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第10話

おじいちゃんの葬式は、田舎の実家で行われた。遺言通り、故郷に眠りたいとのこと。

弟が生まれてから、家の中で私に優しくしてくれた唯一の人が、おじいちゃんだった。

昔の記憶の中では、夕方になると農作業を終えたおじいちゃんが、よく私を肩車して村の東から西まで散歩に連れて行ってくれた。

学校に通ったことがないおじいちゃんは、村の人々に「うちのお姫様を連れて散歩だ」と誇らしげに言っていた。

夕陽が沈む中、鼻歌を歌いながらおじいちゃんが私をあやすと、いつも私は笑い声をあげていた。

あの曲がまだ頭の中で響いているようで、涙がまた視界をぼやけさせた。

「いつまでここにいるつもりだよ。もう死んでるんだから、さっさと片付けろよ」

ぼやけた視界の中、弟の佐藤俊一が眉をひそめ、苛立ちを隠せない様子でおばあちゃんにそう言いながら、手で何度も叩いていた。

そうだ、前世でも、彼が言い争いになり、怒りに任せておじいちゃんに拳を振り、罵声を浴びせ続けたせいで、心臓の悪かったおじいちゃんが亡くなったのだ。

今世ではなぜか、その出来事が早まってしまった。

でも、俊一が関係していることに違いはない。

怒りが頭にのぼり、私は俊一の襟をつかんで、その首を絞めた。

「お前だろう!お前がまたおじいちゃんを怒らせたんだろう、この悪魔め!なんでお前が死なないんだ!」

力を込めると、彼の顔はすぐに紫色に変わり、目は白目をむき始めた。
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