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第096話

さらに進んで映像を再生すると、遊園地での動画や写真が次々と映し出された。

そのすべてに、理恵の姿があった。

涼介は微かに眉をひそめ、目には驚きの色が浮かんでいた。「これ、全部お前が集めたのか?」

目の前にいるのは、たった五、六歳ぐらいの少年だった。

普通の子供なら、この年齢では幼稚園で泣き虫になっているころだろう。だが、この子は、こんなに整理された情報を集めて、さらに彼と対等に会話までしていた。

しかも、これだけの証拠を集めるなんて、探偵業でも難しいことだった。

一体、こんな幼い子供がどうやってこれを手に入れたのだろうか?

「爽太と悠太が手伝ってくれましたが、力では限界があり、これだけしか集められなかったさ」

涼介の考えを見透かしたように、透也は淡々と肩をすくめて言った。「僕一人じゃ、ここまでの証拠は集められなかったよ」

「ただ」

少年は、目を細めて涼介を見つめた。「僕はまだ子供だし、爽太や悠太もただのボディガードさ」

「それでも、僕たち三人だけでこれだけの証拠が集められたの」

「だから、佐藤さんが本気で調べようと思えば、この犯人が誰かなんて、とっくに分かっていたはずだよね」

「でも、観覧車の事件が起きてからこんなに時間が経っても、佐藤さんは何の動きも見せていなかったね。正直、それがすごく意外だよ」

透也の口元には、皮肉めいた笑みが浮かんでいた。「本当は、そんなにあかりのこと好きじゃないんじゃないんか?」

その声はまだ幼さが残っていたが、語調や言い回しは大人と何ら変わらなかった。

その成熟した姿は、到底六歳の子供には見えなかった。

涼介は淡々と微笑んだ。「俺には俺なりの考えがあるぞ」

「へぇ」

透也は口を歪めた。「佐藤さんの考えなんて、僕には関係ないけど」

「今日これを見せたのは、証拠を掴んだってことを伝えたかっただけさ」

「紗月は僕のママで、あかりは佐藤さんの娘。この女が何度も二人を危険にさらしたんだ」

「大人として、佐藤さんが自らこの問題に対処するべきだと思うよ」

「もし、まだ何もしたくないなら、僕が自分で警察に訴えるよ」

だが、透也はたった六歳の子供であり、警察に訴えてもその証拠の信憑性が疑われるだろう。

爽太や悠太も、それほど頭が切れるわけではなかった。

杏奈は悠々自適に暮らしており、彼女を巻き込むこともし
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