第34話

「瑛介も罪を受けるべきです。これからはもうあなたを困らせることはないでしょう」高村アシスタントは優子のために別荘の門を開けた。

「ありがとうございます」彼女は感謝した。進が彼女を巻き込まないために瑛介へ警告を与えた手段であることを理解した。

どうりで、峻介が彼女に電話をかけてきたわけだ。

きっと責任を追及するためだろう。

乱れたバラック地区の狭い路地の外には、この場所に似つかわしくない黒いスポーツカーが停まっていた。

車内に座った峻介は、電話の向こうから聞こえてきたせわしない音に眉をひそめた。優子が彼をブラックリストに入れたことに気づいた。

彼は苛立ちから携帯電話を横に放り投げ、タバコに火をつけた。

アシスタント席には昨晩優子が部屋に忘れたマフラーが置かれていた。

進の護衛が瑛介を部屋に連れてきた時、彼の渡した薬が本当は真実を語らせるためのものではなかったことを知った。

瑛介は彼が心を許すのを恐れ、騙したのだ。

彼は優子に媚薬を飲ませ、中村悠斗が来るのを待たせた。

優子が高橋村に永遠に閉じ込められると誓ってでも自分で帰ると言ったのは、彼の目的が彼女と中村悠斗を寝かせることだと誤解していたからだと思ったのだ。

優子の「お望み通りに」と言った言葉を思い出し、峻介はどうしようもなく苛立った。

幸いなことに進が来てくれた。

他の人なら峻介は優子の安全を心配するが、進なら…きっとすぐに優子を病院に連れて行ったに違いない。

彼は窓を下ろし、行き交う城中村の人々を見ながら、深くタバコの煙を吸い込んだ。

頭の中には昨晩の優子の表情が浮かび、彼はどうしようもなく苛立った。

峻介は優子に対する印象があまり良くなかった。優子は彼と里美の間に入ってきた第三者であり、追い払えない厄介者だった。

だが、彼を助けるために来た彼女が自殺を考えたと言った時、なぜか峻介の心が痛んだ。

彼は自殺をしようとする人と夕日に照らされ薔薇の壁に彼を押し付けてキスをした明るい少女を結びつけることがどうしてもできなかった。

峻介は記憶を失って以来、初めて彼と優子の過去を知りたいと思った。

しかし、その場面以外は何も思い出せなかった。

『家族探しの記録』は録画放送であり、明日が本番収録の日だ。

夕方番組スタッフから電話があり、優子におおまかな流れと出演予定時間を伝え、