社畜OLと天然ギャルがヴァンパイア退治! 【あらすじ】 4年前の夏、ヴァンパイア伝承残る「辻沢」で起った辻沢女子高校バスケ部員連続失踪事件。 当時バスケ部員だった二人の女性、 社畜OLの響(ひびき)カリンは親友を 天然ギャルの調(しらべ)レイカは幼馴染みを失いました。 心に深い傷を抱える二人が、 街を支配するヴァンパイアへの復讐を誓い 行方不明のメンバのため 果たせなかったラストゲームに挑みます。 【構成】 章ごとに響ヒビキと調レイカが交互に語る二人語りです。 チャプタータイトルの名前がそのエピソードの語り手です。 例)「1-3.響カリンは地元企業で社畜する」はヒビキ 「2-1.調レイカは4年ぶりに辻沢に帰る」はレイカ
view more役場に着いたらミワちゃんから、 「レイカ、あんた何したの? 町長さんに呼ばれてるよ」 ウチが? ウソ。町長室に忍び込んだのばれたのかな。やだなあの、ラブホみたいな部屋に行くの。 「トントン。すいませーん。お呼びだとかー」 「どうぞ」 女の人の声。秘書さんかな。 「シツレーします」 暗い部屋。カーテン閉まってる。外まだ明るいのに。 「こちらの、ソファーに掛けてお待ちください。町長、今呼んできますので」 出てっちゃった。あれ? 制服コレクションなくなってる。ってか、まったく別の部屋だ。フツーに町長さんの部屋。ウチ、この間は違う部屋に入ったんだろか。あー、同じ位置に黒木刀がある。机のバカでっかさも一緒だし、天井は、鏡じゃないな。絨毯は虎皮って、イマドキ。暗くてよくわからなかったからな。 奥の扉がバーンって開いて、すごい勢いで入ってきた背広のおじさん。ウチの前にドカって座っていきなりしゃべりだした。 「お待たせ。いやー、呼びだてしてすまなかったね。アナタの課はトップダウンでアタシが作ったもののひとつだから、なんたらかたら」 すっごいしゃべる、この人。ヒマワリのパパだよね。背高くって痩せてて、ちょっと見いい男だけど、頭がね。こんなにハゲちらかしちゃってて残念。あー、どこかで見たことあるって思ったら、ヒマワリの捜索の時、陣頭指揮取ってた人じゃない。あたしら女バスも助けになりたいって街中の捜索に協力したんだ(青墓へは連れてってもらえなかった)。あの時はたしか辻川助役ってよばれてた。あ、すみません(小声)。お茶出してもらちゃった。秘書さん、顔よく見えなかったけど、お肌真っ白。どこの美白化粧品使ってんだろ。あとで聞いてみよ。ズズー、アッツ。舌やけどした。 「アタシは、アナタの母上とは昔からの知り合いでね。それはお美しい方だった。それがね、あんな亡くなり方をするなんて。ご愁傷様でしたね」 「もにょごにょごにょ」(超小声)。 こういうときなんて返事すればいいのか分かんない。 「とにかく、美しい方でね。アタシが若いころ、まだヤッチャ場で小僧をしていたころだ。腐った菜っ葉にまみれてね」 ヤッチャ
役場行くの結構楽しい。バス通に変えて楽になったからかな。今で20分かかるところをよくチャリ通続けてたよ。 「町役場まで」 ゴリゴリーン。 「ゴリゴリカード、2000円のください」 「好きなのどれだい?」 選べるの? なら、 「辻女の冬服ください」 「辻女はないなー。冬服であるのは成女工だけだな」 運転手さん、あんたも好きだねって顔すんな。制服フェチじゃないから、全然チゲーから。ウチ女の子だし。しかし、成女工冬服かぶった、イラナイ。どーせなら青洲女学館がよかった。あの空色の制服、あこがれた時期あった。成女工め、使い倒してくれる。 チラシもらった。ふーん、宮木野沿線8校の夏冬バージョンコンプリートで、お好きな本物の制服プレゼントキャンペーンだって。誰得なの? まーた、変なセーヘキのヤツ引き寄せるからやめろってゆーの。って言ってたら、成女工JK乗ってきた。「なんか、うわさでー、サンショ畑の跡地、人が埋まってたって」 「なにそれ、こっわー。殺人?」 人の隣にドッカって座るなって。ウチ、一瞬浮き上がったしょ。 「それがさ、死んでるってたら、起き上がって、歩いて行っちゃったんだって」 「はあ? それはツリだわ」 「いや、マジでマジで」 「ツリツリ。だまされねーし」 「それより、ミノリ。ぶってー鼻毛出てっから」 「うっそ、マジで? カエラ、鏡貸して」 「はいよー、鏡。それ、ウチ見てたよー」 「ありがと、あ? カエラなんて言ったの? アイリどこよ、どこ出てんの?」 「うっそー。だまされてんのー」 「こんの。テメ、コロス」 「テメーがクソネタぶっ込むからだろ!」 変わんないね、ウチらの頃と。
……。 (さあどうぞ、お隣へ。ねえ、ウチら友だちだよね。お願いがあるんだけど、聞いてくれる?) ……。 「レイカ」 ……。 「レイカってば」 ……。 「レイカ。起きなよ。ちょっと」 ミワちゃんの匂いだー。いいにおーい。 「あんた、ちょっと。起きなってば」 やっぱ、イー匂いだわー。なんか、いつもより匂いキツいな。うっぷ。 「あ、ミワちゃん。おはよー」 「おはよーじゃないだろ。あたしが早く来たからいいようなもの、人に見られてたら、あんた辞めさせられるところだったよ」 「だって、なんか変な夢みちゃって」 「夜勤が夢見てる自体がNGだろが!」 「ゴメンなさい、ミワかーさん」 ゼツミョーのシナ。 「うっさいよ笑。紹介したこっちの身にもなれっての」 紹介はハローワークなんですけど。 「ほれ、夜明けのカタバミ・チャイ」 いらないです、ソレ。 雨降ってないや。天気予報のうそつき。傘持ってきて損した。しかし、なんだったんだろ。アタマ殴られたような気がしたけどキズとかたんこぶとかもできてないし、痛み残ってない。やっぱ夢だったのだろう。いつのまにか寝てたんだよ。寝不足だったから。そゆことにしよ。セーラー服着たフィットネスボールに追いかけられたり、町長室がムウディーなラブホって、ありえねー案件だし。ズズズー。これは、いける。ミワちゃん、カタバミ・チャイ。初めておいしーよ。ウチ、舌がバカになったんじゃないよね。
よかった。こっちは開くよ。う! 何このニオイ。古い倉庫の一番奥の濡れ段ボールが腐ったような。床もヌルヌルしててキモイし。人がいる。それもたくさん。階段に並んでる。こっち見た。例の偉い人たちみたいだけど何か変。みんな同じようにメタボバラに髪の毛少ない。あっちの人セーラー服着てるし。え、おじさんだよね。こっち来る、ワラワラと。これやばいやつだ。逃げよう。入った扉締まりそうになってる。ダッシュ!ギリセーフ、出れた。でも、締められない。何で? 向うからすごい力で押してるんだ。ダメ。耐えらんない。逃げなきゃ。追いかけてくるよ。わ! 反対側にも同じようなやつがいる。このままじゃ挟まれる。どっか隠れるところ! あそこに部屋が。扉開いてますように。 入れた。ドア閉めれた。あの人たちなんなの? みんなフィットネスボールから頭と手足出したみたいな体形して。もう追って来ないみたいだけど。でも静かになるまで待とう。 静かになったみたい。てか、何だろこの部屋。制服がいっぱい陳列してある。女子のものばっかだな。ん? この制服のDJって袖の刺繍、なんか見たことあるな。三つ葉のマークのも、これ東京の有名女子高のじゃね? かわいい。ヒナゲシの花のエンブレムって、これ成女工のだ。こっちはウチのコーコーの。夏冬ある。青洲女学館のまで。なんだろ制服ミュージアムかなんかかな。でなかったらセーフクオタのコレクションルーム? しかし、やたらムーディな部屋。ジュータンふっかふかだし。ソファーもなんか、ベッドみたい。天井ミラー張りって、ここはラブホか? ウチ、ラブホ行ったことないから知らないけど。 棚に木刀が置いてある。ライトアップして。この木刀真っ黒。ちょ、ちょっとだけ持ってみよう。わっ! なんかしびれた。これはエグイほうの武器だね。触っちゃダメなやつー、ってね。 正面の机の後ろに見覚えのある代紋が。辻の字に木ノ芽と山椒の実六つ。なんだ町のマークか。ひょっとして、ここは。 しかし仰々しい机だな。おっきすぎるよ。椅子でっか。名札があるね。ひっくりかえってる。どれどれ。えっとー、「辻川町長」! やっば、ここ町長室? ウチの上長の上長の上長の上長の上長くらい上長の部屋なの? はやく出、って痛ったー。今ゴツンて。何すんの? 頭なぐったの誰
エレベーターはもう停まっちゃってるし。西棟の階段は外から入るのか。東棟の階段は中からだから、こっちから昇ってみよ。ぎ、ぎぎー。何か臭いね。生臭いっていうか、おえ、吐きそうになる。鼻摘まんでいこう。かつーん、かつーん、かつーん、かつーん、かつーん。ぎ、ぎぎー(効果音サービス)。疲れた。かなり昇ってきたな。足パンパンだよ。ここが最上階? 高い。めっちゃ気持ちいー。遠くに街の灯が見える。ウチが三年過ごしたN市かな。ホントにクローしたよ。結局彼氏の一人もできなかったし。 ウチがいた会社、ブラックとか言ちゃったけど、確かにサービス残業とかあったよ。けどちゃんとしたトコだった。セク原みたいのはホントに珍しくって、それなりに女の子をソンチョーしてくれるところだった。プロジェクトっていうのにも、君たちも戦力だからってユメカと一緒に参加させてくれたり。ウチら頑張った。朝夕2回のなっがーい会議とか毎回出席したし(今レジュメ、何《《チョー》》目ですか? のレイカちゃん笑)、何十部っていうレジュメ作るの手伝ったし(2《《チョー》》ホチキスのレイカちゃん)、みんなの夜食、遠くのコンビニまで買い出しに行ったし(8《《チョー》》コンビニのレイカちゃん)、ビックヤマダセンターにコピー用紙買いに走ったし(用紙《《チョー》》達のレイカちゃん)。チョーじゃねーし、シラベだし。 そのプロジェクトの打ち上げで、社長賞とかもらったのは、やっぱ中心の男の人たちだけだったけど、最後に、プロマネのササマダラ、じゃなかった、プロジェクト・マネージャーの笹部長から、今回の真の功労者はここにいる女の子たちですって言われて、みんなから拍手されて、頑張ってよかったねって、ユメカは喜んでたけど。 ……結局、女の子呼ばわりかよ。 そんで、飲み会の席とか男子だけであつまる場所では、ユメカとウチのことを爆貧問題(胸の大きさを漫才の爆笑問題にかけてるんだよ。バカでしょ)って陰口たたいてるの知って、怒りをトーリこして、すごくさびしい気持ちになった。その中にはちょっといいなって思ってた子もいて……。おんなじチームで働いてるのに、人のことそんなふうに言うのってどうかしてるって思わない? 女バスなら絶対ありえないもん。……してたか、ウチらも。 キツリツしてるな、こ
今夜も暇な窓口。雨、降りそーにないね。 「アメが降るー、アナタは来ないー」だれだっけこの歌口ずさんでたの。うわ! ブチョーのササマダラだ。やだやだ。思い出したくもない。 しかし、このノボリ目障りだわ。わざわざミニのまで作ってさ。「ゴマスリで町おこし!」(ミニ声)。やっぱヘン。この町は誰にヘツラッてんの? そーいえば、来るとき、三宅酒店の角でお葬式やってたな。こんな時間なら通夜じゃね? って思うけど、この町、なんでかお葬式、夜やるんだよね。本式でない仮のお葬式の「影隠し」っていうので出すことが多いからかもだけど。ま、例のシキタリってやつだね、きっと。 それで思い出した。前園さんのオバサンがいつか言ってたことがあって、お葬式って必ず三つ続くもんなんだって。小島さんのお母さん亡くなった時は、そのあとホントに二つ続いたんだよね。宮崎さんとこのオバーさんと、暮山さんの娘さん。あるのかねそーいうの。ママのお葬式の時も、「これで二つ目ね。この間、三輪さんの奥様が亡くなられてー」、なんて死神みたいな(オバサンごめんね)こと言ってたっけ。前園のオバサンはなんでも知ってるから、すっごく頼りになるけど、ある意味怖い存在だよ。てか、あと二つお葬式あるかも。 へー、ここの天井ガラス張りなんだね。気付かなかったや。昼間とかめっちゃ熱くなりそう。設計した人、何考えてんだろ。あ、動いた。何だろ。ガラスになんかが張り付いてる。暗いからよくわかんないけど。ケッコーおっきいから、うーん。カブトムシかな。手足があるみたいだから、ヤモリかも。あ、もう一匹いる。なんか絡み合ってる。アラー、お盛んですねー、小動物さんたち。それに比べてウチなんぞは、彼氏いない歴、イコール年齢だもの。ショボン。今何時? スマフォどこだっけ。カバンの中だった。まーた、モー。このスマフォ、反応ワルスギ。そろそろ寿命? コイツメ! コノ! コノ!。やっと反応した。二時半。まだまだ明けない夜明け。小動物さんたちは? あれ、一匹いなくなった。ブーンって飛んでったんだね。やっぱカブトムシだったんだ。 「アヴェックでランデヴューか。羨ましい」 ヴの発音、よだれでべちょべちょになるから嫌い。バ・ビ・ブでよくない? てか、いま誰言った? アヴェ
さあ、登庁の時間です。空、曇ってるな。天気予報でこれから雨って言ってたから傘持ってこう。 「行って来まーす」 「行ってらっしゃいませ」 なんか変な感じ。ガッコー行ってた頃みたい。あ、前園のオジサンだ。喪服来てどうしたんだろ? 「こんにちは」 「やあ、レイカちゃん」 「あのー」 「この格好かい? ヘイゾーが死んじゃってね。ペットの葬儀屋やら役場やら行って来た帰りさ」 「そうなんですか。病気だったんですか?」 「いいや、老衰だってさ。ここんとこずっと寝たきりだったんだよね」 どうりでウチが帰った時吠えてくれなかったんだ。 「残念ですね」 「ああ本当に。レイカちゃんもヘーゾウと仲良くしてくれてありがとね」 「いえ」 「じゃ」 オジサン泣いてた? 無理もないよ、15年も一緒だったんだから。サビシイヨ。へーちゃん。 バスやっと来た。 ゴリゴリーン。 「役場まで」 町の経済にコーケンするため、チャリ通やめてバス通にした。おっとあの二人、桃李女子高だ。紺の紐リボンとくるみボタンの丸エリ白ブレザーに長めの紺のスカート。腕にスモモの木のワッペン。「トーリ、モモイラザレバ」だっけ。なんでかトーリくんにモモが嫌われちゃってるヤツ。辻沢から通ってる子いるんだね。誇らしくもある。今年は東大京大に何人行ったのかな。見た目もどこか知的な感じする。でもおねーさん一言だけ言うね。引っ張ると埃の線になるから、その白い靴下はピシッと履こ(無言)。 「でね、あたしの姪っ子、双子なんだけど、まだ4才なの」 「お、可愛い盛り」 「そーなぬおー。めっちゃかわいいぬおー。二人ともほっぺがぷよぷよでー」 「そーか、かわいいのか。そのかわいいのがどした?」 「あ、そうそう。伯母さんが古い家の出だとかで、あんなちっさいのに、乳歯、わざと折っちゃったんだよ。二人とも。かわいそくない?」 「おー、かわいそーだ。で、なんで?」 「女の双子だからヴァンパイアにならないようにだって。バカげてるでしょ」 「へー、いまだにあるんだ。その割礼みたい
ズーズズー。あーまずかった。ミワちゃんからマタマタもらった、ペンペングサ&タンポポ・ミルクココア。どれか一つにすりゃーいいじゃん。ペンペングサか、タンポポか、ミルクココアか。なんでいっしょにすんのよ。エグすぎるっての。まったく確信犯だよ、ドSのミワちゃんは。 しかし、あせるね。話すことない。高倉さんも一言もしゃべらないし。一緒って意味なくね? 「レイカ様は」 ビックしたー。しゃべったよ。あれ、高倉さんって、よく見っとキレーな人だ。色白で、ホソオモテっての? オバサンくさいお化粧直せばイケイケじゃね。特にそのチークは、ナンダカ。 「お役所にお勤めですとか」 またギャル語。どんだけウチとナレシタシミたいの? でも最近使わないから、その「とか」とかー。 「どちらの部署になりますでしょう」 「特殊戸籍課ってところです」 「まあ、ミワ様と同じところですね」 「知ってるんですか? ミワちゃんのこと」 「はい。よっく存じ上げておりますよ。お生まれになったころから」 「そんなに前からですか?」 「こちらでも、つい最近までご一緒させていただいておりました」 え? うちで? ミワちゃんが? 「はい。奥様がミワ様をいたくお気に入りで、しばらくお宅に住まわさせていらっしゃいました。ご一緒にお料理などされて、それはそれは可愛がられて。私にも『娘が帰ってきたようよ』と喜ば……、大変失礼いたしました」 「いいえ。いんんです。ウチは」 いいのに、高倉さん。すっごく申し訳なさそう。 「それって、いつごろの話ですか?」 「はい。レイカ様がお宅を出られてすぐに来られてたそうで、奥様が亡くなられるちょっと前まで」 ずいぶん長い間うちにいたってこと? ミワちゃんそんなこと何も言ってくれなかった。言いにくかったのかな? 「ゴチソー様でした。玉ネギ抜き牛丼おいしかったです」 「お粗末さまでございました。あ、そのままでどうぞ」 「いえ、洗います」 洗剤どれ使うのかな。この粉の使っちゃえ。蛇口はどっち?。アッツ。ネットーじゃん。 ま、いっか。ミワちゃんと
朝8時、家帰ってからすぐにベッドにもぐりこんで寝た。昨日の散歩のおかげで、すぐ寝ついたみたいなのに、まーた真昼間に目が覚めちゃったよ。もっと寝ないと仕事続けらんない。でも今日は涼すぃーね。過ごしやすそー。お風呂は役場で入るとして、トーチョーまで何してよっか。そっだ、居間の大画面でお父さんのビデオでも観よっと。あそこのは皿うどん(つい言いたくなるおやじギャグ)、もといサラウンドだから、迫力あるんだよね。 パパのコレクション、ちょっと古いんだ。なんせ16年前からそのまんまだから。ウチが観て面白いってのはアンマない。なにこれ。 『狼男アメリカン』 アメリカ人の青年が狼男になる話? 狼男に噛まれたらゾンビになるのか。ふーん、これにしょ。 着替えるのめんどくさいからパジャマのまんまでビデオ鑑賞。ママ生きてたら怒られたろうけど。ん? なんで、お味噌汁の匂い? ママが化けて出た? のわけないか。 なんか思い出しちゃった。お休みの日に遅く起きたら、ママがお昼の用意してて、こんな感じに、お味噌汁の匂いが漂っててさ。台所行ったら、ママが厭味ったらしく、「おそよー」なんて言って来て。くっそも面白くなくってカチンと来て。お腹すいてたのにわざとお昼食べなくて、ずっとTV観てママのこと無視してた。今思えばフツーの挨拶じゃん。オトナゲなかった、あの頃のウチ。なんでもママに逆らえばいいて思ってたふしがあるよ。 そっか、ニーニーの可能性も、ってないね。ゼッテーない。ウチがここを出る何年も前から一度も部屋から出てきたことなかったヤツが、ママが死んだくらいでカイシンしないっつーの。じゃー、だれって。ビンゴ! 高倉さんでしたー。 「こんちわー」 「お目覚めですか? 勝手に上がらせていただいております。聞けば徹夜のお仕事とか。大変でございますね」 「とか」だって。いきなりギャル語? なんか使い方違うし。 「は、はい」 会話続かない。 「よかったら、お食事をご一緒にいかがですか?」 ニーニーと? いやいやいや。ありえん案件だから。 「私とでございますが、お嫌ですか?」 高倉さんと? ひとんちで食事してんの、この人。いつもこーゆー感じだったの
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