui: 2025-04-09 15:38:26

「ねっ、蒼。お昼一緒しよーよ」

 昼休の教室の隅で、ひとりひそかに弁当箱を開こうとしている俺のところに斎藤美和がやって来た。

「なんでそんなことになるんだよ」

「だってさー、今日茉莉は委員会で呼び出しされているからさ、あたし一緒にお昼する人いないんだよね」

「だからってどうして俺が美和と一緒に飯を食うことに?」

「だってさー、蒼、茉莉のカレシじゃん?」

「うん?」

「茉莉がいないんならそのかわりに相手するの普通じゃね?」

「普通か?」

「だって茉莉がそうしろって」

「茉莉が? そうか」

「あは、茉莉の言うことならちゃんと従うんだ。なになに? もう尻に敷かれているカンジ?」

「うるさいよ」

 渡り廊下の下の日陰になったところ。そこが茉莉たちのランチスポットだ。

「もうヤッた?」

 ウインナーをかじりながら美和が言う。いきなりの大胆な質問にお茶を吹いた。

「な、なんでそんなこと言わなきゃならないんだよ」

「まあ、言わなくってもいいけどね。見ていればわかるよ、うん。最近の蒼はいいカンジ。なんか自分に自信持っててさ、男らしくなったってカンジ。これはいよいよ茉莉とヤッたんだなって思ってたから。見ているとわかるよ」

「ま、まあ、な」

「やっぱりね。見ていればわかるよ。童貞と非童貞は纏っているオーラが違うからね。あと、匂いも違う。童貞って常になんかイカ臭いから」

 言われて、自分のにおいをかいでみる。違いがあるのかどうかは到底わからないが……

 それにしても女の感というのは侮れないなと感じた。茉莉とヤッたかどうかについてはさておき、童貞ではなくなったということを見破られたというのは――。

「つか、おい。今まで俺が童貞だったってこと、バレていたのか?」

「むしろバレていないと思っていたのかな? 少し前までアオはあきらかにイカ臭かったからね」

「そ、そう、なのか?」

 もう一度自分のにおいをかいでみるが、やはりまったくわからない。

「あたしとしては蒼のイカ臭さが嫌いではなかったんだけどね。あたし、いわゆる童貞キラーってやつだからさ。茉莉がヤらしてくれないんなら、あたしが筆おろししてあげようかって思ってたんだけどな」

 そんな言葉に、口に放りこんだばかりの白米の粒にむせ返る。ちょっと童貞を捨てたからと言って俺の本質が成長したわけ
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    「碧さん、これからしばらくパパの部屋使わせてもらうから。客室として。いいでしょ?」 そう言いながら義娘の斎藤美和が言った。 訳ありの友人をしばらくこの家に住まわせるそうだ。「住まわせてもらっている身のアタシがとやかく言うことじゃないわ」 その言葉を聞いて美和は友人を孝之の部屋へと通した。 斎藤孝之はアタシの二番目の夫だ。孝之はアタシと同じで離婚歴がある。美和は前妻の娘で、二年前に孝之が亡くなった際にその遺産のすべてを相続した。後妻であるアタシに一円の財産も残さなかったことに不満はない。きっと孝之は妻という存在を信用していないのだ。つまなんて言うものは所詮血のつながっていない赤の他人で死かなと考えているのだろう。 だから遺言書には前妻にも一円たりとも残すことなくすべてを美和に託した。 前妻は一度遺産を分けろと怒鳴り込んできたこともあったが、それは美和が追い返した。「今更どの面下げて帰ってきたんだ」と激しく罵声を浴びせた。 だけど美和は居場所をなくし、路頭に迷うはずだったアタシをこの家にずっと住んでいいと言ってくれた。アタシは家事もろくにできないダメな妻で、美和にすればここに置いておくメリットなんてないはずだ。 それなのに、血のつながった実の母を追い返し、血のつながっていないアタシにここにいることを許したのは、どういう考えなのだろうかと思うことはある。もしかすると実の母に対して、アタシをここに置いておくことがひとつの見せしめなんじゃないかと思うこともある。 まあ、そんなことはどうでもいい。アタシとしてはここにおいてもらえているというだけで美和には感謝しているくらいだ。 美和の連れてきた友人、中西茉莉。どうやら彼女は妊娠しているらしい。一緒にやってきた男がその子の父親なのだろう。 中西茉莉という子はなかなかにいい子のようだ。料理もうまいし美人でもある。 その子をはらませてしまたという男の子、彼らの話を聞いて息が止まりそうになった。 その男の子の名前は『折田蒼』というらしい。 とても偶然だとは思えない。 今から約二十年前、アタシの一度目の結婚は社内恋愛でそのまま結婚し、子供を産んだけれど、どうにも家事や育児と言ったものに向いていない性格らしく、育児ノイローゼにかかってしまい、生まれて間もない子供を置き去りにして離婚した。それからもう十五年間、一度も会っていない。 そ

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      バイトを終えて家に帰り、茉莉と手紙のことについて話し合った。 芹香さんが俺にあてた手紙の中で、俺と芹香さんの関係について触れていなかったことは意図的だろう。おかげで手紙と通帳をそのまま渡すことができた。そしてこのとは、今の家主となっている美和にも相談しないわけにはいかないだろう。 リビングの隅には美和の義母でもある碧さんがいたが、話はそのまま進めることにした。 同居人となっている碧さんにも話を聞く権利があるし、聞いておいてほしい話でもある。「つまり、お金の心配はないから早々にここを出て行く、ということなの?」「なるべく迷惑をかけるわけにはいかないから、早いうちにそうするべきだとは思っているんだ。だけど、高校生の俺たちの名義でアパートを貸してくれるところはなかなかないだろうから、すぐにはむつかしいと思う」「あのさ、そりゃあふたりが新婚生活をイチャイチャしたくて二人きりになりたいという気持ちはわかるよ」「いや、別にそういうわけでは」「ごめん。それはちょっとした厭味なんだけどね。でも、あたしとしては、できることならもうしばらくは、いや、ずっとでもいいからここで一緒に住んでもらったほうが嬉しいとは思うのね。前にもいったけど、あたしは一応天涯孤独で寂しい立場でもあるんだ」 奥の方で話を聞いていた碧さんが口を挟む。「ちょっとおばさんに口出しさせてもらうよ」 そう言いながらカウンター席を立ちあがり同じダイニングのテーブルにつく。「まあ、そんなに急いでここを出て行く必要はないんじゃないかなってアタシも思うよ。まだ学校に通うならいろいろとやることも多いだろうしさ。それに何よりまつりちゃん、だっけ? 子供育てたことないでしょ? 案外大変なのよそれがさ。助けてくれる人は一人でも多い方がいいわけ。だからさ、少なくとも子供が生まれて、落ち着くまではここにいてもいいんじゃないかな」 たしかにそういわれれば一理あるように思える。そしてその言葉に美和が反応した。「あれ、そういえば碧さんって子供育てたことあるの?」「子供なら生んだことあるよ。でも、子育てはしていないかな。あまりにも過酷すぎてね、アタシは投げ出しちゃったんだよ。まつりちゃんにはそうはなってほしくないからね」「はっはーん。ちょっとわかったかも」「なにが解って言うのよ、美和ちん」「よ―するにあれでしょ。碧さんは子育てがしてみたいんじ

  • 義妹とその母によるNTRのエチュード   義妹たちによるノクターン3

    香ばしい匂いに目を覚ました。隣を見ると茉莉はいない。日曜の朝だからと言って少々眠りすぎてしまった。眠い目をこすりながらリビングのほうへ移動すると。美和と茉莉がキッチンのところにいた。茉莉はテンション高めに俺に手を振ってこっちへ来るように呼んでいた。 そこには何やら茶色い大きな物体があった。香ばしい匂いの正体はこれだったのか。「ねえねえ、見てよ蒼。美和んちさあホームベーカリーがあるんだよ」「昔ね、一時期そういうのにはまった時期があったんだけど、それからしばらくずっとしまいこんでいたんだ。また使ってくれることになってこいつも喜んでいるよ」 美和はそう言いながら白くて角ばった保無ベーカリーの天蓋をなでる。「なんか、ペットをなでているみたいだな」 俺がふとつぶやいた。「やめてくれよ。それじゃああたしがずっと長い間ペットをほったらかしにしていた悪い飼い主みたいじゃないか」「いやごめん、そういう意味で言ったんじゃなくて、なんか、かわいいなって」「か、かわ……」 俺としては決して変なつもりで言ったのではないが、美和は思いのほか照れてしまった。そしてそれを見た茉莉が、「あー、蒼君、今の発言は浮気だよー」と冗談めかして言う。こういうの、悪くないなと思ってしまった。 茉莉が焼きあがった食パンを手で割いていく。真っ白でふわふわとした生地が湯気を上げる。食べる前からそれがおいしいということがわかる。 つい先日に人生の修羅場のような窮地を経験したばかりなのに、美和のうちに来た途端に打って変わってほほえましい状況が続く。たぶんこれからの生活は大変なものになるだろうけれど、きっと幸福に違いないと思えた。「なあに、蒼。さっきからにやにやして」「いや、なんかさ。こういうの新婚生活みたいでいいなって」「えへへ」「ちょっと、あたしがいること忘れないでよ。なにいちゃついてんだか」「なあに、美和。妬いちゃってるの? 何なら美和を第二婦人にしてあげてもいいのよ。やったね、蒼。ハーレムだよ」「おい、なに勝手なこと言っているんだ」 朝食から談笑が絶えない朝だった。 しかし、楽しんでばかりはいられない。親の庇護から逃げ出した俺たちには、現実が突き付けられるのだ。 朝食を終えると、アルバイトへと向かう。 おそらくこれからはアルバイトの量を増やし、生活を支えて行かないといけないだろう。高校も、中退するしかないとい

  • 義妹とその母によるNTRのエチュード   義妹たちによるノクターン2

     美和の家はそのカフェから歩いて五分くらいのところだった。比較的新しいマンションの三階。玄関のドアを開けると室内は照明がついており、暖房も効いているようだった。「お邪魔します」と俺と茉莉は言ったが、美和は一言も言わず廊下を歩いてリビングのドアを開いた。 十分すぎるほどに広いリビングだ。ダイニングテーブルとは別にカウンターキッチンまである。カウンターには母親らしき女性が座っている。改めて「お邪魔します」と言うと、少し驚いたように「あら、いらっしゃい」と返す。 荷物をリビングのソファに放り投げた美和は振り返りざまに女性に向かって言う。「碧さん、これからしばらくパパの部屋使わせてもらうから。客室として。いいでしょ?」 と言った。母親ではないのだろうか。女性は呆れたように返す。「住まわせてもらっている身のアタシがとやかく言うことじゃないわ」「そう」 それだけ言って美和は奥の部屋へと向かう。「ついてきて」 と言われ茉莉と二人で隣の部屋に入る。六畳ほどの小さめの部屋だ。大きめのベッドと脇にナイトテーブル。壁に備え付けのクローゼットがあるばかりで使っている様子はない。「ここ、パパの部屋だったの、好きに使っていいわよ」「あの、美和のパパって」 茉莉が遠慮がちに聞く。「死んじゃったのよ、去年。それからあたしは天涯孤独」 別に気にしていないかのようにあけすけにものをいう美和。失礼かとは思いつつも気になっていたことを聞く。「あの、さっきの碧さんっていう女性は?」「ああ、あの人はパパの……愛人?」 答える側が疑問符付きで返答する?「えっと?」 俺は疑問符に対し疑問符で切り返す。「ああ、あの人はあたしのママじゃないのよ。ママはもうずっと前に死んじゃってるし、それでね、あの人は三年くらい前にパパが拾ってきたのよ。行く当てのない人を拾ってきて住まわせているの。ホントお人よしよね」「美和の言うことじゃないだろ。俺たち、行く当てのない人を拾ってくれた」「あっはは。確かにそうだね。なんだろ、これ、遺伝なのかな。まあそれでさ、パパが死んじゃって碧さんは行くあてもないからそのままここに住んでいるわけ。だからさ、茉莉たちも遠慮せずにいていいんだよ」「ありがとう。恩に着るよ」「そっれにしてもあんた達なかなかやるわね。今の時代に駆け落ちとは」「いや、まあ……いろいろと事情があるんだ」「言いたくなかったら言わな

  • 義妹とその母によるNTRのエチュード   義妹たちによるノクターン1

    それはあまりにも無計画すぎる出発だったのかもしれない。高まる気持ちのあまり勢いで家を出た。茉莉とふたり荷物を抱えて家を出て、寒空の下を歩きながら我にかえる。預金通帳にはいくらかのたくわえがある。紫原楽は食べることには困らないだろう。だからと言って贅沢ができるわけではないし、とりあえずはねる場所を確保しなくてはならない。さすがにホテル暮らしは無理だろう。ネットカフェならある程度価格を抑えることも出来るかもしれないが、妊婦である茉莉をそんな環境の悪いところにいさせるわけにもいかない。どこかアパートを借りることが大前提だろうけれど、未成年である俺たちにホイホイと賃貸契約を結んでくれる場所などそうそうあるものでもない。何軒か回った不動産屋ではいづれも門前払いを食らい意気消沈した。日が暮れて行き場を無くした俺たちは途方に暮れる。いつまでも寒空の下では茉莉の体に障る。ひとまずは24時間営業のカフェに入り、温かい飲み物を飲む。「ひと先ず今日はどこかホテルに泊まろう」 うつむいた茉莉は冷えた両手をカップに添えて暖を取っている。家族と住んでいる時だって節約することばかりを気にしていた彼女だ。今夜宿泊するホテルの料金のことを気にしているのかもしれない。 スマホで安いホテルを探してみる。いままで使ったこともなかったから知らなかったのだが、安いビジネスホテルを使うよりも明らかにラブホテルのほうが価格も安いし設備も充実している。「なあ、茉莉。ラブホテルでいいかな? そっちの方がだいぶ安く泊まれるみたいなんだ」 茉莉はうなずく。頬を赤らめているのは多分外で体を冷やしてしまったからなのだろうけれど、念のため自分ラブホテルに誘ったことに下心があるわけではないことを伝えようと思った。「あ、あの、別にそういうつもりじゃないんだ。その、茉莉とそういうことがしたくてラブホテルに行きたいと言っているわけじゃない」 そういうことがしたくないかと言えば、したくないわけがない。だけど、茉莉のおなかの中には赤ちゃんがいて、だからたぶんそういうことをするのはよくないんだと思う。 そこまでの想いをあえて言葉にするのにはやはり少し抵抗があって言わない。きっと茉莉ならわかってくれていると思う。 少し考えた様子の茉莉は俺に視線を合わせ、「行こうか、ラブホテル」とつぶやいた。 つ上の上に置いている茉莉の手を俺は両手で包み込

  • 義妹とその母によるNTRのエチュード   美徳と歓喜のためのフーガ

    「だいじょうぶです。茉莉はちゃんと、俺が寝取りますから」 クリスマスのあの夜。俺は芹香さんにそう言った。レンタルルームから出て行こうとする俺を芹香さんは呼び止めて行った。「その言葉の意味、ちゃんと解ってる?」「わかっている、つもりです」「それは、茉莉のこれからに責任を取るっていうことだよ。これから先、どんなことがあってもちゃんと茉莉を護るっていう意味なんだよ。蒼君、それを約束できる?」「当然ですよ」「でも、あなたのお父さんだってそんなことを言っていたのよ。でも、実際はどうかしら? あたしのことをほったらかしにして、娘のほうに手を出すような始末。蒼君はその血を引いているのよ」「そんなことはしませんよ。俺は、親父じゃない。茉莉のことは俺が責任をもって、何としても幸せにするつもりです」「つもりじゃ困るのよ。あたしの大事な一人娘なんだから」「幸せにしますよ。それに、親父にもちゃんと言っておきます。芹香さんを、後生責任をもって幸せにしろって」「その言葉、信じていいのかしら?」「だから、芹香さんも親父のこと、ちゃんと寝取ってくださいね」「いいわ、わかった。じゃあ、あたしもそのつもりで直人君にぶつかってみるわ。でも、そんなことをしたら、あたし、茉莉のこと護れないし、傷つけてしまうかもしれない。その時は蒼君。茉莉を――」「命に替えても」 芹香さんは憂げに微笑んだ。 あの時の芹香さんの言葉の意味が分かった気がする。 芹香さんが陽性の妊娠検査薬を取り出し、子供ができたと言いだした時には一瞬血の気が引いた。父と芹香さんはそういう関係になかったという話だったし、芹香さんが仕事でそれ以外の男性と関係を持っているだろうことを知っている。強いて言えば、その子の父親が、自分であることも十分に考えられたからだ。 それなのに、父と相談したうえでその子を産むのだと考えるならば、それは狂気としか言えない事実だ。 だが、おそらくそうではなかったようだ。 あの妊娠検査薬は、茉莉のものだという。 もちろんそれだって大変なことだ。茉莉はまだ高校生だし、結婚だってしていない。 ましてや相手が父だというのなら結婚をするというわけにもいかないだろう。 だけど、そのことであるなら俺が責任を取るという選択肢だって可能ではないだろうか。 どうやら茉莉自身も子供を産みたいと考えているようだ。 ならば、俺がその子の父親にな

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