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第11話

次の瞬間、私の体にのしかかっていた重みが突然消えた。

拓真が現れたのだ。

彼は仲間を引き連れて、私の元に駆けつけてくれた。

私の上に乗っていた、金髪の小柄な男を力強く掴み上げ、勢いよく壁に叩きつけた。

ドン!

男は壁にぶつかり、そのまま崩れ落ち、口から血を吐き出した。

拓真はすぐに私の方を心配そうに見つめた。

私はすでに体を起こし、涙を流しながら膝を抱え込み、怯えた子猫のように震えていた。

その姿は見る者の心を打つものがあった。

拓真はそっと私に近づき、ジャケットを脱いで優しく私にかけてくれた。

そして、彼は強く私を抱きしめ、顎を私の頭に軽く乗せながら、低く優しい声で囁いた。「もう大丈夫だ、鈴。俺が来たから」

やっぱり、私が別れを告げた電話を受けて、彼はすぐに駆けつけてくれたのだ。

それも、完璧なタイミングで。

拓真の胸にしっかりと抱かれていると、その温もりが私の恐怖を徐々に和らげていった。

彼の仲間たちはすでにチンピラたちを全員制圧していた。

その時、拓真の助手が近づいてきて尋ねた。「榊さん、こいつらはどう処分しますか?」

拓真の端正な顔には冷たい怒りが漂っていた。「全員警察に突き出せ」

チンピラたちは恐怖に怯え、必死に許しを請うていたが、すぐに口を塞がれた。

その時、私は涙で濡れた瞳を上げ、特に由美子に指示を受けていたリーダーのチンピラを見つめた。

私は怯えたふりをしながら、拓真にすがりついて哽咽した。「彼の手......さっき、すごく痛かった......」

拓真の目は一瞬にして鋭さを増した。

部下に視線を送ると、黒服の男はすぐに理解し、突然、手に鋭いスプリングナイフを取り出した。

リーダーのチンピラは恐怖に顔を歪め、激しく抵抗したが、すぐに押さえつけられた。

そして、ナイフが振り下ろされた。

「ぎゃああああ!!!」

血しぶきが飛び散り、チンピラは地獄のような悲鳴を上げた。

拓真は優しく私の目を覆い、「見なくていいよ、鈴。汚いからね」と囁いた。

私は素直に彼の胸に顔を埋め、誰にも見られないように、唇の端に微かな冷たい笑みを浮かべた。

......

拓真は私を車に抱き上げ、後部座席に一緒に座った。

私の長いまつ毛にはまだ涙の滴が揺れており、その儚い姿はどこか痛々しいものがあった。

チンピラたちに破られた
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