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第8話

「いい子にしてね。今は大事な用事があるから、手が空いたら、ちゃんと君に付き合ってあげるよ。

そうだ、君は何が欲しい?

ジュエリーでも、アクセサリーでも、何でも買ってあげる」

彼は高価な物で私をなだめようとしている。

「何もいりません」私は少し甘えたような声で答えた。「明日のチャリティーオークションに、私も連れて行ってくれますか?

一度、そういう場を見てみたいんです」

「もちろんだ!」

拓真は迷うことなく、すぐに承諾した。

そして、少し私をなだめた後、電話を切った。

私はスマホをベッドに放り投げ、唇に冷笑を浮かべた。

分かっている。今のところ、拓真にとって私はまだそれほど重要な存在ではない。

でも焦らない。

必ず彼を完全に自分のものにし、共に堕ちていく自信があるからだ。

......

翌日、拓真は由美子と一緒にチャリティーオークションに出席した。

彼は別の車で私を迎えに寄こした。

私は淡いブルーのデニムパンツに白いシャツを合わせ、髪を後ろで軽くピンで留めただけのシンプルな装いだった。

化粧は一切していなかったが、素顔だけで十分だった。

瓜実顔に、はっきりとした目鼻立ち。視線を投げかけるだけで自然と色気が漂っていた。

肌は透き通るように白く、まるで剥きたての卵のように滑らか。

会場に入ると、周囲の視線を一身に集めた。

もちろん、拓真と由美子もその視線の中にいた。

由美子は拓真の腕にしがみつき、まるで仲睦まじい夫婦のように見えた。

しかし、拓真が私を見た瞬間、その目は驚きと魅了の色を隠せずにいた。

由美子は私が来たことに驚いたようで、顔色が良くなかった。

特に、拓真が私を見つめるその視線を見た時、彼女は怒りを抑えきれず、歯を食いしばっていた。

その時、誰かが拓真に話しかけ、彼は一旦その場を離れた。

由美子は迷わず私の方に近づいてきた。

「雪村さん、来たのね。ちょうど良かったわ。後ろについてきて、いつでもワインを注げるようにしておいて」

彼女はウェイターのトレイから一本のワインボトルを手に取り、私に向かって差し出した。

その高慢な口調は、まるで威張り散らす孔雀のようだった。

「分かりました、奥様」

私はワインを受け取り、顔には何の表情も浮かべなかった。

彼女は私の上司の妻だ。今はまだ逆らえない。

それに、ま
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