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第022話

「涼介!」理恵は驚きのあまり椅子から立ち上がった。

危機一髪のところで、涼介は砕けたゴンドラの扉の金属片を素手で掴んだ......

指の隙間から瞬く間に血が溢れ出してきた。

涼介はゴンドラの外側に宙吊りになった。

遊園地では驚きと混乱が広がった。

理恵は焦って後ろを振り返り、ボディーガードを睨みつけた。「早く修理させて、早く!」

どうして落ちたのが涼介なの?

あの二人の汚らわしい母娘じゃなかったの?

理恵はただ、あの二人を始末したかっただけで、涼介を害するつもりはなかった!

「パパ!」

危機の瞬間、あかりが小さな手を伸ばして涼介の手を掴もうとしたが、紗月に押さえられた。

「まだ子供だから、引きずり落とされるかもしれない」

紗月は深呼吸してあかりをしっかりと固定し、自分のロープを再確認した後、慎重に涼介の方へと這っていった。

彼女は手を差し出して言った。「上がってきて」

しかし、涼介は動かなかった。

彼の手は金属片をしっかりと握り、冷たい声で言った。「もう殺す気はないのか?」

紗月の顔が真っ青になった。

彼女は歯を食いしばり、「冗談を言っている場合じゃない。生きたいなら手を掴んで、上がってきて!

あかりは死んでいない、だからあなたも死んではいけない!」

涼介はその言葉を聞いてようやく唇を少し曲げ、もう一方の手で紗月の手を掴み、彼女の助けを借りてゆっくりとゴンドラの中へと戻った。

側壁に掛かっていたあかりは、紗月が涼介を一歩一歩引き上げている姿を見て、目が潤んだ。

あかりは心の底から両親が本当に愛し合っていることを望んでいた......

——

「二人とも、彼を押さえつけて!」

総合制御室の中で、透也はソファーから立ち上がり、先ほど買収した二人の警備員に指示を出した。

白石が押さえ込まれた後、透也は冷静に椅子に戻り、項链の向こうで響也の指示に従い、再びレバーを操作した。

「クソガキめ!佐藤さんとお嬢様に何かあったら、ただじゃおかないぞ!」

ソファーに押さえつけられた白石は怒りを込めて叫んだ。

透也は眉をひそめ、一方で慎重に操作しながら冷たく言った。「あなたが乱暴する方が、彼らを危険にさらすことになるんだ!」

透也が慎重に操作を続けた結果、ゴンドラは再び水平に戻り、徐々に動き始めた。

「よし」

響也は深呼吸して、
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