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第019話

「ママ!すごくロマンチック!」

観覧車のキャビンに座っているあかりは、椅子に膝をつき、遊園地全体を見下ろしながら興奮して手を叩いた。「遊園地ってこんなに広かったんだ!」

観覧車に初めて乗ったあかりは手を振り回しながら、「高く昇ると、遊園地の人たちがアリみたいに小さく見えるんだね!」

紗月はあかりの隣に座り、優しく背中を撫でながら、心の中で多くのことを考えていた。

この6年間、3人の子供たちと共に多くの苦労を乗り越えてきた。

特にあかりだった。

あかりはおとなしくてしっかり者。こんな家庭に生まれなければ、みんなに愛される子だったはずだ。

今のように、6歳になって初めて遊園地に来ることもなかった。

そして、理恵のような人に狙われることもなかった。

そう考えると、紗月の心は酸っぱくなった。

彼女は深呼吸をし、あかりを抱き上げて、あかりの首の後ろに頭を埋めた。「約束するよ、この問題が終わったら、これからはちゃんと君たちと一緒に過ごすから、いい?」

あかりは頭をそむけ、その澄んだ目で真剣に紗月の目を見つめた。「お兄ちゃんの病気も治るよね?」

紗月は真剣に頷いた。「うん」

「ママ......」

あかりは興奮して小さな手を伸ばし、紗月を抱きしめた。

母娘が抱き合っている間に、ちょうどキャビンが最高点に達した。

「カチー!ゴロゴロー!」

鋭い音とともに、キャビンが左右に揺れ始めた。

「あっ!」あかりは手すりを掴めず、小さな体が揺れに巻き込まれた。

紗月はあかりの様子を見て、心臓が飛び出しそうになり、本能的に手を伸ばし、彼女をしっかりと抱きしめた。

「怖くないよ!」

しかし、一生懸命手すりを掴んでも、母娘はキャビンに揺られ続けた。

しばらくすると、やっと動かなくなった。

しかし、キャビンは傾いていた。

傾いた方向の下にはキャビンの扉があり、扉も揺れていて、いつ落ちてもおかしくない様子だった。

もし扉が落ちたら、彼女とあかりは早晩力尽きて、傾いたキャビンから落ちてしまうだろう!

あかりは紗月の胸の中で震え、理恵の目には冷たい光が浮かんでいた。

なるほど、これが理恵の目的だったのか!

紗月は理恵があかりに害を与えたい、教訓を与えたいと思っていた。

だが、あかりと自分も死なせたいつもりだったとは思わなかった。

そう思うと、紗月の心
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