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第092話

「ただあかりが好きなだけだ」か、見物だ。それに......これまでのことも、理恵と決着をつける時が来た。

「好きだって?」

夫人は冷たく鼻で笑った。「あんたが好きなのはあかりじゃなくて、彼女の父親、涼介でしょ!」

「以前、あかりの存在を知らなく、あんたの企みも知らなかったわ」

「あかりの好意と依存心を利用して、青湾別荘に平然と住みつき、一方であかりを気に入り、もう一方で涼介を誘惑して......」

「綺麗な顔をしているけど、その心はなんて醜いんだろうね!」

紗月は彼女がこんなことを言うだろうと予想していた。

だから、紗月は軽く笑った。「推理は筋が通っているが、残念ながらすべて間違ってるわ」

そう言って、紗月は淡々と夫人の首にかけられているネックレスに視線を向けた。

「理恵がまた贈り物をしたのか?」

今回のネックレスは、前回のと同じシリーズだった。

当然、今回も偽物だ。

夫人は冷たく彼女を一瞥し、「そうよ」

「理恵は優しくて賢い、あんたなんかよりはるかにいいわ!」

「さらに大事なのは、理恵はあかりの叔母だってことだ。この関係がある限り、あんたは永遠に理恵に敵わないよ!」

「もし、あんたと理恵、どちらかを選ばなきゃならないなら、当然理恵を選ぶ。彼女を佐藤家の嫁にするわ」

そう言って、彼女は冷たく鼻を鳴らした。「そろそろ身の程を知ったらどう?」

「青湾別荘で働き始めて、あかりと涼介に近づいたのは金が目的だったんでしょ?」

「二千万円じゃ足りないなら、値段を言ってみなさい。欲張りすぎないことだよ」

病床に寄りかかりながら、紗月は微笑み、夫人のネックレスを見ながら言った。「そうね」

「欲張りすぎると良くないんだよね」

「だから、こういう千万円ぐらいのネックレスも、数が多ければ良いってわけじゃないでしょ?」

夫人は眉をひそめ、紗月の皮肉っぽい口調に耐えかね、ネックレスを服の中に隠しながら言った。「話をそらすな!」

「いくらなら出て行く気になるんだ?」

紗月は目を閉じ、ため息をついた。

しばらくして、彼女は目を開けて言った。

「出て行くよ」

「お金もいらないよ」

「でも、条件があるわ」

「条件?」

「あなたの誕生日宴が終わるまでは、ここにいさせてください」

紗月は、涼介の元でメイドとして長く過ごすことはできないとわかっ
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