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第3話

「私、大丈夫よ。ちょっと寝ていただけ......」

言葉が終わる前に、深川に唇を塞がれた。晴子は必死に声を出さないようにした。携帯から澄人の声が聞こえる中、晴子は体中を数千匹の蟻に噛まれているような苦痛を感じた。

「もう少し休んでいていいよ。後で呼びに行くから」

晴子は反射的に何か言おうとしたが、深川に隙を突かれた。唇と歯が重なり合う中、晴子はかつてない恥辱感を味わった。深川の挑発に体が反応してしまうことが、そして深川に対する本能的な体の反応が、何より憎らしかった。

深川が遊ぶように手を止めると、晴子はやっと「はい」と携帯に向かって言えた。何か言い足そうとしたが、再び深川に口を封じられた。

下半身に冷気を感じ、晴子は目を見開いて必死に体をよじった。深川の目は熱く赤く染まっていた。

「晴子?」電話の向こうで澄人は眉をひそめ、直感的に何かおかしいと感じた。「もしかして......」

深川は片手を使って、すぐさま電話を切った。

晴子は自分の上に乗っかっている男を見つめ、タイミングを見計らって深川の耳たぶに噛みついた。これが深川の弱点だった。案の定、深川は頭を上げ、耳を押さえて体を震わせ、真っ赤な目で晴子を睨みつけた。

「彼もお前を夢夜と呼んでいるのか?」深川の手に力が入り、晴子の骨を砕きそうだった。

「深川さん、私たちの関係はもう終わったわ!3年前に終わったのよ!」

晴子は恐怖を抑えながら、歯を食いしばって叫んだ。その大きく丸いアーモンド型の瞳は、涙で濡れた葡萄のように、人の心を揺さぶった。深川が最も抗えないのは、晴子のこの表情だった。哀れみを誘うと同時に、どこか強情さを秘めている。

深川はその整った小さな顔を両手で包み、涙を拭った。「夢夜、お前は本当に天真爛漫だな」深い瞳に怒りの色が混じった。「3年前のことを、俺が許すと思ったのか?」

「晴子?」

ドアの外から澄人の声が聞こえ、晴子の体が震えた。

深川は振り返り、瞬時に目つきが鋭くなり、ドアを見つめた。

晴子は慌てふためいた。澄人がドアを開けて入ってくるのも怖かったが、深川が意図的にドアを開けるのも恐ろしかった。この休憩室は小さすぎて隠れる場所もない。もし澄人に、自分がこんな状態で深川と一緒にいるところを見られたら、すべてが終わってしまう。

「どうしたの?澄人さん?」

晴子は目覚めたばかりのふりをして声を上げたが、目はドアノブを固く見つめていた。

深川は悠々と立ち上がり、晴子の隣に座った。彼女の慌てふためいた様子を見て、口元に遊び心のある笑みを浮かべた。「どうした?彼に不貞を見られるのが怖いのか?」

晴子は深川を睨みつけたが、心臓は激しく鼓動していた。

耳元で機械的な女性の声が聞こえた。「認証に失敗しました」

晴子の胸のつかえが下りた。

深川は笑いながら彼女にキスをし、片手でソファーから例の帯を手に取った。晴子は下半身に冷たさを感じ、瞬く間にあの屈辱的なものを装着させられた。

「深川さん!」

晴子は奥歯を噛みしめ、深川を押しのけた。

脱がされた下着を見つめ、下半身に感じる締め付けるような冷たさは、どこか見知らぬ感覚でありながら、懐かしくもあった。

彼女は終わったのだ。

「晴子?」澄人の声が再び聞こえた。

深川は長い脚で一歩踏み出し、ドアの後ろに立った。手はすでにドアノブに掛かっていた。

晴子は驚愕し、身なりを整える暇もなく深川の前に立ちはだかり、必死にドアを塞いだ。

二人の距離は極めて近く、晴子は深川の熱い吐息が自分の頬にかかるのを感じた。その息遣いはますます荒くなっていった。

彼女は眉をひそめ、彼は顔を近づけた。

低く魅惑的な声が響いた。

「夢夜、こんなにスリリングな遊びが好きだったとは」

深川は指で彼女の髪をかき分け、一筋の髪を持ち上げた。その目つきは朦朧として、どこか色気を帯びていた。

晴子は瞬時にその言葉の意味を理解し、両手で彼の胸を押した。

しかし、その熱さに驚いてしまった。

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