共有

第8話

私はできる限り自分の存在を消しながら、年を繰り返し過ごしていたが、それでもトイレで誰かに待ち伏せされた。

化粧が濃く、未成熟な顔立ちにそぐわないほど、煙草を吸っていた彼女たち。

「お前が美奈?大した顔でもないな。しかも顔に傷があるじゃないか。ブスがよ」

隣の女の子が彼女に耳打ちすると、彼女は急に怒りをあらわにし、私の頬をぐっとつかんだ。

「学校一の美少女?今日からは、ただの笑い者にしてやるよ」

内心で突然、ほんの一瞬だけ挫折感を覚えた。

ずっと前世の悲劇を変えようと必死だったのに、運命の歯車は何一つ変わっていなかった。

でも、その挫折感は一瞬だけだった。もう一度生き直して、ここで怯むわけにはいかない。

タイミングを見計らって、トイレにあったモップを掴み、狂ったように振り回した。彼女たちは近づくことができなかった。

「近づかないで!」

「一人しかいないじゃない。みんなで一斉に行けば大丈夫よ!」

モップがトイレの穴に入ってしまい、強烈な臭いに思わず吐き気がこみ上げた。

後ろにモップを振り回すと、あたり一面に悲鳴が響き、耳膜が破れそうなほどだった。

モップにくっついた汚物で誰かを突けば、その場で倒れそうなほどの威力があった。

「あなたたち、何をしているんだ!!!」

教頭先生のピカピカに輝く頭には、無関係な汚物が数滴飛び散っていた。

もし怒りが実体化するなら、私はその場で燃え尽きていたかもしれない。

「親を呼び出しなさい!」
ロックされたチャプター
この本をアプリで読み続ける

関連チャプター

最新チャプター

DMCA.com Protection Status