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第13話

田中刑事は目を細め、重々しい口調で言った。まるで最後の宣告をするかのようだった。

「玲奈」

「まだ何か言いたいことはありますか?」

「田中刑事、そんな風にして二つのブレスレットが私のものだと決めつけないでください。私が何の理由もなく、義父を陥れようとするわけがありません」

田中刑事は何も言わず、検査報告書を一枚取り出して私の前に置いた。

私は瞳孔がわずかに震えた。

こんな隠していたことまで見つけられたの?

「玲奈、話してもらいましょうか」

私は目を伏せ、涙がポタポタと床に落ち、やがてシーツを濡らしていった。

田中刑事が取り出した報告書には、ある薬物成分がはっきりと示されていた。その薬物の主な効果は、人を眠らせるというものだった。

しかも、その検出源は…...

家のお碗だった。

「どうやって気づいたんですか?」

「その日、私が家に入ったとき、君は私にスペアリブスープを飲ませようとした。碗棚の上には碗があったのに、わざわざ棚の下から小さな碗を取り出していたね」

「君は意図的に我々の目をスペアリブに向けさせ、スープを盛るための碗には気づかせなかった」

その言葉を聞いて、私は虚ろな笑いを漏らした。

結局、見つかってしまったのだ。

私は碗に薬を塗っていたから、田中刑事は無事だったのだ。

しかし、同じスープを飲んだ夫と義父は、食欲が増し、眠気が強くなり、私のその後の行動を容易にした。

義父は長年薬を服用していたが、碗に塗られた薬との相反作用で、彼は非常に怒りっぽくなっていた。

「君は賢いね。私たちがいずれ真相に辿り着くことを知っていて、義父が眠っている間に地下室の鍵を盗み、ブレスレットを先に置いておいたんだ」

「それと、あの巨額保険については...…」

「君の義父は保険料を払っていないんだろう?君が仲介人として彼を説得し、保険会社のキャンペーンだと偽って信じ込ませたんだ」

タダの保険、しかもお金まで渡すという話なら、義父は当然それを受け入れる。

これはすべて、普段から義母が家計を厳しく管理していたおかげで、義父が口を閉ざしていたのだ。

こうして、義父が義母を殺害した犯人として疑われるように仕向けたのは、私の計画だった。

田中刑事は私に尋ねた。「後悔しているか?」

私は涙で濡れた顔を伏せ、固く握りしめた手を解かずに、誓いを込め
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