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第4話

兄はとても優秀で、私より十歳年上だった。

父がうつ病になって以来、家の会社は徐々に衰退していった。

兄は成績が良く、ずっと飛び級していた。二十歳で大学を卒業し、会社に入社して経営を引き継いだ。

社会に出たばかりの若者が、今や伊藤グループのCEOになった。

彼の経験は決して楽なものではなかった。

だから私は兄のことをとても心配していた。

兄が業務のために深夜まで酒を飲んでいるとき、私は彼のために二日酔いスープを煮て、こっそりテーブルに置いた。

朝早起きして、お粥を作った。

兄は疲れた目をこすり、私は一か月かけて貯めた小遣いで彼のまぶしいスタンドライトを取り替えて、目薬とビタミンをテーブルに置いた。

母がやるかのように兄の洗ったシャツをアイロンがけし。

心の中で静かに兄に優しくしたいと思った。

それが彼のストレスを軽減するのに役立つかもしれないと考えた。

もし兄がいなければ、こんな大きな家には住めなかっただろう。

でも、実際に家の大きさにはあまりこだわっていない。

私が気にしているのは家族だ。

私が気にしているのは兄のことだ。
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