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第9話

「ねえ、聞いた?Kブランドとコラボした新作の『海の煌めき』ダイヤモンドブレスレット、108個のダイヤモンドが星を囲むように輝いているんだって。全国にたった一つしかないらしいわよ」

「雑誌で見たわ、すごく美しかった!」

「でも、あまりにも高価すぎて、一体誰が買えるのかしら?」

「皆さん、知らないでしょう?内部情報によると、あのブレスレットを買ったのは、榊さんだそうよ」

その瞬間、全員の視線が一斉に由美子に向けられた。

由美子の目に一瞬戸惑いが浮かんだが、すぐにそれは恥ずかしそうな笑みに変わり、彼女は嬉しそうに言った。「まったく、私の夫ったら、いつもサプライズを仕掛けてくるのよ」

これに対して、周りの名媛や貴婦人たちはますます羨ましがった。

「そうよね、やっぱり『海の煌めき』のダイヤモンドブレスレットに相応しいのは榊夫人しかいないわ」

「ご主人はお金持ちで、それに妻を大切にしているなんて、私たちは本当に羨ましいわ」

由美子は満足そうに笑い、褒め言葉に陶酔していた。

一方、私は眉を軽く下げ、唇の端に冷たい笑みを浮かべた。

「きゃっ!」

突然、私はわざとウェイターにぶつかるふりをして、軽く声を上げ、手を震わせた。その結果、赤ワインが袖口にこぼれ落ちた。

ワインボトルを置き、私は袖を拭こうと手を伸ばした。

「『海の煌めき』のダイヤモンドブレスレット!」

一人の名媛が私の手首に目を留め、大声で叫んだ。

私が動くと、袖口から美しく豪華な『海の煌めき』ダイヤモンドブレスレットが滑り出て、眩しい輝きを放ったのだ。

その光景を見た名媛たちは、信じられないといった表情で驚愕した。

「なんてこと......!『海の煌めき』のダイヤモンドブレスレットが、この秘書の腕に!」

「榊さん、見てください!」

由美子は慌てて私の方へ駆け寄り、私の手首を掴んで叫んだ。「雪村、どうしてあなたがこの『海の煌めき』を持っているの?」

私は驚いたふりをして後ろに二歩下がった。「あ、あの......」

由美子の表情は次第に凶暴なものに変わっていった。

先ほど、内部の情報で『海の煌めき』を拓真が購入したと聞いていた。

それが今、私の手首に輝いている。

彼女の声は怒りと恐怖が入り混じり、「その『海の煌めき』は、あなたが盗んだんじゃないの?」と非難した。

「そうに決ま
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