第35話

優子は意図的に録音しながら自分の感情を抑え、冷静に口を開いた。

「どうしたらそんな無恥なことが言えるの？私の母はもともと幸せな家庭があったのにあなたたちが高橋村に連れ去り、服も着せなかった。挙句に逃げるのを恐れて一日に一度しか残飯を与えず、鉄の鎖で地下室に閉じ込め、殴ったり罵ったりしていた。彼女の足も折ったのに、それで良くしたと言えるの？彼女は16歳であなたたちの家に連れて行かれ、17歳からずっと子供を産み続けた。女の子が生まれるたびに殺し、11年の間に8人の子供を産み、9人目の子供と一緒に手術台の上で亡くなった。これがあなたたちにとって『良くした』って意味なの？こんな『良さ』をあなたにあげたら、受け入れるの？」

高橋お婆さんは優子に激怒し、反射的に最も悪質で下品な言葉を使って優子を攻撃した。

「君！君みたいな良心のない気持ち悪い女が！あんな男の多い場所に行って、たくさんの異性が同じ部屋にいるのに授業だと言ってドアを閉め、実際には尊厳のないことをしてるんだろ！君みたいな女なんて娼婦と何も変わらない！」

優子は眉を軽く上げ、怒ったふりをして声を上げた。「霧ヶ峰市立大学はトップクラスの大学で、国のために無数の人材を育てた聖地です。そんな汚い考えで霧ヶ峰市立大学の学生を侮辱しないで！」

優子が焦って弁解する声を聞き、高橋お婆さんは彼女の弱みを掴んだと思った。そしてさらに容赦なく最も汚い言葉で侮辱し攻撃した。「ふん！名門校なんて言ってるけど、君たちの学校の女子が何人の男と寝たかも分からない。全員男たちに遊ばれてる！そんなやつらが名門校を名乗る資格なんてない！」

「お母さん！電話を私に渡して！」直步の叔母は電話を取ってお婆さんから奪い取り、いつものように善人のふりをし始めた。「優子ちゃん、そんなに怒らないでね！私たちは家族だし、血はつながっているんだからね。もう25歳になるのに結婚もしないで、大学なんかに通うお金を使うのがもったいないのよ。お父さんが学費を返してくれって言ったのもあなたのためなの。大学なんてお金を取るだけのところだからね！女性は若いうちに結婚したほうがいいのよ。結納金がたくさんもらえるし、そのお金で弟の嫁を迎えることができるんだから、家族のために貢献することになるじゃない。あなたの弟こそが高橋家の支えなんだから…」

優子は直步の叔母の話を遮った。