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第15話

「お前はまだプライドがあるのか、静香。

そんなに男と寝たいのか?」

全身の血が上り、目の前が霞んだ。

私は全力で彼を叩いた。

兄の頭は少し傾き、白い顔に明確な跡がついていた。

彼の目には信じられないという表情が浮かんでいた。

これは私が彼に反抗した初めてで、最後の機会だった。

私はこの家を完全に離れたかった。

「兄さん、これが最後の呼び方だ。

あなたは私を十八年育ててくれたけれど、私も十八年間苦しんだ。

あなたは私の兄にはふさわしくない」

悠介の眉がぴくりと上がり、目を細め、唇を引き結んでいた。まるで怒りを抑え込もうとする獅子のようだった。

ただ一瞬、彼の整った顔が歪み、私の肩を強く揺さぶった。

「静香、お前、本当に狂ったのか。

お前が後悔したとき、俺はお前を許さないし、家に入れるつもりもない」

私は冷たく鼻を鳴らし、彼の目をじっと見つめた。

彼の眼底を見つめながら。

「それを望んでいたわけじゃない。

これは私がこの十八年間で下した最も正しい決断だ」

私は家を飛び出した。

兄の怒鳴り声の中、警察署に向かって走り、拓海を探した。

しかし道中で、私は遭遇した。

一人の男に。

私は頭を抱え、まるで土を破って出てくるかのような痛みを感じた。

思い出した。

彼は、最近刑務所から出たばかりの強姦犯だった。私は目を隠され、夜の暗い路地に引きずり込まれた。

私は助けを求める暇さえなかった。

暗闇の中で、彼の顔を見分けることはできなかった。

彼は私から全ての貴重な物を奪い、私にとって非常に大切なものも奪った。

私の初夜。

私は初夜を拓海に捧げたかった。

「お願い、私を解放して」私はすすり泣き、祈った。

返ってきたのは、男が無情に私の服を引き裂く音だけだった。

私の魂は激しく震えていた。

痛みの記憶を振り払おうと頭を振ったが、冷たい恐怖感が足元からゆっくりと昇ってきて、全身に広がっていった。

私は抑えきれず震えていた。

死んでも、恐怖を抑えることはできなかった。

兄を憎んでいるのに、私は家の方向に顔を向けた。

私が襲われた場所は、家のすぐ近くの路地だったから。

兄が出てくれば、私を見つけることができる。

彼が私を救ってくれるはずだった。

でも、彼は来なかった。

あの時のように。

絶望的に目を閉じ、涙が
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