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第17話

私は無害で純粋なふりをしながら微笑んだ。「ああ…そうだ、あなたの母親の骨灰は、もう肥料にしてやったわ」

唇をゆるめ、私はその場を後にした。

心を抉るとは、こういうことだ。

流産後、私は偶然、夫と義母の会話を耳にしたことがあった。

「母さん、もう少し丁寧にやれないのか?」

その言葉を聞いた瞬間、私は清和が義母を責めているのだと思った。私を階段から突き落としたことを咎めているのだと。

しかし、彼の次の一言は、私を氷のように冷え込ませた。

「母さんが持ってきた薬で、あのガキを堕ろせなかったなんて、もうどうでもいいけど、こいつが入院することになったのは、マジでたまらないよな。俺が稼ぐのがどれだけ大変かわかってるのか?」

清和は苛立ちながら言い、私の前で見せる優しさや心遣いとはまるで別人だった。今の彼こそが、本当の彼だった。

私は彼の言葉を耳にしながら、涙が自然と頬を伝っていた。

「母さん、あなたは本当に馬鹿だ」

「俺が言っただろ、階段に油を塗って、あいつを押せばいいって」

「彼女なんて簡単に操れるんだよ。あとで少し優しく言えば、すぐに騙されるだろ?」

私に対して、愛を誓ったその男が、裏では義母に私の子供を堕ろす方法を教えていた...…

私は唇を押さえ、心が引き裂かれるように痛んだ。

その時、私はわかった。この子は、決してこの世に生まれてくることはできないと。

だから、義母は私を突き落としたのだ。

その後、私は徐々に、清和が私の知らないところで浮気をしていることに気付き始めた。彼が家に帰ってくるたび、彼の体にはいつも違う香水の匂いが漂っていた......

昔、私は田中刑事にこう聞いたことがある。

「最も親しいはずの枕を共にする人が、裏切りの心を抱くなんて…...」

田中刑事の答えが、すでに全てを証明していた。

私は大広間に向かい、田中刑事が私の前に立ちはだかった。「水島玲奈、あの誤った鑑定書は、君がわざと清和に見せたものだろう?」

私は少しだけ悔しそうな表情を浮かべた。

私の計画は完璧ではなかった。

だが、それが何だというのだ?

私は殺人を犯していないし、私は何もしていない。

悪いのは、彼らだ。

私は微笑みながら田中刑事を見つめ、「それが故意だったかどうかは、もう関係ないでしょう、田中刑事」と答えた。

義母を清和が殺した
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