共有

第7話

「そんなこと言わないで。お兄ちゃん。

静香お姉ちゃんはただ不機嫌なだけかもしれない。

私のせいだ。私がいなければ、姉も兄にこんなに怒られなかったのに」

桜子は私に馴染みのある感覚を与えてくれた。

彼女は本当に偽善的だった。

私は目の前の女の子を、遺影の中の優しい母と結びつけることができなかった。

彼女たちは本当に似ているのだろうか?

「桜子はやっぱり大人だね。静香がそんなにひどいのに、いつも彼女の味方をしている」兄は桜子の額に触れ、優しく撫でた。

「父の遺言には、財産を俺と静香で半分ずつと書いてあった。

でも彼女があんなに狂ったような様子を見て、まったく俺の妹にふさわしくない。

だから、遺言に書かれた静香の名前を桜子に変えようと思っている」

言葉では言い表せない吐き気が胃の中から込み上げてきた。

私は離れたかった。

しかし、私の魂はまるで閉じ込められたようだった。

動くことすらできなかった。

頭の中が混乱していた。

耳元には兄の声が聞こえていた。

「実は父が助かった時、静香に会いたがっていた。

父は俺に妹を大切にするようにと言い、彼女に申し訳ないと言った。

父はすぐに彼女を許した。

俺は許さないけれど」

……

桜子は兄の腕に抱きついて、楽しそうに笑っていた。

その澄んだ声が私の耳には刺々しく響いた。

しかし、彼女の白い顔や澄んだ瞳の奥に、悪意を微かに見て取れた。

私は彼女が他の女の子と一緒に学校で私をいじめていた場面を思い出していた。

私は腰を曲げて吐き気を感じた。

しかし、何も吐き出せなかった。

そう、私はもう死んでいたのだ。
ロックされた本
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status