「繋がっていない様で繋がっている」をテーマに夜勤で肉を切っている間に妄想したままを書いています、宜しければどうぞ。 風光明媚な小さな町(1)を舞台に始まる俺の妄想をコメディっぽく描いてみようと思います、 巨大財閥が買い取った高校(2)における主人公たちの奮闘模様や、 「らしくない異世界(3·4·7)」で繰り広げられるドタバタ劇、 そして現実世界(5·6)を舞台にしている過去の恋愛等を自分なり(マイペース)に更新していく予定ですのでお気軽にクスクスと笑いながらお楽しみ頂ければと思います。 こちらの作品は「エブリスタ」にも掲載しています https://estar.jp/novels/26278127
もっと見る-㊿女子会後の約束-光「さっきはごめんなさい、呼び捨てにしちゃって。」ナル「いえ、だいじょうぶです。それより・・・、あの・・・、お口に合いましたでしょうか。」光「はい・・・、美味しっかたです。ナルさんは器用ですね、以前から料理が出来る事は知っていましたがデザートまで・・・。」 光は顔を赤らめながら語った、ナルの横を偶々通ったウェイトレスが軽く肩を叩いた。ウェイトレス「良かったじゃない、気に入って貰えて。これ、貴方のオリジナルでしょ?」 感動でナルが号泣している、こんなナルを見るのは初めてだ。 このタルトは光の為にナルがオリジナルで考案したスイーツで、普段はメニューに載っておらず、前日2人が来ることを知ったナルがオーナーに頭を下げ頼み込み、無理やり日替わりのメニューを変更して貰っていた。ナル(前日)「私は明日を境にクビになっても構いません。ただ吉村様・・・、いや光さんにお召し上がり頂きたいのです!」オーナー(前日)「こうなりゃナルは何言っても聞かないもんな・・・。明日の日替わりタルトは決まってるんだけどね・・・。まぁ、美味しいから良いか・・・。」 オーナーのその言葉に自信を持ち安心して翌日提供出来ると思っていたが、やはり味覚は十人十色なので光に気に入って貰えるか不安で厨房で1人震えていた。その日は全然眠れず、もしも口に合わなかったら・・・、不味いと言われたらどうしようと、光にどう顔向けすべきか分からないと枕を濡らしていた。そのお陰で瞼が少し腫れ、目の下には隈が出来ていた。 当日、誰よりも早くカフェの厨房に入り準備をして疲れ切っていたナルは、光の美味しかったという言葉でやっと笑みがこぼれた。ナル「そろそろ・・・、仕事に戻ります・・・。時給を貰って働いているバイトですから。」光「待って!」 厨房に向かおうと後ろを振り返ったナルを光は思わず呼び止めてしまった、どう声をかけるべきか思いついていないうちに。光「あ・・・、えっと・・・、また今度ナルさんのお料理が食べたいのですが。」ナル「ではまた連絡します・・・、今日は・・・、これで。」 ナルが奥の厨房に消えて行くと、光はテーブルに戻り着席した。ハーブティーが落ち着かせてくれる。タルトをもう一口食べ、光は思わず微笑んだ。 ナル「よっしゃ・・・。」 厨房の陰で小さくガッツポーズしたナルを
-㊾独身女達の女子会- ハネムーンに出かけた新郎新婦を見送り、街の住民達は普段の生活へと戻っていった。 光はパン屋で有休を取得していたのでその日から週休含め3日間休みとなっていた。披露宴についてはエラノダの計らいで全住民出勤扱いとなり、1日分の給料が王宮から支払われる様になっていた。 ドーラに誘われカフェテラスでスイーツを食べながらお茶を楽しむ事になっていたのでギルド前に待ち合わせの為向かった。 カフェはギルドから数分歩いた所にあった為、2人はすぐに女子会を始めた。スイーツとハーブティーを注文し、ウェイターを待つ。 温かいお茶が提供されるまでの間は一先ず、冷水で喉を潤した。注文したケーキ「こだわり果実のカスタードタルト」が提供されウェイターの手によって切り分けられ、小皿に盛られた。サクサクと焼かれたタルト生地にカスタードクリームを敷き詰めその上に小さく切られた果実が散りばめられている。果実には1つ1つに蜂蜜が塗られ甘く味付けられている。 1口食べると果実の酸味とカスタードクリームや蜂蜜の甘みが織りなすハーモニーが口の中を満足で埋め尽くす。 そこに丁度運ばれてきた温かなハーブティーを流し込むと優雅な休日を楽しんでいるという実感が湧いて来た。 美味しいひと時を過ごしている時、ドーラが突然切り出した。ドーラ「ねぇ、どう思う?」光「えっ?あ、ごめん、聞いてなかった。何の話だっけ。」ドーラ「だからね、あたしらも結婚出来るのかな・・・って。」光「その前に相手がいなくちゃ。」 的を得ている答えを言ったつもりだった、結婚は1人で出来る事ではないし。互いを理解し合えた2人がする事だ。 ただ結婚したいと思うから出逢うのか、出逢ったが故に結婚したいと思う様になるのか、こりゃある意味哲学だなとこの世界に来てから初めて思った。 ただ光も他人の事を言えない身、これ以上ドーラに意見するのはどうかと自問自答してしまっていた。ドーラ「あんたはどうなの?相手というか良い人でもいる訳?」光「いると思う?この世界に来てからずっとただただ吞んだくれてただけだよ。」ドーラ「沢山の男と酒を交わして仲良くしている癖に、チャンスがあったんじゃないの?」 ドーラは一滴も酒を呑んでいないのに酔っぱらって絡み酒をしている様に見える。光「いないって言ってんじゃ・・・。」 そんな時
-㊽まだ輝ける- 板長は盃を片手に感動している新郎に寡黙な表情で語った。板長「良いかニコフ、軍を捨てたこんな元一兵卒の老人の話なんてジェネラルとしては聞きたくないかもだが、良かったら頭の隅にでも置いといてくれ。今日は決して人生のゴールなどではない。2人のとても大きく新たなスタートだ、いや、もしかしたらスタートラインに立つ前かも知れない。これから2人で存分に話し合って、計画して、どう人生を歩むかは君ら次第だ。今まで通りお互いが働いて2人きりの人生をずっと歩むも良し、子宝を得て新たに1人の大きな人生を1歩、1歩、君たちなりに支えながら歩ませるも良し。どちらにしろ、お前さんの人生だ。今日はおめでとう、これからはしっかりやれ。」 板長はニコフの肩を軽く叩いた。新郎は感動で涙が止まらない。ニコフ「御厨(みくりや)板長・・・、いや、アーク・ジェネラル・・・。」御厨「やめろ・・・、もう私はただの焼き肉屋の板長だ。王国軍の人間ではない。それよりもほら、盃が空いてるぞ、注いでやるから笑顔で呑んでくれ。俺からの祝いだ。それとも何だ?もしかして俺の酒が吞めないのか?」 御厨は冗談まじりの笑顔をこぼし酒を注いだ、ニコフは噛みしめる様に注がれた酒を呑んだ。ふと見ると御厨の盃がずっと空っぽだ。ニコフは徳利を手にし、酒を注いだ。ニコフ「呑んでよ・・・、父さん・・・。感謝の盃だ。」ヤンチ「おい、板長は俺の親父だよ!」御厨「待てヤンチ・・・、これで良いんだ。」ニコフ「実は僕、両親を早くに亡くしてね、教会の孤児院にいた頃から当時大隊長だった御厨板長に本当の父の様に育てて貰ってたんだよ。彼は自分の御給金の1部を毎月教会に寄付してね、その上度々教会に立ち寄り食事を作ってくれていたこともあって当時僕含め孤児院にいた子供達は全員板長の事を父さんと呼んでたんだ。ある日孤児院の企画で王国軍の仕事を見学し、汗水流しながら国の防御の仕事をこなし、次の年には将軍になってた。そんな御厨板長に憧れて俺も王国軍に入った。」ヤンチ「だから披露宴の時、両親の席に親父が・・・。ニコフさん、悪かった。すまない。」御厨「2人とも馬鹿か、祝いの席で湿っぽい表情をするな。ほら、笑って呑め。それとも父に反抗するつもりかい?」ヤンチ「親父には敵わないな、ほら呑もうや、兄弟。」ニコフ「ああ。」 兄弟は静かに乾杯を
-㊼輝く日・後編- 教会前でガイの提供した米を使ったライスシャワーを行い新郎新婦を迎え入れる。 新郎新婦を囲い参列者達が教会の前に揃うと自らカメラマンに志願した車屋の主人である珠洲田が集合写真のシャッターを切った。 次は御姫様抱っこの写真だ、ニコフがかなり照れていたが2人とも幸せそうな顔をしていた。 3枚目はメイスが2人の好きに撮るようにと言ったのでまさかのキス写真を撮影、女性陣がキャーキャーしている。 写真撮影が終わるとブーケトスに移った。キェルダがブーケを投げる、ふんわりと浮かんだブーケはゆっくりとネスタの手に吸い込まれていった。ネスタ「ありゃぁー、私もまだまだ捨てたもんじゃないかもね。」林田「ネスター!」利通「母ちゃん!!」 会場が笑いに包まれ和やかになり、全員披露宴会場となる冒険者ギルドへと移った。光達が用意した料理が次々と運ばれていく。 ジャンルを越えてキェルダとニコフの好物を中心とした料理が並べられた。 真紅のドレスを着たキェルダと和の衣装を着たニコフが拍手に包まれ入場して来た。 2人が席に着くと林田警部による噛み噛みのスピーチが始まった。林田「に、ニコフ、そ、そしてキェルダさん。本日は、ご、ご結婚おめでとうございやす。そ、そして、ごごご、ご家族の皆様、本日はおめでとうございます・・・。」 大抵の人が忘れがちというご両親へのお祝いの言葉も無事に伝え、後々は気楽にスピーチをした。 夫婦初めての共同作業、ケーキカットの時が来た。ラリーとヤンチが1晩かけて作った5メートルの高さの大きなケーキが運び込まれ、2人の前に置かれた。白い生クリームとカラフルな花、そしてリボンで彩られたケーキに2人が包丁を入れると参加者が皆拍手し、各々シャッターを切った。 そして小分けにされたケーキが配られ、キャンドルサービスが行われる。 暫く歓談の時間となり皆が食事を楽しんだ、特に特別料理として光が板長と組んで用意した「黒毛和牛のローストビーフ 赤ワインビネガーソースを添えて」と「黒毛和牛の天婦羅 天然岩塩と共に」が人気だった。 宴もたけなわとなり、キェルダからご両親への感謝の手紙のコーナーとなった。涙ながらに手紙を読み上げるキェルダにもらい泣きする人が多かった。 無事に披露宴が終わり、即座に2次会が始まった。魔法を使い一瞬で堅苦しい服から私服に
-㊻輝く日・中編- 2国の王族を巻き込んだ結婚式当日を迎え王宮横の教会には街中の住民が教会に集まり2人の結婚の式典を今か今かと待ちわびていた、林田親子も駆けつけ警備体制はばっちりだ。 光はネスタやローレンと合流し、数時間前からギルドの一角で焼き肉屋の板長の協力を得て披露宴に出す料理の準備を行っていた。 野菜や穀物はガイの畑から、その他の材料や飲み物をゲオルの店から提供する事になったので焼き肉屋の女将が特別に仕入れた肉類と合わせて調理していく。 披露宴でナイフを入れるウェディングケーキは花嫁のキェルダの希望でパン屋でラリーとヤンチが用意する事になった、ウェアウルフとウェアタイガーで何とか協力してくれればいいのだが。 ギルドで披露宴の飾りつけが着々と進んでいく中、教会ではアーク・ビショップのメイスによる祭事での式典が始まろうとしていた。光は盛り付けまでを急ピッチで進め新たに『作成』した『保管』のスキルで出来上がった料理を保管し、ナルと合流すると教会へと駆け足で急いだ。 教会に入ると参加者たちが着席し静かにその時を待っていた。メイス「お待たせ致しました。新郎・ニコフ・デランドの入場です!」 扉が開き、いつの間にか練習していたネフェテルサ・ダンラルタ両王国軍の鼓笛隊による入場曲の演奏が始まった。ただ、入場曲は入場曲でも某有名芸人がプロレスラーのモノマネをする時の「あの曲」だ。光「ははは・・・、誰の趣味?」ネスタ「うちの人だよ、恥ずかしくてしょうがないね。結婚式を執り行う教会の雰囲気に全く合わないから笑えて来るよ。」 教会の外で林田警部がくしゃみをした。林田「うう・・・、さぶっ。友人の晴れ舞台の日に風邪引いちまったかな・・・。」ニコフ「ふっ・・・、あいつめ・・・。」エラノダ「ははっ・・・、良い友人を持ったな、ニコフ。いや、デランド将軍。」 ニコフは少し微笑みつつも林田警部の演出を鼻で笑いながら王宮のメイド長と時間をかけて選んだ衣装の軍服を身に纏いエラノダの先導で入場した。 エラノダとニコフが入場を終えると、拍手が静まり返った。メイス「続きまして、新婦のキェルダ・バーレン改め、キェルダ・ダンラルタの入場です。」 キェルダに依頼され光が選んだ入場曲を鼓笛隊が奏でる、ダンラルタ側の鼓笛隊は鳥獣人族の集まりなので飛びながら演奏する。日本で「着うた
-㊺輝く日・前編- デカルトの唐突な思い付きでの発言によりその日は突然やって来た。デカルト「そうだ、『善は急げ』と言うからな、明日2人の結婚式を行おう。」 いくら何でも唐突で王族含めギルドにいた全員がざわついた。 林田警部やキェルダが発言の撤回を求めた。林田「国王様、恐れながら申し上げます。流石にご本人のご意見をお聞きしてからのほうがよろしいのでは?」キェルダ「叔父さん、確かに嬉しいけどあたいら心の準備がまだだよ。」 しかし、2人の静止を空しくしてしまった者がいた。光だ。電話片手にサムズアップしている、たまたま教会にいたアーク・ビショップのメイスに連絡を入れていたらしい。 メイスによれば丁度次の日、教会もメイス本人も予定が無く空いているので快く了承してくれたようだ。デカルト「アーク・ビショップ様に祭事を執り行って頂けるだなんてこんなに名誉な事は無い、明日やるぞ。」光「もうこれで逃げれないよ、2人とも覚悟なさい。」 光はまだ酒が抜けていない、ふらふらになりながら式の予定を決めてしまった。もう1人、デカルトに賛同する者がいた。受付嬢のエルフ、ドーラ。ドーラ「国王様、披露宴兼2次会はギルドにお任せください。ギルドマスターの許可が下りましたのでお料理を沢山お出しさせて頂きますよ。」デカルト「ほら決まりだ、エラノダに今言ったから2人とも衣装を合わせに王宮に行くぞ。」 自国の国王まで巻き込む位に話が大事になりすぎていてニコフは動揺を隠しきれていない、一先ず言われるがままに王宮へ向かう事にした。デカルト「一刻を争う、ニコフ、私の背に乗りなさい。キェルダは後からついて来るんだ。」 ギルドの出入口でデカルトは人間からコッカトリスの姿に戻った、キェルダは普段しまっている翼を背中から取り出しニコフを待っている。ニコフ「そんな・・・、国王様の背に乗るなど・・・。」デカルト「私が乗れと言っているんだ、早くしろ。それとも王命に背くつもりか?」 ニコフは少し抵抗しながらもデカルトの背に乗った。大きな翼を広げたコッカトリスは王宮に向けてひとっ飛びし、明日の新郎を瞬時に送り届けた。ただ王宮に着いた時、勢いが良すぎてスピードを緩め切れずエラノダが拘って王宮に取り付けた大きなステンドグラスを大胆に破壊してしまったが。 自らのお小遣いで買った大切なステンドグラスを
-㊹本来の勝負- 呑み比べの結果が結果だけにギルド内は少しだけ気まずい雰囲気に包まれていたが光は全く気にしていなかった、酔いが回りすぎて周りが見えなくなっていた訳では無かったがもう皆倒れてしまっているのでもう相手をしてくれる人がいない。光は寂しさを紛らわすためドーラに声を掛けた。光「ドーラぁ、ビールもう1杯~。」ドーラ「もうやめときなって、光にしては呑みすぎだよ。」 その時、頭を抱えながらキェルダが起き上がった。キェルダ「許してあげて、あたしらが巻き込んじまっただけなんだよ。」ドーラ「一先ずキェルダのお兄さん達と将軍が起きないと話が始まらないわ、皆にお冷を持ってくる。」 そう言うとドーラは受付カウンターの奥へと消えて行った、すれ違いざまにキェルダの家族たちが続々と目を覚まし始めた。デカルト「うん・・・、我々はどうしていたのだ・・・、皆、大丈夫か?」マック「叔父さん・・・、昼間っからここまで呑むのは久々だよ・・・。」ウェイン「それにしても俺達どうして呑んでたんだろ・・・。」 最後にニコフがゆっくりと体を持ち上げる。ニコフ「悔しいです・・・、勝負の形はどうであれ、負けたのですから・・・。このままではキェルダやご家族の皆さんに合わせる顔がありません。」林田「誰が負けだと決めたんですか、光さん以外は皆ほぼほぼ同時に酔い潰れたと言うに。」 お冷の入ったグラスを片手に林田がニコフを介抱した。林田「我が友よ、上級鳥魔獣と鳥獣人族と勝負して立派にここまでやったんだ、貴方は十分胸を張って顔を合わせてもいいはずだ。ですよね、皆さん?」 周りの冒険者達が拍手でニコフを称賛した。冒険者「あんたは立派だよ、俺達上級鳥魔獣と鳥獣人族が酔い潰れたのを初めて見たぞ。」冒険者「俺達だったら全員リバースの嵐だよ。」林田「ほら見ろ、皆認めてくれているだろう。ダンラルタ国王様、失礼ながらお伺い致します。貴方様のお気持ちはもうお決まりなのでしょう?」 デカルトはマックとウェインを集め頷いた、2人も納得している様だ。 3人がニコフに手を差し伸べた。デカルト「ニコフさん・・・、いやニコフよ。」ウェイン・マック「ニコフ将軍・・・、いや義弟よ。」3人「認めよう・・・、これからもキェルダ含めよろしくお願いします。」 ニコフは体を震わせ頬には涙が流れていた、彼は認めら
-㊸妹を守る男達の勝負-ウェイン「俺達と勝負して貰わないとな。」 マックとウェインが兄弟で妹の彼氏である王国軍のニコフ将軍に勝負を仕掛けている、ウェインの横でマックがどこかへ連絡を入れていた。 数分後、見覚えのある1匹のコッカトリスがギルドの前に止まり、出入口からスーツ姿の男性が入って来た。男性「この多忙な私を呼び出すとは、どこの生意気者かな。」ニコフ「ダンラルタ国王!!どうしてこちらに?!」デカルト「君は確か、この国の王国軍の将軍だね。甥っ子と姪っ子のピンチに叔父が来ては駄目なのかね?」ニコフ「甥っ子と姪っ子・・・、えっ?!」キェルダ「ニコフ・・・、実は・・・。」 キェルダが耳打ちをするとニコフは混乱してしまった。 それもそうだ、王族の上級鳥魔獣と鳥獣人族を相手に何で勝負しろというのだ。 すると、デカルトがドーラに声を掛けた。デカルト「お姉さん、ビールを4杯頂けますか?」ドーラ「は・・・、はい・・・。」 ドーラがジョッキ一杯に入ったビールを4杯運んでくると、デカルトが徐に切り出した。 昔からの伝統で上級鳥魔獣と鳥獣人族には女性の婚約者や恋人と勝負する事になっているのだが、その内容は・・・。デカルト「私達と飲み比べをしてもらおう、それともダンラルタ国王である私からの直々の勝負を受けずに私に恥をかかせるつもりなのかね?」マック「因みに俺達が勝ったらキェルダは諦めてもらう。」ニコフ「分かりました・・・、受けます。」キェルダ「ニコフ・・・、無茶だよ。」 ニコフの顔は真剣だったが、その横でキェルダはとある事を懸念していた。昔から鳥魔獣族と鳥獣人族は人間に比べ酒に対しかなりの強さを持っていた。そう、上級鳥魔獣と鳥獣人族は酒に強く、また多数が酒好きの日本で言う高知県民の集まりなのだ。きっと何かしら理由をつけて皆で吞みたかったのだろう。 ルールは至ってシンプル、同じ種類の酒を順番に呑み先に倒れた方の負け。酒の種類は順番に決めていく。 まずは手始めにデカルトが本人の希望で注文したビールからのスタートだ。順調に各々5杯目まで到達、その時・・・。女性達「あたし達は参加しちゃダメなのかよ、え?!」デカルト「男たちの真剣勝負につき女人は立ち入りをお断りします。」 勝負に参加しようとしている女性の1人、キェルダは至って真剣だった。早く呑みた
-㊷警察と王国軍、そして国民の友好関係-林田「では将軍、宜しくお願い致します。」将軍「かしこまりました。林田警部、お勤めご苦労様です。」 将軍の先導で冒険者達が王宮の下にある牢へと運ばれる、この国では刑務所や拘留所は王国軍の管理下となっているので常に連携を強く保っているのだ。将軍「そうだ、思い出しました。林田警部・・・、ちょっとお耳を・・・。」林田「どうしました?」 林田が将軍に耳を貸す、将軍が耳打ちで何かを伝えると林田警部は顔をニヤつかせ了承した。ドーラ「あの2人ったら・・・、相変わらずね。」 呆れた表情をしているドーラをよそに林田と共にニコニコしながら将軍が大隊長に犯人の連行を指示し、周辺で静かにしていた冒険者に向けて一言。林田・将軍「皆さん、お騒がせしました。今日は私たちの奢りです、じゃんじゃん呑んで下さい。」冒険者達「流石だぜ、いつも気前がいいな。2人に乾杯!」 冒険者達は片手に持ったジョッキを2人に向けて振り上げた、張り詰めていた空気が一気に朗らかになる。 ギルドの従業員からジョッキを受け取った林田はビールを飲み干した。将軍「林田警部、この後お仕事では?」林田「いや、休日出勤です。全く・・・、優秀な犯人ですよ。ねぇ、ノーム刑事・・・。」ドーラ「あ、いや、あの・・・、空いたジョッキ回収しまーす。」 警察署直通のベルと押し間違え、どうやら休日を満喫しようとしていた上司を呼び出してしまったと思われるその犯人のエルフはそそくさとした様子で客席へと逃げて行った。 女性「ニコフ、あんたも休みなんだろ?遠慮しないで吞みなって。」 女性の声に引かれる様に役目を終えた私服の将軍・ジェネラルのニコフが涙目になりながら振り向くと、パン屋で働く鳥獣人族で光の同僚であるキェルダがいた。仕事終わりにドーラから連絡を受けた光が林田の奢りで一緒に呑もうと誘っていたのだ。光「ニコフって・・・、キェルダ!!いくら何でも将軍に失れ・・・。」ニコフ「キェルダ・・・、会いたかった・・・。デート行けなくてごめん!」光・林田「え?!」キェルダ「こいつ・・・、あたしの彼氏。」ニコフ「ど、どうも・・・、お初にお目にかかります。お、王国軍でニコフをしてます、将軍と申します。いつも彼女と林田さんからお話を伺っており・・・。」キェルダ「何であんたが硬くなってん
1.「私の秘密-赤鬼-」佐行 院 仕事に追われ1日1日が過ぎてゆき、一般では「花金」と呼ばれる週末。明日からの土日という楽しい2日間をどう過ごそうか、それとも今夜どう楽しもうかを沢山の人たちが考えているこの時間帯、開いている店と言えば飲み屋やコンビニ、そして最近増えてきた24時間営業のスーパーぐらい。他には夜勤で働く人たちがいる工場などがちらほらとあり建物から明かりが漏れている場所がほとんどなく電灯の明かりが優しく照らされる夜の街で独身の冴えない眼鏡女子の会社員、赤江 渚(あかえ なぎさ)は家路を急いでいた。毎日朝の9時から出社しての8時間勤務、1時間休憩を含め18時が定時での退勤なのだがそういう訳にも行かない、金曜日は特になのだが帰り際に上司の取口(とりぐち)部長から必ずと言って良いほど呼び止められて書類を押し付けられ毎日の様に残業が加算されすぎており毎月60時間以上の計算となりため息の日々。正直三六協定はどこへやら・・・。ある週の金曜日、毎度の様に帰り際の渚を取口が呼び止めた。取口「渚ちゃーん、今週も頼むよ、うちのチーム書類が立て込んでいるから進めておかないとね。」渚「はーい・・・。」 正直言ってしまうと原因は取口による書類の記入ミスや漏れによるものなのだが、本人は早々と定時に上がり気の合う仲間と逃げる様に近くの繁華街へ呑みに行ってしまう。今週に至っては残業はタイムカードを切ってから行うようにとも言いだした。何て卑怯な奴なんだと、やはりブラック企業の従業員の扱いは酷いなと身をもって学んだ今日この頃。 そんな中、最近巷で噂になっている事があった。特に地元の暴走族や走り屋を中心になのだが『赤いエボⅢに見つかると警察に捕まる』との事だ。通称『赤鬼』。毎週金曜日の夜に県内の暴走族や走り屋のスポットとなっている山に4WD車1台で行っては暴走行為、走り屋行為をしている奴らを一掃しているらしい。正体は未だ不明で年齢や性別など諸々全てが分かっていない。一部の人間には『赤鬼は警察の人間だ』とも言われている。 会社でもその噂で持ちきりだった。丁度よく今日は金曜日。取口「皆聞いたか、先週の金曜日にまた『赤鬼』が出たらしいぞ。今夜も出るかもな。」女性「怖い、今夜は私も早く家に帰ろう。」渚「何言ってんの、今日も残業でしょ・・・。」女性「噂なんだけどさ、『赤鬼』...
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