第1話

お兄ちゃんは私のことを憎んでいて、私の死さえ望んでいた。

泣きながら私は彼に聞いた。「私、あなたの実妹じゃないの？」

彼は冷たく笑って、「俺には妹なんていない」と言い放った。

その夜、突然の交通事故で私は命を落とした。

彼は正気を失ってしまった。

私は死んだ。

伊藤静香は、人生で最も輝かしい18歳で死んだ。

激しい痛みが一瞬で襲いかかり、すぐに死んだのは幸運なことだと思った。

でも、私の遺体はひどい状態だった。

私は宙に浮かび、通りすがりの人々が私の遺体を見てため息をついたのを眺めていた。

私は自分の遺体と一緒に病院に運ばれた。

病院では形式的な処置が行われ、すぐに霊安室に入れられた。

医者は私のボロボロになった服を調べた。

彼は私の服の中も外も確認したけれど、私の身元を証明するものが何も見つからなかった。

「可哀そうだな、この子」

「まだ未成年で、綺麗な子だったのに」

「家族はこの子の死を知ったら、どれほど悲しむことだろう」

あ、そうだ。

私の財布とマイナンバーカード、それに携帯電話は、お兄ちゃんと喧嘩して家を飛び出したときに一人の男に奪われたんだった。

その男はもう一つ、何かを奪っていった。何だったか、忘れてしまったけど。

看護師は丁寧に私の体の血を拭き取ってくれて、涙を一滴二滴とこぼした。

私は考えた。お兄ちゃんが私の死を知ったら。

彼はどれほど喜ぶことだろうか、と。

私は自分の遺体をじっと見つめていた。

お兄ちゃんは、いつになったら私の遺体を引き取りに来るんだろうか、と。