義妹に騙されて手術台へ――復讐して新しい人生を掴むまで

義妹に騙されて手術台へ――復讐して新しい人生を掴むまで

による:   致くん  完結
言語: Japanese
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概要

ドロドロ展開

因果応報

ひいき/自己中

復讐

冷酷

結婚前夜、義妹に子宮頸部の炎症を指摘され、私生活がだらしないと非難された。 彼氏は、何の相談もなく彼女を私の手術の主治医に指名した。 けれど、手術が終わった後、私は恐ろしい真実に気づく――私の子宮が、なくなっていたのだ。 怒りに任せて問い詰める私に、彼氏は呆れたようにこう言った。 「静琉(しずる)が初めての手術で少しミスしただけだろ?お前、義妹相手にそんなに大騒ぎすることかよ」 和解なんてできるわけがない。私は警察に通報する道を選んだ。 しかし、彼は義妹の将来を守るために、私に毒を盛り、命を奪った。 そして、次に目を開けた時――そこは、手術の前夜だった。

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第1話

「真昼さん、明日手術ですね。今夜は絶対に水分も食事も控えてください。でないと、手術が延期になっちゃいますよ」 どうして病院にいるんだろう?私、たしかに死んだはずなのに。 「ちょっと待ってください。明日って、どんな手術をするんですか?」 看護師さんは怪訝そうな顔をしながらも、親切に答えてくれた。 「子宮頸部の簡単な処置です。大丈夫ですよ。ちょっとした手術なので、先生が目を閉じてやっても問題ないくらい簡単なものです」 その言葉を聞いて、私は思わず苦笑いしてしまった。この看護師さん、なんて見事に死亡フラグを立てるのだろう。冗談みたいだけど、本当にそんな気がしてしまう。 目を閉じて深呼吸をした。誰が想像できるだろう?この「簡単だから安心」と言われた手術が、私の人生を全て破壊したなんて。 いや、違う。私の人生を壊したのは手術そのものじゃない。 全ての原因は、この手術を執刀した義妹――御堂静琉(みどう・しずる)だ。 それにしても、どうやって実習生が執刀医になれるのだろう? さらに言えば、どうしてこんなに簡単な手術で、子宮を取り除くような大失敗が起きるのか?...

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28 チャプター
第1話
「真昼さん、明日手術ですね。今夜は絶対に水分も食事も控えてください。でないと、手術が延期になっちゃいますよ」 どうして病院にいるんだろう?私、たしかに死んだはずなのに。 「ちょっと待ってください。明日って、どんな手術をするんですか?」 看護師さんは怪訝そうな顔をしながらも、親切に答えてくれた。 「子宮頸部の簡単な処置です。大丈夫ですよ。ちょっとした手術なので、先生が目を閉じてやっても問題ないくらい簡単なものです」 その言葉を聞いて、私は思わず苦笑いしてしまった。この看護師さん、なんて見事に死亡フラグを立てるのだろう。冗談みたいだけど、本当にそんな気がしてしまう。 目を閉じて深呼吸をした。誰が想像できるだろう?この「簡単だから安心」と言われた手術が、私の人生を全て破壊したなんて。 いや、違う。私の人生を壊したのは手術そのものじゃない。 全ての原因は、この手術を執刀した義妹――御堂静琉(みどう・しずる)だ。 それにしても、どうやって実習生が執刀医になれるのだろう? さらに言えば、どうしてこんなに簡単な手術で、子宮を取り除くような大失敗が起きるのか?
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第2話
前世、私は婚約者の創眞(そうま)と結婚の話を進めている時、義妹の静琉が突然こう提案してきた。 「結婚前に一度、婚前検査を受けてみたらどう?」と。 自分にはやましいことなど何もない。だから安心して静琉が勤める病院で検査を受けることにした。 「静琉の仕事のノルマ稼ぎに協力してあげるよ」なんて冗談を言いながら。 しかし、想像だにしなかった結果が待っていた――生まれてこのかた30年近くずっと独身だった私が、子宮に炎症があると言われたのだ。 静琉は「私生活が乱れているせいだ」と決めつけ、一歩も譲らない。創眞も板挟みになり、最後にはこう言った。 「手術しないと結婚できない」 私は納得できないまま手術台に乗せられ、そのまま何も知らないうちに子宮を失った。 その事実に気付いたのは、数か月も生理が来ないため妊娠検査を受けた時だった。 だが、事情を知った創眞は顔を歪め、冷たく言い放ったのだ。 「お前みたいな汚れた女でももらってくれる男がいるんだから、文句を言うな。子宮がないならちょうどいいだろ?どうせ他の男の子供なんか妊娠されても困るしな」 こんな奴らを放っておけるわけがない。私は罪の根源である静琉を訴えようと病院に苦情を入れた。 だが、それを知った創眞は私を恨み、隙を見つけて私を殺した。 私は死後、鬼のようになって創眞のそばを離れられなかった。 そして彼と静琉が分かれたりくっついたりしながら、最終的に幸せそうに暮らすのを見てしまった。 だが、その静琉もまた、手術ミスで患者を死なせてしまい、その家族に刺され命を落とすことになる。 それと同時に私の視界も暗転し、次に目を覚ました時には手術前夜に戻っていたのだ。
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第3話
目を開けると、真っ白な天井が見えた。腹部には手術前に打たれた注射の鈍い痛みが残っている。 御堂静琉……御堂創眞…… 一つの戸籍に「兄妹」として登録されている二人が、実は血縁関係がないなんて誰が思うだろうか? まったく……神経がどうかしている。骨の髄まで歪んだその関係を楽しむなら勝手にやればいいのに、どうして無関係の私を巻き込む必要があるんだ? 私を犠牲にして築き上げた「愛の結晶」ってわけ?そんなもの、毒にまみれていればいい。 手のひらを強く握りしめ、衝動を抑え込む。今すぐ二人を叩きのめしたい気持ちを堪えながら。 もちろん、今の私はすぐにでも婚約を破棄してしまえば被害を最小限に抑えられる。 けれど――それでは納得がいかない。 そんなことをすれば、私は一生「私生活が乱れている女」のレッテルを貼られたままだろう。 何の根拠もない噂を受け入れて、二人の汚い罪を私が被るなんて、絶対に許せない。 本当に汚れているのはどっちだ? 「清純な兄妹」を装いながら私を踏みつけるあの二人が、何事もなかったような顔で済むなんて、そんなの認められるものか。創眞、静琉――お前たちの罪、絶対に逃がしはしない。
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第4話
病室のドアが開く音がして、入ってきたのは元婚約者の母、春華(かるか)だった。 彼女は大きな保温ポットを抱えている。 私を見るなり、まずは露骨に白眼を向け、次に無理やり慈母のような笑顔を作りながら話しかけてきた。 「真昼、明日は手術でしょ。だから特別においしい鶏スープを作ってきたのよ。明日の朝早く飲んで、体力つけて手術に臨むといいわ」 私は彼女が差し出したスープをじっと見つめた。 前世でも彼女は鶏スープを持ってきてくれた。当時の私は純粋に感激したものだ。 ただ、手術前の禁食・禁水のルールがあったので、彼女が用意したスープを飲むことはなかった。 その時の私は、彼女が病院の規則を知らないのだと思い込み、丁寧に説明したものだ。 だが、彼女は私が断ると即座に機嫌を損ね、「私を見下している!」と息子の創眞に電話で告げ口したのだった。 待てよ……思い出した。当時、彼女は「静琉が手術を担当する」と口を滑らせたはずだ。 今の私はまだその情報を知らない立場にある。だからこそ、彼女の言葉を誘導できれば、それを口実に手術を断ることができるかもしれない。 私は前世の記憶通りに、同じようにスープを断る言葉を口にした。 案の定、春華の反応も前世と全く同じだった。 「お義母さん、手術前は食べたり飲んだりしちゃいけないんです。そうしないと手術ができなくなります。手術が終わったら飲ませていただきますね」 「私がせっかく心を込めて作った鶏スープをなんだと思ってるのよ!ふん、あんたはお嬢様だものね、こんなものいらないわよね。どうぞ、お好きに!」 春華は保温ポットを床に乱暴に置くと、怒り心頭でスマホを取り出し、息子に電話をかけ始めた。 彼女が電話で何を話すか、私は時間を計算しながら、動くタイミングを見計らっていた。 しかし、その時、小さな看護師が病室に入ってきた。
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第5話
この看護師、小柄なのにその態度は決して小さくない。 入ってくるなり、私の横で湯気を立てる鶏スープに目を留めると、顔つきが一変した。 「あなた、明日手術じゃなかった?医者から食事と水分を控えるように言われなかったの?」 彼女は容赦なくスープを取り上げ、保温ポットごと病室の窓際にあるキャビネットに押し込んだ。 「我慢して。たった一晩でしょ。ここに隠しておくから、手術が終わったら飲めばいいわ」 私は心の中で焦っていた。春華が電話で話を終える前に行動を起こさなければならない。さもないと、このチャンスを逃してしまう。 ベッドから降りると、看護師が私を誤解したようで、さっと近寄ってきた。 「え?スープがそんなに飲みたいの?ちょっとの間だけよ、こんな大人なのに……」 「違います、トイレに行きたいだけです」 「……なら、私が見ててあげるわ」 看護師は真っ赤になりながら道を空けたが、すでに春華は電話を終えて病室に戻ってきてしまっていた。 私はその場で力が抜け、ベッドに腰掛けて黙り込んだ。チャンスは完全に逃してしまった。 「もしかして……間に合わなかったの?」 看護師が私の顔色を見て、しばらく躊躇った後、心配そうに尋ねてきた。 私は戸惑いながら彼女を見つめ返すと、申し訳なさそうな表情をしている彼女と目が合った。 「恥ずかしがらなくても大丈夫。病院ではよくあることだし、私にも責任があるわ。着替えを手伝いましょうか?」 私は慌てて手を挙げて拒否し、彼女が私の背中ばかり見ている理由にようやく気づいた。 「違います!何も漏らしてません。ただ、さっきオナラしただけです。それで楽になったんです!」 看護師は「ああ」と気の抜けた声を上げ、慌ててうなずくと、そのまま病室を出て行ってしまった。
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第6話
「真昼、鶏スープはどこ?飲まないにしても、捨てるなんてひどいじゃない!」 春華が室内を見回してスープが見当たらないと分かるや否や、眉を吊り上げて怒り始めた。 どうやら全病院に私の悪行を吹聴しそうな勢いだ。 慌てて彼女の言葉を遮った。 「それなら看護師さんが片付けてくれました。あそこ、ベランダのキャビネットにあります。飲むなと言われたので……」 春華は横目で私を一瞥し、私の言葉を全く信じていない様子だった「どうせあんたと看護師がグルになって私を騙してるんでしょ?いいわ、言った通りベランダにあるって言うなら、さっさと持ってきなさい。もし見つからなかったら、自分の手で掬い取ってでも返してもらうからね!」 私はため息をつき、小柄な看護師が隠した場所に向かった。どうか、あまり奥深くに隠していませんように…… キャビネットを開けてみると、3段目にポンと置かれているスープの容器が目に入った。そのあまりの分かりやすさに思わず笑ってしまう。 150センチの彼女が見えない場所に私が見えないとでも思ったのだろうか。まるでシュレディンガーのスープだ。 スープを取り出し、ついでに春華に見せて彼女の文句を封じた。 「捨てなかったからって偉そうに!そもそも捨てるわけないでしょ。ほら、明日手術なんだから、さっさと寝なさい寝なさい」 「寝なさい」とは言うものの、春華は私の手術のことなど気にも留めず、動画をスマホの外部スピーカーで流し始めた。 その「洗脳ソング」のような音楽に、私の頭もぐるぐる回りそうになる。 ついに隣のベッドの付き添いの家族が堪えきれず、明かりを消してくれたおかげで、ようやく春華は寝る気になったらしい。 時刻はすでに午前1時を過ぎていた。
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第7話
春華は眠りについたが、私はどうしても眠る気になれなかった。 今の私には二つの選択肢がある。一つはこの場から逃げ出し、明日の手術を回避すること。もう一つは、手術を利用して静琉を告発することだ。 しかし、そもそも実習生の静琉が手術を執刀できること自体、非常に異常なことだ。 誰が保証する?手術室の人間たちが全員、静琉とグルではないなんて。 もし彼らが共犯だったら?私が証拠を掴んだとしても、麻酔で意識を失わされてしまえば、どうしようもない。 けれど、どうしても引き下がることができない。 真犯人を知りながら黙っているなんて耐えられない。 私を殺そうとする蛇蝎たちに愛想笑いを浮かべるのも耐えられない。 そして、あの殺人者が平然と白衣を着続けることも、到底許せるものではない。 ここから逃げるのは簡単だ。だがそうなれば、私が「手術を嫌がる無分別な女」という烙印を押されるのは間違いない。 それだけならまだしも……私が逃げた後、静琉が他の無辜な患者に手を出さない保証はどこにもない。 私が前世の知識を活かせば、この事態を利用して静琉を陥れることも可能だろう。 子宮がなかろうと、別の病院で診断書を取り直せば、静琉を追い詰めるための確かな証拠が手に入る。 だが、もし次の犠牲者が出たら? 静琉の父親は医学界の権威だ。娘のために法を知らない弱者を狙い撃ちにし、訴えもしない患者を選ぶだろう。 その結果、手術で失敗しても、被害者自身が気づくことさえないかもしれない。 そんな時、私にできることは何もない。静琉やその家族を追い詰めたところで、傷ついた人々を救うことはできないのだ。 今日一日のことを思い返す。 「転生」は万能ではない。この世界には予測できない変数が多すぎる。私は前世をなぞるように進むしかない。 だが、ほんの些細なミスが致命的な結果を招く可能性だってある。 リスクを取るのは無謀だ。そう結論した私は、病院を出ることを決めた。 暖かい服を見つけて病衣を脱ぎ、タクシーを手配する。車が到着したらそのまま去るつもりだった。 「真昼、まだ寝ていないのか?」 振り返ると、そこには警戒した表情の創眞が立っていた。
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第8話
「……トイレに行くだけ。医者が言ってたの。手術の後は排泄が大変になるから、前もって済ませておいたほうがいいって」 頭の中で張り詰めた糸が切れそうになるのを必死で抑え、完璧に取り繕った笑顔で答えた。 「そうか。それなら問題ない。母さん、今日は電話してきたけどさ、病院のルールなんて知らないんだ。気にするな。明日の手術は俺がちゃんと見てるから、大丈夫だ」 創眞がどうしてここに来たのか分からない。前世でも彼は来ていたのか、それとも、彼もまた転生して私を監視しに来たのだろうか? 私は何事もないふりをして上着を羽織り、トイレに向かった。 どうする?ここで一悶着起こすべきだろうか?いずれにしても、手術室に送られるわけにはいかない。 トイレでしばらく時間を潰してから病室に戻ると、創眞はまだ部屋にいた。 それどころか、春華は息子を気遣って付き添い用の簡易ベッドを彼に譲り、自分は……私のベッドで寝ていた。「真昼、私と一緒に寝ましょう。創眞は仕事が終わったばかりで疲れてるんだから、休ませてあげないと」 「それなら、創眞……さん、家に帰って寝てもらったらどうですか?どうせ明日は書類にサインするだけですよね」 私にはサインを頼める両親がいない。二人ともすでに他界しているため、手術の同意書には恋人である創眞の署名が必要だ。 ただ、前世では創眞が病院に来ることはなく、代わりに春華が勝手にサインしていた。それを知った時、私は驚いたものだ。 病院側が特に問題視しなかったのも、さらに意外だった。 「いや、大丈夫。ちょっと外でタバコを吸って頭をすっきりさせるよ。もうすぐ朝になるし、真昼も寝てていいぞ」 創眞はそう言うとドアを開け、病室を出て行った。しかし、彼はそのまま廊下の病室前にしゃがみ込んだだけだった。 春華が何度か彼を呼んだものの、動く気配がないと分かると、彼女は一瞬目を光らせ――私のベッドに潜り込んで寝てしまった。
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第9話
私は付き添い用の簡易ベッドに座り、焦りながら外の創眞の様子をうかがっていた。彼に注意していることを悟られないようにしながら。 この時間帯は最も睡魔が襲ってくる。そんな中で、私はいつの間にかうとうとし始めていた。 「真昼、起きてスープ飲みなさいよ!」 ぼんやりと目を開けると、大きな顔が迫ってくる。手には油っぽいスープの入った碗を持っていた――春華だ! 彼女はまだ諦めていなかった。どうしても私にあの鶏スープを飲ませたいらしい。 私は流れに身を任せてスープを2口すすった。手術の6時間前は飲食禁止というルールがあるため、これで看護師に手術を延期させる口実ができる。 少しでも時間を稼ぐため、私はスープをもう2口飲み、「今起きた」という演技をして驚いたふりをしながら春華を見た。 「お義母さん!手術前に何かを食べたり飲んだりしちゃいけないんです!」 2口では足りないかもしれない。私は涙を浮かべ、仕方ないという表情を見せながら、スープをぐびぐびと飲み干した。 「飲めと言うんですから飲みますよ!もう手術なんてやりません。この容器も全部食べてみせます!」 スープを飲み終わり、底に残っている具をすくおうとした。しかし出てきたのは鶏肉ではなく、鶏の尻や頭、足ばかりだった。 ここまで手間をかけて、これだけの食材を選り分けた春華の執念には、ある意味感心せざるを得なかった。 私は口の周りの油を拭き取りながら、被害者を装って看護師のところへ行こうとした。その時、体に違和感を覚えた。 このスープに麻酔が仕込まれている……! なるほど、どうしてそこまで私にスープを飲ませたがっていたのか。娘である静琉の手術中、麻酔の効果が切れるのを防ぐためだったのか。 毒医師と毒薬――母娘そろって毒婦とは。
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第10話
残りわずかな力を振り絞り、私は春華を振り払って病室を飛び出した。喉に指を突っ込みながら必死で吐き出そうとする。 こんなに即効性のある麻酔は、体に悪影響を与えるに決まっている。急いで吐かなくては。 病室の外で創眞の姿を探したが、彼はいなかった。その代わりに昨日会った看護師が目に入った。 「助けて……胃洗浄を……」 その場で盛大に吐き出してしまった。幸いなことに、看護師が駆け寄ってくる直前で何とか方向を変えられた――吐瀉物は白衣を着た静琉に直撃したのだ。 静琉は潔癖な性格だ。今回の洗浄手術を彼女が執刀することは、さすがにないだろう。 どうやら私の姿が相当に衝撃的だったらしく、近くにいたハゲ頭の医師がひどく驚き、そのまま私を手術室に運び込んだ。 次に目を覚ました時は、すでに夜になっていた。 看護師がちょうど病室に入ってきて、私が目を覚ましたのを見るとすぐに駆け寄り、念入りに体の様子を確認してくれた。 「いやあ、こんな患者さん、初めて見たよ。術前に飲み食いしちゃう人はたまにいるけど、自分で麻酔飲むなんて…… 痛いのが怖いなら、そう言ってくれればいいのに。麻酔科の先生にお願いして、追加で麻酔を打ってもらうこともできるし、それにお金かからないんだから。 でも、麻酔を飲むなんて……しかも動物用の麻酔だよ?間一髪で対処できたから良かったけど、危なかったら本当に安楽死状態になるところだったよ!」 私は苦笑した。普通、誰が患者用のスープに麻酔を仕込むなんて考えるだろう。しかも動物用の麻酔だなんて。 てっきり鶏の尻や頭、足をかき集めるのが限界だと思っていたのに、まさかそれ以上に狂った行動をするとは。 ある人の最低ラインというものは、想像をはるかに超えるものだ。
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