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第24話

「どけ!」

梁井信田は怒りを抑えきれず、紗耶を押しのけた。地面に屈んで晴子の様子を確認し、「早く鎮静剤を持ってこい!」

注射器の中の液体が腕に注入されると、晴子はゆっくりと落ち着きを取り戻した。目を開いたまま、動かずに地面に横たわっていた。

「夢夜、もう一度チャンスをやる。実は君弥を連れ出したことは構わない。ただ、最後の一仕事を俺のためにやってくれれば良い。その土地さえ手に入れば、もう二度とお前に難癖はつけない」

晴子はため息をつき、紗耶の方を向いた。

「澄人さんはその土地で瀬名家の地位を固めようとしているのに、江口さんは知らないの?」

「ふん、そんなことどうでもいいわ。今の私は彼が不安定になって、私に助けを求めてくるのを願ってるのよ」紗耶は無関心そうな態度を取った。

澄人さん、本当に間違った人を愛してしまったのね。

晴子は心の中で冷笑した。「梁井さん、この土地の件は江口さんが提案したんでしょう?でも考えたことある? あなたが土地を手に入れても、今の深川律の浜江市での地位を考えれば、あなたも同じように失敗するわ」

晴子は梁井信田たちの時間を引き延ばそうとしていた。彼女は来る前に既に警察に通報し、自分の位置情報を澄人に送っていた。

「余計なことを言うな。手に入れさえすれば、売り払ってもいい。これは深川が俺に借りがあるんだ!

夢夜、分別のある行動をとることをお勧めするぞ。さもなければ、お前の末路は緩利依織以上に悲惨なものになる」

言い終わるや否や、梁井は部下から正体不明の包みを受け取り、晴子の目の前で開いた。

晴子は目を見開き、パニックになって必死にもがいた。

「やめて」

晴子は四肢を押さえつけられ、苦痛と絶望の叫び声を上げながら、梁井信田が近づいてくるのを見つめていた。

彼女は思った。澄人を待つことはできないだろう。

もしかしたら、澄人はここに来る勇気さえないかもしれない。紗耶がいるから。

彼女はどうして忘れていたのだろう。澄人は紗耶を守らなければならないはずだ。

晴子は徐々に抵抗をやめた。これでいい、こうして終わるのも。これが最良の結末かもしれない。

「梁井さん、久しぶりだな!」

冷淡さと嘲りの混じった声が響き、個室のドアが開いた。

深川?

晴子の心に一筋の希望が灯った。彼女はドアの方を見た。皮肉なことに、本来最も自分を
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