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第027話

理恵の顔色が一瞬で青ざめた。

彼女は、紗月に罪を着せるための証拠を探すことばかり考えていたが、青湾別荘にあったのは紗月の信号だけでなく、涼介の信号もあることを忘れていたのだ。

「そうだね」

紗月は壁にもたれ、口元に嘲笑を浮かべた。「佐藤さんの携帯の信号はすべて暗号化されているけど、もし何かの手違いで一部が漏れたりし、ちょうどあなたがそれを監視していて、その情報が外部に流出したら......

損失は億単位になるかもね」

理恵の顔色はさらに青ざめた。

「涼介、私は......

情報を売るなんてこと、絶対にしないわ!

ただ......ただ、焦っていただけ。あかりを罠にかけようとしている証拠を見つけたかっただけなの......」

理恵が慌てふためく様子を見て、紗月は冷笑を浮かべた。

「おばさん......」

紗月が何かを言おうとしたその時、病室からあかりの声が聞こえてきた。

あかりが呼んでいるのを聞いて、紗月は一瞬で他のことを忘れ、病室の扉を開けて中へと駆け込んだ。

紗月が病室に入ると、廊下には涼介と理恵の二人だけが残った。

「涼介......」

理恵は声を低くして、好感を得るために言った。「悪かった......」

「まだ謝る時ではない」

涼介は冷たく理恵を見つめ、「調査結果が出て、もし紗月の言う通りで、今日の事故にお前が関与していると判明したら、その時は......覚悟しておけ」

涼介は病室に戻ろうと身を翻した。

「バタン!」病室の扉が閉まった。

理恵は廊下に取り残された。彼女は怒りで胸を上下させながら、閉まった扉を睨みつけていた。

これで、うまくいくと思っていたのに、結局、あのガキとメイドに出し抜かれるなんて!

怒りのあまり、彼女は近くの長椅子を思いっきり蹴り飛ばした。

「覚えていなさい!」

......

「さっき外で喧嘩してたの?」

ベッドに横たわり、顔色が悪いあかりは、紗月と涼介を交互に見ながらそう呟いた。「すごくうるさかったよ」

「ごめんね」

涼介は歩み寄り、あかりの手を握りながら言った。「パパが悪かった」

「パパ」

あかりは涼介を見つめ、力なく微笑んだ。「もうあの意地悪なおばさんと一緒に外出させないでくれるの?

今日は本当に死にかけたんだよ......」

涼介は、疲れた様子のあかりを見て、胸が締め付
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