第36話

「もういいわ、もういい！そんなことはもう言わない！」直步の叔母は話の方向を変え、「優子！あなたも弟もおじいさんの血筋よ。あなたがおじいさんの助けで学校に通えたように、今度は直步が結婚する年齢になったんだから、おじいさんが直步を助けるべきじゃないの？」

直步の叔母は、優子が何も言わないうちに自分で話し続けた。「優子、あなたがおじいさんを説得してくれればいいのよ。私たちは家族なんだから、おじいさんやあなたの名誉を汚すために番組に出るなんて本当はしたくないの。おじいさんは大学の教授でしょ？もしこのことが大きくなれば、教育者としての名誉が地に落ちることになるのよ」

優子は顔を曇らせ、「あなたたちは何を望んでいるの？」と聞いた。

「聞いたところによると、大学教授には学校から家が提供されるのよ。おじいさんにその家を弟に譲ってもらうか霧ヶ峰市に別荘を買ってもらうわ。さらに直步には1000万日元の車を買ってもらう。これは私たちの要求じゃなくて、相手の家の要求なんだから。それに相手は2000万日元の結納金も求めているのよ！おじいさんにはお母さんしか子供がいなかったのに、お母さんが亡くなった今は直步しか血筋がいないじゃない？おじいさんの財産は直步の財産よ！それを隠して直步に会わないなんて、お母さんが知ったら本当に死んでも喜ばないわよ！」

「あなたたちは私の実の母を虐待して殺した。森本教授があなたたちを助けることになったら、それこそ生母は本当に死んでも喜ばない！」優子は冷静に答えた。

「電話を私に渡しなさい！」優子の父親である健介は怒りを抑えきれず、電話を奪い取って罵倒した。「優子！僕があんたに甘い顔を見せすぎたんだな！君が森本ってじいさんをそそのかして弟に会わせないのは、弟の家と金を独り占めするためだろ！言っとくが、あのじいさんの家も金も全部弟のものだ！君みたいな尊厳のないクソ女が欲をつくんじゃねえ！僕がぶっ殺す！」

「もう彼女と話すのはやめろ！この恩知らずの娘は12歳の時に僕たちが10万円の前金をもらって彼女を嫁に出す約束をしたのにも関わらず、妹が連れ戻せなかったせいで、1万の賠償を払う羽目になったんだ！」高橋お婆さんは急いで健介の話を遮った。「今度はあの足の悪い男に60万もらって優子を連れ戻し、子供を産ませる約束をしたんだよ！君が彼女を殺したら、またあの男に賠償しなけれ