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第12話

私の肩からは一瞬で鮮血が溢れ出した。

包丁は床に落ち、周囲が血に染まった。

義父の顔は真っ青になり、信じられないといった表情だった。

夫は慌てて後ろに下がり、すぐにドアを開けて叫んだ。「殺人だ!殺人だ!」

…...

病院で目を覚ましたとき、私の肩の傷には20針以上も縫い目があり、少しでも動くたびに激痛が走り、汗がにじんだ。

私は顔色も悪く、ベッドに寄りかかりながら、乾いた唇でぼんやりと窓の外を見つめていた。

田中刑事の話では、義父は一時的に拘禁されているが、今後の処遇は私がどれだけ許すかにかかっているらしい。

傷口がまだ痛む中、私は義父が私に包丁を振り下ろした場面を忘れることができなかった。

そして、夫の清和が私をためらわずに突き飛ばしたその瞬間も忘れられない。

人は利益ばかり見て、害には気づかず、魚は餌を見るが、釣り針を見ることはない。

釣り人だけが全てを冷静に見ているのだ。

私は涙がこぼれそうになり、嗚咽をこらえながら口を開いた。「田中刑事、まさか義父があんなに怒るとは思いませんでした。本当に怖かったです…...」

私は田中刑事に、義母の件で夫と義父が口論になり、義父が激怒したことで私が負傷した経緯を説明した。

あの包丁は、あと少しで私の筋肉や骨を切り裂くところだった。それは、ほぼ殺意に近い行為だった。

この一件で、警察は義父に対してさらに疑念を抱くことになった。

警察は新たに捜査班を派遣し、地道な捜索を行い、義父を取り調べることにした。

自分の息子や嫁にまで手を出し、血を見ても動じない義父が、義母の失踪に関わっている可能性が高まったのだ。

やがて、警察は地下室で義母の失踪当日に落とされた黄金のブレスレットを発見した。

このブレスレットは私と義母が一つずつ持っていたもので、昨年の正月に清和が贈ったものだ。

義母がこのブレスレットを失くすはずがなかった。

しかも、地下室の鍵を持っていたのは義父だけだった。

警察は義父に対し、24時間体制で厳しい取り調べを続けた。

田中刑事は、女性警官を病室の前に配置し、数日間にわたって多くの親戚が見舞いに訪れた。

親戚たちが義父を非難するたびに、私は涙が止まらず、悲しみに暮れた。

「ただ、早く義母が見つかってほしいだけなんです...…」

清和も私の涙を拭ってくれた。

まるで私た
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