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第042話

これはどうしても見つけられなくて、脅しにかかってるのか?

響也は冷笑しながら薄く唇を引き締め、バックアップ用のハードディスクを接続して、匿名で涼介にメールを送った。

涼介はそのメールを受け取った。

メールにはビデオしかなかった。

画面には、理恵が巨大な眼鏡をかけ、パソコンに向かってコードをにらみつけながら眉をひそめている姿が映っていた。

しばらくすると、何かを思いついたように、急いでキーボードを叩き始めた。

「これ......」

白石は動画を見つめ、驚きの声を上げた。「さっきの相手は本当に桜井さんだったんですか?」

「違う」

涼介は落ち着いてコーヒーを一口飲み、「彼女のパソコンに映っているのは、基本的なプログラムだ。それに、彼女が打ち込んでいるのも正しい解読法じゃない。

さっき俺と対戦していた相手は、そんなレベルの人間じゃない。彼女ではありえない」

白石は理解したようにうなずいた。

「理恵の家に行くぞ」

涼介はコーヒーカップを置くと、立ち上がり、大きな一歩を踏み出しながらオフィスを後にした。

白石は驚いてすぐに追いかけた。「でも、先程ネットで戦った相手は桜井さんじゃないっておっしゃっていましたよね?

それなのに、どうして彼女の家に?」

涼介の背筋の伸びた姿がエレベーターに乗り込んだ。「そのビデオ、多分理恵が格好をつけるためか、何かのために撮影したものだろう

だが、それが今までネット上に出回ったことはない」

白石はハッとした。「つまり、誰かが彼女のパソコンをハッキングした可能性があるんですね?」

「それだけじゃないぞ」

涼介はエレベーターの閉じる扉をじっと見つめ、目に鋭い光を宿して言った。「そのビデオを送ってきた相手は、何か意図があって送りつけてきたに違いない。

この件に理恵が関わっている可能性は高いぞ」

白石は頷いた。「さすが、社長ですね。お見通しですね」

「紗月も呼んで、一緒に行くぞ」

涼介は頭を軽く揉み、痛みを和らげるようにして言った。

今日、紗月も被害者の一人だ。彼女にも何かしら説明しなければならない。

......

理恵の家では。

彼女がシルクのパジャマを身にまとい、お茶を飲みながらマネージャーと一緒にパソコンを見つめていた。

画面には、ネット上で紗月に対する誹謗中傷が次々と更新されていった。

「身
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