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第10話

その後、夫は何度も私に謝罪し、母親を心配していたため、焦って酒を飲んでしまい、つい衝動的に行動してしまったのだと弁解した。

しかし、左頬の痛みはまだ鈍く続いていた。

事件はまだ調査中であり、義母が失踪する前の最後の場所には監視カメラがなかったため、警察の捜査は行き詰まりつつあった。

しかし、すぐに新たな発見があった。

警察は、義父が数ヶ月前に義母に6千万円の生命保険をかけていたことを突き止め、その保険金の受取人はなんと義父自身であることが判明した。

瞬く間に、真面目でおとなしいはずの義父が最大の容疑者として浮上した。

この数日、義母が失踪しても義父がまったく焦らない態度を思い出し、私は背筋が寒くなった。

私は信じられない気持ちで言った、「最も親しいはずの枕を共にする人が、裏切りの心を抱くなんて…...」

田中刑事は冷静に、「もちろんあり得ることです」と答えた。

私は田中刑事の質問に対し、正直にすべて答えた。

義父が義母の財産や巨額の保険金を狙っていたこと、そしてそれが義母失踪の日の動機として成り立つことを。

しかし奇妙なことに、義父はその日の夕方、下の小さな商店で涼んでいたと言い、さらに多くの人がその証言をしていたのだ。

皆が口を揃えて、義父は無実だと言っていた。

ここで私は少し躊躇しながら、まつげを震わせた。「ちょっと言いにくいんですが…」

田中刑事は「続けてください」と促した。

「義父はその日の6時頃に部屋に戻ってきたのですが、その後彼が外に出たかどうかは、私はよく分かりません」

この発言によって、義父には犯行を行う時間が十分にあったことになる。

しかし、私の家は3階にあり、義父が階段を使って外に出た可能性もある。

この古い住宅地には廊下に監視カメラがなく、義父が階段を下りたかどうかを証明するのは非常に難しかった。

田中刑事は周辺の通りや地下駐車場の監視カメラを確認したが、義父の姿はどこにも映っていなかった。

再び田中刑事は私に視線を向けた。

「義父は、彼が帰ってきた時にあなたがちょうど階段を上っていたと言っていますが」

「ただの偶然です」

「その時刻はちょうど6時50分。義母が失踪した時刻とは50分の差がありますが、その間、あなたは何をしていたんですか?」

私は視線をそらしながら答えた。「私はその時、買い物に行っ
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