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第23話

私は狂熱の表情を浮かべた悠介を見つめていた。

少し戸惑った。

彼は両腕を伸ばし、私の方を向いた。

「静香、妹よ、やっと会えた」

私は嫌悪感を抱いて背を向けた。

「悠介。

言っただろう。

もうあなたを兄とは呼ばないし、私はあなたの妹でもない」

彼の目の興奮が徐々に消え、腕も下がっていった。

彼は小さな声で言った。「妹よ、俺が死んだら、少しは喜ぶか?」

彼の言葉には少しの期待が込められていた。

「喜ばない。

もし可能なら、私はあなたに……」

彼は静かに聞き、口元に微笑みを浮かべ、顔には病的なまでの敬虔さがあった。

「長生きして孤独に老いる」

彼の顔の笑みが止まった。「静香、何を言っているの?」

「あなたは死ぬことはできない。

なぜなら、私はあなたを見たくないから。

悠介、この世に永遠にいてちょうだい。あなたに会いたくない」

私がこの世を去った日、最後に拓海とあかりに会いに行った。

彼らは私の墓の前に立っていた。

私を偲んで。

風が吹き抜け、私は彼らの笑顔を見つめた。

そして、遠くへ走り去った。

忘れることこそが、本当の自由だった。
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