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第2話

義母が失踪する1ヶ月前、彼女は神妙な顔つきで私に何かを持ってきた。

その匂いを嗅ぐなり、私は思わず吐き気を催してしまった。「うっ…...」

夫でさえ顔をしかめながら尋ねた。「お母さん、何を作ったの?こんなにひどい匂いがするなんて?」

義母は鍋の蓋を開け、黒くて正体不明のものが見えた。そして無理やりその一杯を私の前に置いた。

その物体からは強烈な生臭さが漂い、私の胃が反応して暴れ出し、抑えられない吐き気がこみ上げてきた。

「おやおや、お前はまるで私が虐待してるみたいじゃないか。これはお前にとって大事な栄養なんだよ!」

「お前のために、わざわざ田舎から子宝の秘伝を持ってきたんだぞ。清和が飲みたがっても、これはお前専用なんだ。」

義母は夫の前ではいつも良い姑を演じていたが、私に対しては全く違った。

夫にそれとなく相談したことがあったが、彼は気にも留めずにこう言った。「玲奈、お前は家で楽してばかりいるから、怠け癖がついたんだよ…...」

怠けてる?

水島家に嫁いでから、洗濯、料理、掃除といった家事はすべて私に押し付けられていた。

義母の気に障ると、すぐに怒鳴りつけられ、ひどいときは手を上げられることもあった。

今、再び夫に助けを求める視線を向けたが、彼は私の手を押さえ込んで言った。「玲奈、母さんの言うことを聞いて、飲んでくれよ。俺たちの子供が欲しくないのか?」

子供…...子供…...

夫が私に顔を寄せると、彼の体から異様な香りが漂ってきた。

しかし、私は香水を使ったことなど一度もない。

机の下で、私はそっと拳を握りしめ、微笑みながら言った。「わかった」

私はその臭いをこらえながら、粘ついた肉を無理やり口に運んだ。

食べている途中で、まるで胃の中から何かが飛び出してくるような感じがした。

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