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第020話

「ギィーーーッ!」

大きなブレーキ音が響いた。

黒いマセラティが特別通路を通り、猛スピードで遊園地に入ってきた。

車のドアが勢いよく開き、高身長の男性が急いで車から降りた。

「涼介!」

涼介が車を降りると、理恵が泣きながら駆け寄り、彼の胸に飛び込んだ。「どうしよう、あかりがまだあそこにいるの!

私のせいだわ。あのメイドがあかりを連れて観覧車に乗るべきじゃなかったのに!

危険だって言ったのに、そのメイドは全然聞いてくれなかったの。あかりに気に入られようとして、無理に一緒に乗ろうとしたんだから」

涼介は混乱していて、その言葉が本当かどうかを確認する時間もなかった。「彼女たちが上にいるのはどのくらいだ?」

「10分くらいかな」

理恵は涙を拭いながら、泣き崩れそうな声で答えた。「もしあかりに何かあったら、私も生きていけないわ!

最初から危険だとわかってたなら、具合が悪いなんて言わずに、あかりと一緒に乗るべきだったのに!

もし私が一緒だったら、こんなに自分を責めることもなかったのに......」

「もういい」

涼介は眉を深くひそめ、理恵の泣き声にいら立ちを感じた。「スタッフは修理に入っているのか?」

「ずっと修理しているけど、どこかが故障してるみたい......」

理恵は観覧車の下で作業しているスタッフを指さし、「どうしてこんなことが......」

涼介は顔を上げ、扉が外れたまま傾いているゴンドラを見つめた。

彼の眉間には深いシワが刻まれた。

その鋭い角度を見て、中にいる人々が長くは持たないことを悟った。

あかりがあそこにいることを考えると、涼介の胸に重い不安が押し寄せた。

出会って間もないあかり、そのような小さくてか弱い小娘がこんな試練をどうやって耐えられるだろうか。

心配と焦燥が彼の目に浮かんだ。

「白石」

涼介は上着を脱ぎ捨て、「俺が先に上がる。お前は総合制御室に行って様子を見てくれ」

理恵は目を見開いて驚いた。「涼介......上がるつもりなの?」

上にいる二人がまだ落ちてこなかったが、今、涼介が自ら上がろうとしていたなんて。

ダメ、絶対にダメ!

理恵は慌てて一歩前に出て、涼介の腕を掴んだ。「涼介、危険すぎるわ。

専門のことは専門家に任せるべきよ。危険を冒すべきじゃないわ」

涼介は冷たい目で理恵を一瞥し、「俺
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