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第023話

涙に濡れた理恵は、不安げな表情で急いで涼介に駆け寄った。

彼女は涼介の胸に飛び込もうとした。

しかし、涼介は左腕であかりを抱き、右腕で紗月を支えており、彼女が近づく隙間は全くなかった。

その瞬間、涼介と紗月、そしてあかりはまるで家族のように見え、親密に支え合っていた。

理恵の足はその場で止まった。

彼女の目には、嫉妬と憎悪が蔓延していった。

医療スタッフはすぐに紗月とあかりを担架に乗せ、救急車に運び込んだ。

「涼介、もう怖くて死にそうでしたよ!」

救急車が去った後、理恵は甘えるように涼介の胸に顔を寄せた。「もう二度と会えないかと思った......」

涼介は無表情で一歩後退した。

「社長!」

青あざだらけの白石が喜びを隠せずに駆け寄ってきた。「ご無事で何よりです!

正直、あのガキが嘘をついていると思っていたのに、まさか本当に社長を救い出すなんて!」

涼介は眉をひそめた。「ガキとは?」

白石はすぐに総合制御室で見た出来事を涼介に伝えた。

「あの子はあかりちゃんと同じくらいの年齢に見えましたが、いたずらをしていると思ったら、まさか本当に社長を救うとは!」

涼介は身を乗り出し、「彼はどこにいる?」

「追いかけたんですが、見失ってしまい、社長を探しに戻ってきました......

ですが」

白石は遠くで既にボディーガードに捕らえられた二人の警備員を見つめた。「あの二人とその子は仲間のようです。なので、彼らを拘束しました!」

涼介はその二人を冷たく一瞥し、足を踏み出して近づいた。

「我々は確かに良いことをしたのに、感謝されないどころか、ここに押さえつけられるなんて!」

「そうよ。我々は遊園地の警備員です。不注意で職を失うわけにはいかないよ。どうか仕事に戻らせてください!」

涼介が近づくと、二人の警備員はすぐに哀れな声で訴え始めた。

涼介はボディーガードに彼らを解放するよう指示し、「その子とどういう関係だ?」

二人は顔を見合わせ、「ど......どんな関係もない。

俺たちに四千円を渡して、総合制御室のドアを壊すように頼んできたんだ。

外は混乱していましたが、総合制御室の中の人たちは音楽を聴いてた。我々はドアを壊し、その子が機械を操作した。

あの年齢であれほど複雑な機械を使いこなすとは思わなかった!」

「佐藤さん」

その時、救
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