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第6話

「由美子が怖いのか?」

拓真の低い声が響いた。「心配するな。俺は彼女にお前を傷つけさせはしない」

「違います......!」

私は怯えたように首を振り、声を詰まらせた。「私なんか、身分が低いから......榊さんには釣り合いません......」

可愛らしくも哀れな表情が、まるで小動物のように拓真の保護欲を刺激した。

案の定、彼は私をさらに強く抱きしめた。

「誰がそんなことを言った? 雪村、君は俺にとってこの世で一番大切な宝物だ」

そう言うと、彼は私を一瞬だけ解放し、精巧なジュエリーボックスを取り出した。

「これをお前に」

「これって......」

私は驚いた表情でボックスを開けた。

Kブランドとのコラボで限定発売された「海の煌めき」ダイヤモンドブレスレット。

108個のダイヤモンドが星のように輝き、まるで空に浮かぶ月を囲む星々のようだ。

全国にたった一つしかない、貴婦人たちが喉から手が出るほど欲しがる逸品だった。

そんな貴重なブレスレットを、拓真が私にくれるなんて。

私は心の中で喜びを抑え、冷静な表情で再びボックスを彼に押し返した。

「ダメです、このブレスレットはあまりにも貴重です。私にはもったいなさすぎます」

私の目は澄んだ光を放ち、欲望の色は一切感じられない。

それを見た拓真は満足げに微笑み、私の手を取ってブレスレットを再び手渡した。

「いいんだ、受け取ってくれ。君は俺の女だ。もっと良いものを持つ価値がある」

「榊さん、なんて優しいんですか!」

私は感激したふりで彼の胸に飛び込み、彼の腰をぎゅっと抱きしめた。

身体が密着し、胸元の白い肌が彼の胸にわずかに触れる。

その瞬間、拓真の体が硬直した。

柔らかい触感が電流のように彼の全身を駆け抜けた。

「んっ!」

拓真は抑えきれないうめき声を漏らし、呼吸が荒くなった。

彼の体は明らかに変化していた。

スーツの下で、彼の体は熱を帯び、硬くなって私の腰に強く押し付けられていた。

私は内心、興奮を感じた。

長引かせるのは得策ではない。

今こそ、拓真を完全に自分のものにする時だ。

私は無邪気な顔で彼を見上げた。

「どうしたんですか、榊さん?どこか具合が悪いんですか?」

拓真は暗く、燃えるような視線を私に向け、欲望に満ちた眼差しで私をじっと見つめた。

まるで目の前の獲物を喰らおうとする狼のようだった。

彼は強引に私の顎をつかみ、唇を重ねようとした。

私は軽く避けたが、次の瞬間、彼が再び唇を寄せてきた。

今度は避けなかった。

駆け引きは一度で十分だ。

拓真は情熱的に私の唇を奪い、その大きな手が私の背中から服の中へと忍び込んできた。

「榊さん、そんな......」

私は誘惑するような目つきで彼を見つめ、まるで甘えた子猫のような声で囁いた。

その声に、拓真の欲望はさらに掻き立てられ、目の縁が赤く染まった。

「そんなって、どういうことだ?」

拓真の声はかすれていた。「大人しくしてろ、もっと可愛がってやる」

彼は私の腰を持ち上げ、私をそのまま彼の膝の上に乗せた。

薄い衣料を隔てて、彼の硬い熱が再び私に押し当てられた。

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