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第044話

コンピュータの画面が消えた直後、ドアのところに涼介の姿が現れた。

「涼介」

理恵は気まずそうに立ち上がり、ぎこちない笑みを浮かべた。

反射的に体でパソコンを隠しながら、「どうして急に家に来たの?」と尋ねた。

涼介は眉をわずかにひそめ、隣の白石に目を向けて言った。「パソコンを起動しろ」

理恵は白石を遮りながら、必死に笑顔を保とうとしつつ言った。「なんで、来た途端にパソコンを起動するなんて言うの?」

そう言いながら、理恵は動揺を隠そうとしてマネージャーに指示した。「お客さんをリビングに通して、紅茶でも入れてちょうだい」

口ではそう言うものの、その声にはすでに微かな震えが混じっていた。

「お茶は結構だ」とドア口に立っていた涼介は冷淡に答えた。

「白石に起動しさせたくないなら、自分で起動しろ」

理恵の手はぎゅっと拳を握りしめた。

涼介が来たのはあまりにも突然で、何の準備もできなかった!

パソコンの中には、サクラ業者とのやり取りの記録や、涼介と紗月が買い物に出かけた際の写真がすべて残っていた。

もしそれを涼介に見られたら、結果は想像もしたくなかった。

「もしかして、桜井さんのパソコンには、見られたくないものでも入っているの?」

冷ややかな女性の声が響いた。

理恵の体が硬直していた。

顔を上げると、そこに立っていたのは、彼女がネット上で侮辱したばかりの紗月だった!

なぜ紗月までここにいるの?

ネットで涼介と紗月の関係が噂されていることを理恵自身が広めたが、涼介の心には彼女の姉である桜井紗月しかいないことは理恵が一番理解していた。

彼がこの女に興味を持つはずがなかった!

では、なぜ彼は紗月を連れてここに来たのか?

嫌な予感が胸に押し寄せてきた。

「白石」

涼介が再び冷たく命じた。

白石は理恵の硬直した体をすり抜け、パソコンを起動させた。

「社長、確認できました」

高身長の涼介は理恵を一瞥し、パソコンの前に歩み寄った。

予想通りだ。

パソコンには、今日ネットで起こった一連の出来事を理恵が計画していた証拠がすべて残されていた。

「ふっ」

涼介が冷笑を浮かべると、部屋全体が一気に冷え込むようだった。

理恵の顔は壁よりもさらに青ざめていた。

一方、ドア口に立っていた紗月は目を細めていた。

ついさっきまで彼女は家であかりを
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