第18話

悠介は何度も考えた。

あの日の夜、自分の心に従って妹を探しに出ていたら、結末は違っていたのだろうか。

しかし、彼はドアの近くで足を止めた。

静香は必ず戻ってくると思った。

どんなに彼女を責めても、彼女は彼の実の妹であり、彼はこの世で彼女の唯一の親族だった。

彼女が戻ってこないなら、どこに行けるのだろう？

悠介は警察署へ行き、行方不明届を出した。

警官はいつも通り悠介に尋ねた。「あなたの妹は何日間失踪しているのですか？」

彼は少しびくびくしながら「七日です」と答えた。

「あなたは彼女の兄ですか？

妹が七日も失踪して、今頃になって警察に連絡するのですか？」

警官の視線が彼に行き来し、口調が冷たかった。

不安な予感が彼の心の中で徐々に大きくなっていった。

彼は冷静に考えることができなかった。

耳元で声が繰り返されていた。

「彼女に何かあったら、どうするつもりですか？」

私は半空に漂い、兄の姿を見た。彼は無頭の蠅のように四方八方に動き回っていた。

これは新しい出来事だった。

彼が私のためにこんなに緊張するのは初めてだった。

私はもう死んでいてよかったと思った。

さもなければ、彼に見つかったら、最初にすることは、間違いなく彼の一発を受けることだ。

警察は近くの監視カメラを調べ始めた。

悠介はその様子を見守っていた。

あの夜、私は彼と喧嘩して泣きながら外に飛び出した。彼の携帯番号とLINEをブロックし、涙を拭いながら、道の脇でこっそりとついてきた男に気づかなかった。

すぐに、私は男に路地に引きずり込まれた。

数人の警官と悠介は、監視映像で私が服を脱がされたのを見ていた。

私は涙を流しながら、家の方向を必死に見つめていた。

映像は「パッ」と音を立てて、一人の女性警官が一時停止ボタンを押した。彼女の目には少し涙が浮かんでいた。

悠介はぼんやりと立っていて、顔には感情が失われたような表情が浮かんでいた。

帰った後も、彼はずっとこうだった。

彼はまるで人形のようで、心の中の恐怖が、今や彼を襲った。

叫びたい思いが彼の頭の中でうねっていた。

彼の妹は、死んだ。