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第047話

この結果に紗月は驚きを隠せなかっただけでなく、理恵も一瞬、呆然とした。

どういうことなの?

確かにサクラ業者に送金したのは自分だし、使ったのも自分の個人口座だった。それがどうして突然、会社の口座に変わってしまったのか?

だが、それを考えている場合ではなかった。

理恵は気持ちを切り替え、すぐに振り向いて再びマネージャーの頬を叩きつけた。「お前、まだ良心があったのね!

会社の口座を使ってくれたおかげで、私は助かったわ。これが私の個人口座だったら、いくら釈明しても無理だったわ」

マネージャーも、理恵の意図をようやく察し、仕方なく彼女に合わせた。「こんなこと、わざわざあなたの個人口座でやるわけないじゃないよ......」

理恵は満足げに口元を歪め、紗月を一瞥した。「これで無実が証明されたでしょ?」

紗月は眉をひそめ、どうしてこうなったのかを考え込んでいた。

透也からもらった記録は間違いないはずだ。

ふと、彼女の目は涼介に向けられた。

もし透也が間違えていないのなら、この状況は涼介が故意に仕組んだものだ。

彼は、わざと白石に会社口座からの送金だと言わせた。

理恵を無罪にするための演出だったのだ。

「もう事実は明らかになったな」

涼介は無表情でマネージャーに視線を送り、「サクラ業者に連絡して、この件を止めさせろ」と冷淡に言い放った。

理恵とマネージャーは無言のうちに視線を交わした。

マネージャーは理恵の予備のスマホを手に取り、サクラ業者の番号を見つけてダイヤルした。

「ネット上の活動、止めろ」

「えっ、どうしてですか?

まだ桜井さんの要求に達していませんよ?」

電話の向こうから「桜井さん」という名前が聞こえると、マネージャーは慌てて受話器を手で覆い、声が漏れないようにした。「止めろと言ってるだろ。文句言わずにさっさとやれ!」

そう言い放ち、電話を切ってそのままスマホを元に戻した。「佐藤さん、手配いたしました」

「うん」

涼介はテーブルの上に置かれたスマホにちらりと視線を送った。

理恵はすぐにそれを察し、彼の疑いを晴らすために慌てて身を乗り出してスマホを隠すように立ちはだかった。「涼介、安心して。今すぐに会社に報告して、解雇手続きを進めるわ」

「彼女は無責任というわけではない」

涼介は冷ややかな目でマネージャーを一瞥し、「むし
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