共有

第36話

私は不意を突かれ、由美子に喉を強く絞められた。

「は......放して......」

由美子の力は凄まじく、私は必死で彼女の手の甲を爪で食い込ませるほど押さえつけたが、それでも振り払うことができなかった。

呼吸が詰まり、顔は青ざめていく。次第にめまいが襲い、意識が遠のいていくようだった。

苦しくてたまらず、私は必死に助けを求めた。

「だ、誰か......助けて......助けて!」

しかし、由美子は狂ったように笑いながら私を見下ろし、言った。

「雪村、どんなに叫んでも誰も来ないわよ。使用人はみんな私が追い払ったから。

無駄な抵抗はやめて、早く死になさい!」

私は心の中で絶望を感じた。由美子の言うことが真実だとわかっていた。

でも......私はこのまま諦めるわけにはいかない。死ぬわけにはいかないんだ。

歯を食いしばり、全力で由美子の足の甲を踏みつけた。

「ぎゃっ!」

由美子は苦痛に叫び、絞める力が一瞬緩んだ。その隙を見逃さず、私は彼女を突き飛ばし、すぐに逃げ出した。

......

由美子は私を追い詰めて屋上までやってきた。もう逃げ場はなかった。

私は縁に立ち、体がふらつきながらも、必死に由美子が近づいてくるのを見ていた。

そして、彼女と取っ組み合いになった。激しくもみ合う中で、突然、鋭い悲鳴が夜空を切り裂いた。

「ドン!」

一つの人影が糸の切れた凧のように、天台から真っ逆さまに落ちていった。

私は頭が真っ白になり、震える足で縁に駆け寄り、下を見た。

そこには、由美子が目を見開いたまま、冷たい地面に横たわっていた。

髪は乱れ、血の海が広がり、もう彼女は微動だにせず、息絶えていた。

全身の力が抜け、私はその場に崩れ落ちた。両手を握りしめて体を支えながら、徐々に心が落ち着いていくのを感じた。

報いが来ないわけではない。ただその時が来るのを待っていたんだ。

由美子は私を殺そうと執拗に追い詰めたが、皮肉にも自分のミスで命を落とすことになった。

「翔太、ママはついに翔太の心臓を取り戻したよ」私はすすり泣きながら呟いた。

胸にのしかかっていた重石が、ようやく取り払われたように感じた。

騒ぎを聞きつけた使用人たちが戻ってきて、現場は一気に混乱した。

しかし、大和の姿はどこにも見当たらなかった。

私は彼の部下を見つけて、問い
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status