共有

第16話

私が死んでから七日目。

悠介は私を探しに出かけようとしていた。彼が私を探すのは初めてだった。

しかし、桜子が彼を止めた。「お兄ちゃん、静香姉さんはあの男の家に行ってるに違いない。

今、彼女を探しに行って、姉さんの彼氏に会ったらどうするの……」

言葉を切った。

悠介は真皮のソファに座り込み、高級車の鍵を投げ捨てた。

彼は私を探しに行く考えをやめた。

私は桜子が口元に得意げな笑みを浮かべたのを見た。

しばらくして、悠介は友人に電話をかけて、私について不満を漏らした。

「静香はどこに行っているのか、七日も帰ってこない」

「ちぇ、あの妹、前にバーで見たことがあるけど、周りはろくでもない友達ばかりだ。

今頃、どこの男の腕の中だろうね」

私は彼と友人たちが私を貶めるのを冷たい顔で聞いていた。

彼の目には、私はこんな女だったのか。

彼の妹は純粋だった。

私の魂は遠くへ漂っていた。

空の彼方に灯りがともるのを見つめながら。

もう一切の感情が湧いてこなかった。

あかりのことも、拓海のことも思い出した。

この世には彼女たちだけ私を気にかけてくれていた。

でも、私はすぐに悲しくなった。

もし彼らは私の死を知ったら、きっと悲しむだろう。

私は彼らを悲しませたくなかった。

いい人は悲しむべきではなかった。

あかりに会いたい。拓海に会いたい。

でも死んでからこんな長い間に経っても、彼らを見に行けなかった。

もう彼らの前に現れることはできないから。

彼らに私の死を知られるのが怖かった。
ロックされた本
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status