第2話

晴子は唇を噛みしめ、顔をそらして彼を見ないようにした。落ち着いたふりをして言った。「3年よ。外す方法を考えなかったら、腐っちゃってたわ」

深川は冷ややかに鼻を鳴らし、口元に邪悪な笑みを浮かべた。膝で晴子を突くと、晴子は思わず声を上げた。

「そして他の男のところへ行ったのか？夢夜、わかっているだろう。俺は自分のものに他人が触れるのが嫌いだ」低い声に怒りが満ちていた。深川は晴子の顎をきつく掴み、その鋭い眼差しに晴子は身を縮めて動けなくなった。

深川は立ち上がり、いつの間にか手に新しい貞操帯を持っていた。晴子は唾を飲み込み、彼の手にあるものを凝視した。体をソファの隅へと押し込むように縮こまらせた。その品は数年前のものよりずっと高級そうに見えた。

彼女は頭がおかしくなりそうだった。深川に見つかってしまえば、もう隠し通せない。

深川は人差し指で貞操帯をぶら下げ、彼女に近づいてきた。「これがお前への贈り物だ。特別に新しいタイプを作らせた。気に入ったか？指紋認証式だ」

「離せ！」

晴子はチャンスを見計らい、深川の腕の下をくぐり抜けた。深川はそれを見て、大きな手で彼女を抱き寄せた。晴子は体をよじって必死にもがいた。その美しいアーモンド型の瞳に、瞬く間に涙が溢れた。

白い手首に赤い跡が付き始めるのを見て、晴子は恐怖に襲われた。この不審な痕を澄人に見られるのが怖かった。やっと手に入れた3年間の平穏が、こうして終わってしまうのが怖かった。

「夢夜、お前は言うことを聞かないな」

深川は邪悪な笑みを浮かべ、晴子の腰の肉を軽く摘んだ。晴子は思わず声を漏らした。彼は晴子の体をあまりにも良く知っていた。どこを触れても、彼の手のひらの下で生き返るかのようだった。

深川は顔を下げて軽く笑った。「俺から離れてから、随分と良い暮らしをしているようだな」次の瞬間、彼の目つきが鋭くなり、晴子の喉を掴んだ。「お前がいい暮らしをしているのを見るのは、あまり気分が良くないな。どうすればいいと思う？」

低い声が程よい広さの休憩室に響き渡った。まるで死の宣告のように、背筋を凍らせるものだった。

晴子は歯を食いしばり、震えを抑えて言った。「離して」

深川の隙を見て、身を起こし、深川の手首の最も柔らかい部分に噛みついた。瞬く間に、血の味が口の中に広がった。

深川は呻き声を上げ、噛まれた手で晴子の両手首を掴んだ。空いた手で晴子の頬を強く掴み、無理やり口を開けさせた。晴子は痛みに弱く、すぐに降参した。

薄紅色の唇に血が付き、髪は乱れ、顔全体が露に濡れた赤い薔薇のように艶めかしかった。

深川は突然興味を覚え、晴子を引っ張り上げ、ネクタイを外して彼女を鉄製のソファに縛り付けた。そして晴子のバッグから携帯電話を取り出し、突然彼女の顔に向けて携帯のロックを解除した。

「深川さん、もう私はあなたの女じゃないわ！離して！」晴子は恐怖で叫び声を上げ、心臓の鼓動が雷鳴のように耳元で響いた。

「夢夜、お前は永遠に俺の女だ」深川はそのまま立ち、暗い声が耳元で響いた。

同時に、携帯から電話をかける音が聞こえた。瀬名澄人の声が聞こえるまで、晴子は深川律というこの狂人が何をしているのか分からなかった。

「もしもし」

深川は携帯を晴子の横に置いた。晴子は震える声で応じた。「澄人さん」

「晴子、どうしたの？」澄人は晴子の声の様子がおかしいのに気づいたようで、尋ね返した。