この小説は読むことでもれなく『必ず』麻雀が強くなります。全人類誰もが必ずです。 麻雀を知っている、知らないは関係ありません。そのような事以前に必要となる『強さとは何か』『どうしたら強くなるか』を理解することができて、なおかつ読んでいくと強さが身に付くというストーリーなのです。 そういう力の魔法を込めて書いてあるので、麻雀が強くなりたい人はもちろんのこと、麻雀に興味がある人も、そうでない人も全員読むことをおすすめします。 大丈夫! 例外はありません。あなたも必ず強くなります! 私は麻雀界の魔術師。本物の魔法使いなので。 ――そう、これは『あなた自身』が力を手に入れる物語。 彼方
Узнайте больше66.第伍話 本気だけを出す場所 マナミはよく知った顔と同卓だった。マナミ達のアルバイトしている雀荘『ひよこ』で平日の昼間だけ働いている成田メグミプロが同卓だったのである。「マナミちゃん。シャキッとした服装も似合うわねえ」「ありがとうございます。今日はよろしくお願いします」「お手柔らかにねえ。まあ、私は本気出すけど」「私も本気でやるしか能がないので。本気でやらせてもらいます」 すると成田メグミはハハハ! と笑った。屈託ない笑顔に眼光だけ鋭く光らせて。「いいわよ。お手柔らかになんて、そんなことするわけないし。プロリーグは本気だけを出す場所だものね」と言う。なんてことない会話ではあったが、この時の成田の雰囲気にマナミはゾッとした。(本気だ) いつもニコニコしてお客さんに『メグちゃん』と愛称で呼ばれて愛されている成田の勝負師の顔を初めて見た。(今更だけど、やっぱりメグミさんはプロなんだ。こんな顔を見せるなんて) 気圧されそうになる心を奮い立たせてマナミは勝利宣言をかますことにした。やる事が大胆なのはマナミの良さである。(ヨシッ!)「私はデビュー戦を必ず勝利で飾ります。今日の私と当たったのは不運でしたね」「ふっ、生意気ね。プロの厳しさを知ることになる最悪なデビュー戦にしてあげるわよ」「勝負!」──────「まいった」 負けたのは成田の方だった。「マナミちゃん。いや、財前真実プロ。あなたはこんな階級にいる女じゃないようね。さっさと昇級して上位リーガーになりなさい」「メグミさんも強かったです。何度も危ない場面があった。今日の私はちょっと勘が良かった。それだけです」「それが、重要なんじゃない。あーあ、私
65.第四話 潰し合うつもりで「いーい? 私たち今日は当たらないけど、今後もし当たったらリーチ後の見逃しは絶対にしないこと。どんなに戦略性があってもよ。どうしても見逃したい局面は役を作ってダマにするの。分かった?」「わかりました~」「ミサトはマジメねえ」 ミサトの提案で麻雀部の3人は見逃しをかけない。助け合わない。お互いを潰し合うつもりでやる。そんなルールを設けることになった。 かつて、師弟関係にある雀士が師匠から出た当たり牌を見逃して麻雀界から熱気が急激になくなった八百長だと言われる事件があった。それが戦略性があろうと無かろうと、そこは問題ではないのだ。胡散臭いと思われた時点で終わりなのである。 この時のミサトの提案があったから、のちにどんなに3人が仲良くしていてもこの3人は友達同士でズルをしたりは絶対してないという信頼を得ることが出来るようになる。 他人からどう見えるか、どんな疑いがかかるか、それらを予測するのも読みの一部であると言える。その程度も分からずに師匠からの当たり牌を見逃しなどしてると大騒ぎになるという例も歴史が証明している。麻雀ファンを失望させない打ち手であること。それもプロ雀士の条件だとミサトは思っているので、外見は美しく、言葉はきれいに、姿勢は正しく、麻雀はテンポよく正確に、もちろん、ズルなんか絶対しない! を心掛けて新世代のニューヒーローとなることを目指していた。そこには、好敵手の財前カオリや財前マナミのほか女流リーグ覇者の白山シオリという強烈な敵もいたがミサトは総合的に見て自分だって負けてないと思っていた。あとは麻雀で勝つだけ。と。 対局開始まであと3分。ミサトは水を飲んで気持ちを落ち着かせた。緊張してるのを感じていたのでトイレで鏡を見て(強張るな。リラックス、リラックス)と暗示した。パンッ!! リラックスの暗示を自分にかけるかのようにミサトは手を叩いた。(私は大丈夫。私は強い)
64.第三話 プロリーグ前日《カオリ、どうしましょう》(なにが?) 赤伍萬の付喪神【woman】は財前カオリに憑いて今ネット麻雀をやっていた。親番中でドラは北woman手牌 切り番二三赤伍六七八九⑦⑧⑨23北北《私、自分を捨てることになりそうです》(何で? 八九を落とせばいいじゃん!)《それだとチャンタやイッツーがなくなって鳴きが出来ないから…… 無しです》(なら23落とせば?)《ダメです。それだと四しか安心してチー出来ないので、受けもあまり良くないですし》(じゃあどうすんの?)《この手の正着打は六萬切りでしょうね》(六萬か……)《これが唯一のムダなし手順です。チャンタ狙いなので一と1どちらからでも鳴いてテンパイに不安はない受けが残りますし安め引きでもリーチで親満は確定します。それに……》(分かった、六ね) 切り番にのんびり考える人はいない、womanの話をろくに聞きもせず打六とするカオリ。《あっ、あっ、私が。私が出ていっちゃいますうう》(うるさいなあ、六切りってwomanが言ったんじゃない。違うの?)《違わないです。他の手順には必ず浮き牌が出ますが六切りだけは浮き牌ゼロの構えです。ここを切る時だけ全体で打ててます。他の手順に存在しない強味。それは次切る牌が決定していない手順であるということ。これこそが最も強い攻めの一打であると言えます》次巡ツモ四(赤伍切らずに済んだ! ある種の理想的テンパイね!)《良かった~》『リーチ』数巡後……
63.第二話 麻雀の申し子「……ツモ」三四赤伍六六23(西西西)(中中中)1ツモ「1000.2000」 最後の局。手を開けたのはユウだった。感動で震えながら倒牌する。「記念すべき第1回UUCコーヒー杯優勝は一般参加の佐藤ユウさん! おめでとうございます!!」優勝はユウ準優勝は富士山3位は杜若4位は猿山という結果で大会は終了した。「実力派プロを差し置いて10代美少女の優勝! 参加者の中でも最年少の優勝だ! これは話題になるぞ!」と湧いている人達もいれば「猿山プロお疲れ様でした」「富士山プロおしかったのに!」「杜若プロあと一歩でしたね!」とプロ達に駆け寄る人達もいた。(夢みたい、私が優勝なんて。いや、これからだった。夢実現のための第一歩がいま達成されたんだ)『勝利者インタビューしていいですか? 何かあればひとことでいいので』 ユウはマイクを受け取って、少し話すことを考えた。『あのっ! あのっ! 私。大会とか、身内でやったことしかなくて…… 雀荘に来たのもこの大会の予選が初めてだったし…… でも、練習は毎日してて! ほんとに麻雀好きなんで…… この面白いゲームを1人でも多くの人に共有してもらいたいなって思ってて、いつか麻雀を教える人になりたいんです。そのために、資格とかより説得力ある実績が欲しいなと思って参加したので最高の成果を出せたこと、とても嬉しいです……! 次回も参加して連覇を狙います。ありがとうございました!』 パチパチパチパチパチパチパチパチ!
62.ここまでのあらすじ プロ雀士になった財前姉妹と井川ミサト。彼女達がプロリーガーとして戦う一方で佐藤ユウは麻雀大会にアマチュア参加して決勝卓まで駒を進めていた。【登場人物紹介】財前香織ざいぜんかおり通称カオリ主人公。女子大生プロ雀士。読書家で書くのも好き。クールな雰囲気とは裏腹に内面は熱く燃える。柔軟な思考を持ち不思議なことにも動じない器の大きな少女。その指には神の力を宿す。財前真実ざいぜんまなみ通称マナミ主人公の義理の姉。麻雀部部長。攻撃主体の麻雀をする感覚派。ラーメンが大好き。妹と一緒に女子大生プロ雀士となる。佐藤優さとうゆう通称ユウ兄の影響で麻雀にハマったお兄ちゃんっ子。展開読みで誘導するような罠作りに長けている。麻雀の伝道師になるのが夢。竹田杏奈たけだあんな通称アンテーブルゲーム研究部に所属している香織の学校の後輩。いとこの竹田慎一は麻雀大会で優勝したこともある麻雀好きなプロ棋士。佐藤ユウの相棒的存在。佐藤卓さとうすぐる通称スグル佐藤優の兄。『ひよこ』という場末雀荘のメンバーをしていたが今は辞めて東京へ。自分の部屋は麻雀部に乗っ取られているが全く気にしていない。井川美沙都いがわみさと通称ミサト麻雀部いちのスタミナを誇る守備派の女子大生プロ雀士。怠けることを嫌い、ストイックに生きる。
61.サイドストーリー1 西団地のヒロイン後編 手を繋いで帰った日に僕らを目撃していたはずのクラスメイト達はその事を茶化したりはしなかった。 どうやら僕の気持ちも佐藤さんの気持ちもみんなにはお見通しだったらしい。でも、1人くらい茶化しそうなものだと思うけどコイツら大人だなと思って感謝した。 けど、当の本人たちはまだまだウブもいいとこなのであれ以来まだ手を繋いでない。一度繋いだなら大丈夫だろ? と言うかも知れないけど恥ずかしいんだ。何がと言われても恥ずかしい。中学生なんてそんなもんだ。少なくとも僕達はそんな関係だった。 少しだけ変わったのは。あれからというもの、行きも一緒に並んで歩くようになった。しばらくはそれだけだった。──── ある日の帰り道。「いいもの見せてあげようか」と言って佐藤さんは僕を先導する。そこは団地の倉庫だった。『佐藤』と書かれた表札のあるその倉庫を彼女が開ける。 「これを見せたくて今日は倉庫の鍵を持ってきたの」 ギイイイ…… と開くとその扉の先には無数の漫画本が積まれていた。カチッ! と白熱電球のスイッチを入れて佐藤さんは扉を閉めた。「すごいでしょ」「驚いた。こんな倉庫の使い方してる家庭あるの? 本しか無いじゃないか」 倉庫内というのは普通なら一輪車を入れたりホッピングを入れたりローラースケートやスケボーやサーフボードなど大きなサイズの遊び道具が詰め込んであるものだが佐藤家の倉庫にはそれらは一切なくて本だけが積まれていた。「倉庫というより書庫だな」「そういえばそうかもね。でも、これでもかなり減ったのよ。本当はこの倍はあったんだから。だからここに残ったのはどうしても処分したくない名作揃い。どれも面白い作品ばかりだよ」
60.サイドストーリー1 西団地のヒロイン前編 偶然の再会をした時は大体うまく行かない。 どんなに会いたい人だったとしても、いま会うなんて思ってない時に会ったりしたら緊張してうまく話せない。 僕にはそのくらい好きな子がいた。まだ学生だったあの頃。彼女がいたから学校が楽しかったっけ。 ────── 僕の名前は泉天馬(いずみてんま)。 僕には当時、月に一度は必ず夢で見るくらい気になってる子がいた。誰もが振り返るような美少女。佐藤さん。 彼女は西団地のヒロインと呼ばれていた。 ここ、千葉県八千代市(ちばけんやちよし)は団地発祥の地であり、八千代台駅の駅前には発祥の地碑もある。 その団地の中でも八千代台西団地は多分1番歴史ある団地なはずだ。 そこに佐藤さんはいた。 佐藤さんと僕は漫画の話で気が合った。「これ、面白いよ」「知ってる、持ってるよ」「これ泣けるよ」「わかる、全巻あるわ」 という具合に、僕の好きな漫画は佐藤さんも全部読んでいて趣味が合うと思ってたんだ。でも、そういうわけじゃなかった。 そうじゃなくて、彼女は読んでる作品数が多すぎたのだ! 実は彼女は中学生にして5000冊を超える漫画を読破。まごうことなきオタクだった。 後で見せてもらったのだが、彼女の家の使う団地特有の倉庫にはぎっしりと漫画が積まれていたのである。全部が彼女の漫画ではなかったが家族全員漫画が好きなのでとんでもない冊数を彼女は読んでいたのだ。 とにかく、西団地いちの美少女は西団地… いや、八千
59.第十二話 ラーシャ 感謝する ユウが大会本戦に挑んでいる頃、プロ予選で落とされたマナミはいつも通りバイトに来ていた。今日は『ひよこ』で1番強い客と思われる小宮山(こみやま)ハジメと同卓だ。気を引き締めていかないと負ける。しかも下家には同じくプロ予選で落とされてヒマしてる女流雀士がいた。そう、ミサトだ。 上家には店長が入って立卓。(ひよこでこんなレベルの高い卓なんて初めてだ)そんな事を思っていた。 そこできた手がこれ。マナミ手牌伍六七七八①②③④⑤赤56中中ドラは⑨ 東2局の親番で5巡目だ。点棒状況はまだ平たい。セオリーなら①切りだろう。ツモ②⑤の変化に備えて最高形をメンタンピン赤にするつもりの手順。そう、セオリーならそれ。そんな事は分かっている。 しかし、マナミが選んだ牌は八だった。ラーシャは一瞬違う。①切りだよ。と思ったので電流を使おうとしたが、よくよく考えてみると相手は全員守備力の高い上級卓だという事に気付いて、電流を流さなかった。成長しましたね、マナミ。と聞こえないように心の中で呟いた。(電気がピリッとくるかもと思ったんだけど、こっちでいいのね。そうよね。相手が相手だもの)次巡ツモ四(来たあ! これを待っていた!)打中ツモ⑥「リーチです」打中「ツモ!」マナミ手牌
58.第十一話 ネット雀豪 この頃、ネット麻雀界には2人のネット雀豪(じゃんごう)がいた。その名は『よにんめ』と『JINGI』。 この2人に共通することは守備力がとてつもなく高いということ。特に『よにんめ』の守りは鉄壁で打ち砕こうとするだけ無駄な労力となるのでツモにかけた方がいいという結論になるくらいだ。『JINGI』の方は時折変わったことをしてくる奇抜な打ち手で、こちらも同じく守備力は高いが、その守り方はセオリー外のもの。まるで心の中まで読み切っているような鋭さと型にはまらない柔軟性があった。 この2人の二大巨頭に割って入ってきた成績優秀者がいた。『woman』である。 womanの麻雀は攻めて良し! 守って良し! の完全無欠。それはもう人間技ではない成績を叩き出していた。(実際、人間ではないのだが) 本気のwomanはカオリの予想を超えて強かった。どうしてそのテンパイを外せるのか? なぜ、闇テンに気付けるのか? 面白いことばかりで見てるだけでとても勉強になった。「womanのためにパソコン買って本当に良かったわ。おかげで私の麻雀の常識枠がどんどん拡張されていくもの」《私も自分の麻雀ができるのは本当に楽しい。カオリ、ありがとう》《あっ、そのテンパイは取らないでください。一旦七萬を落として迂回しましょう》《あら、いい所が残りました。このカンチャンならリーチしましょう》《今回はもうアガリは必要ありません、今のうちに安全牌を抱えて一局やり過ごしましょう》などwomanの指示を聞いてカオリはマウスをクリックした。――数時間経過――《カオリ、疲れてきてませんか?》(womanは気遣いも出来るのね)《もう、口開くのも億劫なほど疲弊してるじゃないですか》(womanの選択が自分と違う度になんでなのか考えてたら疲れちゃった)《早く言って下さいよ! じゃあこれでやめにします》(だってwomanが楽しそうにしてたから)《全く、カオリは優しすぎますよ。……ありがとうございます》 その後、正体不明の最強ユーザー『woman』は平均順位1.99という、ありえない好成績を出して業界では知る人ぞ知るプレイヤーとなり『よにんめ』や『JINGI』が所属するトップグループに怒涛の勢いで入り込むことになるが、その話はまた後ほど――
【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜 ――人はごく稀に神化するという。 ある仮説によれば全ての神々には元の姿があり、なんらかのきっかけで神へと姿を変えることがあるとか。 そして神は様々な所に現れる。それは麻雀界とて例外ではない。 この話は、麻雀の神とそれに深く関わった少女あるいは少年たちの熱い青春の物語。その大全である。 ◆◇◆◇もくじ➖️メインストーリー➖️第1部 麻雀少女激闘戦記一章 財前姉妹二章 闇メン三章 護りのミサト!四章 スノウドロップ第2部 麻雀烈士英雄伝一章 ジンギ!二章 あなた好みに切ってください三章 コバヤシ君の日報四章 カラスたちの戯れ➖️サイドストーリー➖️1.西団地のヒロイン2.厳重注意!3.約束4.愛さん5.相合傘6.猫7.木嶋秀樹の自慢話➖️テーマソング➖️戦場の足跡➖️エンディングテーマ➖️結果ロンhappy end➖️表紙イラスト➖️しろねこ。◆◇◆◇はじめまして、彼方です! 麻雀の楽しさを1人でも多くの人に伝えたくてこの物語を書いています。良いと思いましたらぜひ拡散の方をよろしくお願いします!この小説の読み方は──── ──これは時間の経過です。2つなら少しの、3つなら大きな時間の経過になります。── ────これは時間の遡りです。────これはちょっとした区切りです。◆◇◆◇これは視点変更か大きな区切りです。 これを意識していれば視点混乱などしないで読めると思います。それでは、彼方流麻雀小説の世界をお楽しみ下さい――...
Комментарии