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佐行 院
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Novels by 佐行 院

(改訂版)夜勤族の妄想物語

(改訂版)夜勤族の妄想物語

「繋がっていない様で繋がっている」をテーマに夜勤で肉を切っている間に妄想したままを書いています、宜しければどうぞ。 風光明媚な小さな町(1)を舞台に始まる俺の妄想をコメディっぽく描いてみようと思います、 巨大財閥が買い取った高校(2)における主人公たちの奮闘模様や、 「らしくない異世界(3·4·7)」で繰り広げられるドタバタ劇、 そして現実世界(5·6)を舞台にしている過去の恋愛等を自分なり(マイペース)に更新していく予定ですのでお気軽にクスクスと笑いながらお楽しみ頂ければと思います。 こちらの作品は「エブリスタ」にも掲載しています https://estar.jp/novels/26278127
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Chapter: 3. 「異世界ほのぼの日記」90
-90 解体の最中- 牛筋煮込みご飯を振舞う御厨の横でネスタは内ヒラ肉の脂を丁寧に剥がし取り赤身肉をブロック状に切っていくと、手の空いたヤンチが特製のスパイスに漬け込み1面1面表面を数十秒ずつ焼いていった。 表面を焼き上げたブロック肉の粗熱を取り、林田警部拘りの冷蔵庫に入れる。ブロック肉を冷蔵している間に特製のソースを作る。フライパンに残った肉汁や脂をベースに赤ワインを加え煮詰めてアルコールを飛ばした後粗熱を取ってこれも冷蔵庫で冷やしていく。結愛「出来上がりが楽しみですね、赤ワインは・・・、あれ?」 結愛が持って来ていた赤ワインが全て無くなってしまっているので辺りを見回すと、先程の新郎新婦が何故か呑み比べを始めその中で結愛のワインまで呑んでしまっていた。結愛「うっ・・・、1本50万円したのに・・・。」光明「どんだけ高いワインだよ・・・、と言うよりどこにそんな金があったんだよ。」結愛「さてと・・・、少し席を外します・・・。」 嫌な予感がした結愛はそそくさに『瞬間移動』で何処かに逃げてしまった。光明「あっ・・・、最近家で安めの第3のビールばっかり吞んでると思ったらあんなに大きな買い物をしていたんだな。へそくりでもしてたのか?」 噂をしていると結愛が大きめの袋を持って戻って来た、袋の中身は全て赤ワイン。結愛「はぁ・・・、はぁ・・・、予約注文していて正解でしたよ。これなかなか手に入れるのが難しいワインなんです。」光明「そんなワインを何本も・・・、俺の嫁って一体・・・。」 頭を抱える光明を横目に冷蔵庫からネスタが出来立てのローストビーフを運んできて特製のソースと共に振舞った。ワインを全員に配ると皆噛みしめる様にゆっくり呑んでいった、勿論ローストビーフにぴったりだ。 御厨が先程のお釜からご飯を丼によそい、ちぎったレタスをふんわりと散らしてその上に薄切りにした肉を薔薇の花の形にすると上に刻み海苔を飾り見事な丼へと変身させた。 横には小皿に入った温泉卵が添えられている。それを見た林田警部と光が駆け寄って丼を掴み一気にかき込んだ。口いっぱいに入った料理を味わいながら2人は感動の涙を流している。林田・光「美味すぎる・・・、こんな贅沢な丼初めて。あ、ハモりましたね。」 まさか「あ、ハモりましたね。」まで被るまでとはと全員唖然としている、御厨は2人に温泉
Last Updated: 2025-03-25
Chapter: 3. 「異世界ほのぼの日記」89
-89 宴はまだ続くが- 裏庭にLEDによる照明を備えている林田家ではまだまだ解体しながらのBBQが続いている、全員飽きないのか箸が止まらない。御厨「先程結愛さんが取り出したサーロインのステーキが焼きあがりました。」 御厨が網の上で1口サイズに切っていくと全員が舌鼓を打ち、先程結婚したばかりの利通とドーラには厚めに切った1枚肉が渡された。利通「飲み込むのが勿体無い位に・・・。」ドーラ「咀嚼するのが嬉しくなる位に・・・。」2人「美味しすぎる!!」 ただ全員脂がくどくなってき来たのか、気分を変える為にネスタが解体したての牛肉を片手に提案した。ネスタ「赤身の美味しいもも肉にしましょうかね、脂が少ないから食べやすいはずだよ。」結愛「じゃあ私の方から、ランイチ(ラム)です。ランプとイチボに分けてお召し上がり頂きます。」 結愛が牛筋を境にイチボとランプに分けると受け取ったヤンチがイチボは焼き肉に、またランプはステーキにしていった。 今更だが、サラダとかは挟む必要は無いのだろうかという疑問を抱いてしまったガイ含む数名が気を遣い水洗いしたレタスや胡瓜、そしてトマトを使ったサラダを用意した。さっぱりと楽しめる様にドレッシングは青紫蘇の物を選んでいる。 光は口の中が脂で一杯になっていたので一応ビールで流し込んでいたのだが、気分的にさっぱりとした物を挟みたかったのでサラダを1皿受け取ると一気にかきこんだ。 ネスタ「続いては内ヒラ(内もも)だよ、これは少し時間が掛かるけどローストビーフにしようかね。今から作るからその間結愛さんお願いね。」結愛「分かりました、師匠!!」 いつの間にか大企業の社長である結愛に「師匠」と呼ばせているネスタ、この事には林田が少し焦りを見せたが結愛は当たり前の様に呼んでいる。どうやら牛の解体技術はネスタから学んでいる様だ。 そんな中、大量の牛筋が解体や整形の間に出てきたので御厨がこっそり仕掛けていた出汁に醤油等と一緒に入れて特製の牛筋煮込みに仕上げていくと瞬く間に殆どが無くなってしまった。それと同時進行でビールも無くなってきたので光が『瞬間移動』で自分の家の地下にある大型冷蔵庫からありったけの缶ビールを持参し、皆で呑み始めた。 林田は牛筋煮込みを食べながら涙ぐんでいた。林田「この優しい味付けがビールに合うな・・・、米にも合いそ
Last Updated: 2025-03-25
Chapter: 3. 「異世界ほのぼの日記」88
-88 宴の中で- 顔を少し赤らめ酒の力を借り深呼吸した利通は父親である林田警部にも見せた事の無い程の真剣な表情をしていた。 全員察したのか歓談をやめ利通の行動に注目して温かな表情で見守る、利通が進む先に佇むドーラが微笑んでその時を待っていた。 ドーラの前にしゃがみ込み、いつの間にか用意していた指輪を懐から出すともう一度深呼吸をしてキリっとした表情で切り出した。利通「ドーラ・・・、いや、ノーム・クランデルさん。ご存知の通り自分は普段からとても不器用なので非常に短いですが率直に言わせて下さい。貴女が部下として私の下に来て下さった時から決心していました、一生懸けて幸せにします。貴女の隣で朝を迎えたい、僕と結婚して下さい。」 全員の視線がドーラに集中する。ドーラ「一緒に働いたり遊んだりしている内に自分の人生で堂々と「一番楽しい」と思えるのが貴方といる時でした。貴方が思うような女になれるかどうかは分かりません、でも2人で幸せな時間や瞬間を増やしていきたいです。私みたいなエルフで宜しければ、喜んで御受け致します。」 利通がドーラの左手の薬指に指輪をはめると、そこら中から拍手喝采が起こり皆が涙を流しながら歓喜の声を上げた。 すると、赤ワインでほろ酔いになっているメイスが観衆の中から出てきた。メイス「林田利通さん、貴方はこちらの女性を妻として迎え、病める時も健やかなる時も愛し続ける事を誓いますか?」 皆がまさかと思っていたのだが、結婚の儀を始めたのだ。利通「誓います。」メイス「ノーム・マーガレット・クランデルさん、貴女はこちらの男性を夫として迎え、病める時も健やかなる時も愛し続ける事を誓いますか?」ドーラ「誓います。」メイス「Then, you kiss to the bride.」 2人は静かに近づきお互いへの優しさと愛情あふれる表情と共に口づけをした。メイス「アーク・ビショップの名の下に宣言します。今よりこの2人を夫婦とします!」 全員が魔力で紙吹雪やライスシャワーを行い、拍手で新たな夫婦の誕生を喜んだ。 そんな中で新郎本人は一人裏庭の出入口へと走り、出た途端に叫んだ。利通「よっしゃー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 林田は人生の大きな節目を迎えた息子の片腕を掴み高らかに上げさせた、堂々とした表情の利
Last Updated: 2025-03-25
Chapter: 3. 「異世界ほのぼの日記」87
-87 宴は続き- ネスタと結愛による黒毛和牛の解体は続いた、2人も調子が出て来たのかありとあらゆる部位がお目見えしていく。結愛「先程の肩ロースに続きましてリブロースのお出ましですよ、美味しく食べて下さいね。」 結愛が出てきたばかりのリブロースを受け取ったヤンチが目にも止まらぬ早業で焼き肉用のお肉に仕上げる。ヤンチ「実は今日の為に家で育てた果実を使ったタレを持参して来ました、タレ漬け焼肉にしますので板長お願いします。」 御厨板長はヤンチに今日は仕事を忘れさせる様に伝えるべくあるルールを作っていた。御厨「ヤンチ・・・、今日の俺達は休みだ。という事は分かってるよな?」ヤンチ「わ、分かったよ親父。」 ヤンチは御厨の事を仕事の時以外は昔の様に『親父』と呼んでいた。両親の顔を知らない孤独なウェアタイガーだったヤンチは、美味い食事を与えた御厨を本物の父親の様に慕い、自分も美味い料理を作りたいと御厨の下で言葉と料理を勉強し続けている。今となっては立派な板前、いや花板と言っても過言ではない位の実力を持っているが決して驕らず一途に料理を探求し続けていた。 そのヤンチが自ら持参したタレで肉に味付けをする、それには師匠であり育ての父の御厨も興味津々だ。御厨「ヤンチ・・・、俺も食って良いか?」ヤンチ「良いけど・・・、不安だな。」御厨「自分の料理に自信を持て、お前は仕事の時も自分が納得していない味の料理をお客様に出しているのか?」ヤンチ「それは・・・、ないけど・・・。」御厨「本当か?迷いがある言葉だな。」ヤンチ「自分ではまだ発展途上だと思っているからかな、でもこのタレは素材から全部作って味見をしながら作った。」御厨「汗と涙の結晶か。それじゃ何故不安になるんだ、是非俺にも味わわせてくれ。」ヤンチ「いや・・・、あの・・・。」 御厨がタレ漬けにしたリブロースを自ら焼き1口食べる。御厨「ぐっ・・・、かっ・・・。」ヤンチ「だから不安だったんだよ、親父唐辛子苦手だろ。」御厨「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」 辛い物が大好きなヤンチはビールや白飯に合う様に自宅で育てた果実と一緒にハバネロやブート・ジョロキア、そしてトリニダード・スコーピオンと言った様々な唐辛子を加えていた。 御厨は白米とビールの両方を一気に煽り、何
Last Updated: 2025-03-25
Chapter: 3. 「異世界ほのぼの日記」86
-86 超新鮮で大胆なBBQ- ガイの軽トラで1頭買いした黒毛和牛を林田家の裏庭へと運ぶと、今か今かと待つ人々が歓声を上げていた。その中には光が招待した結愛社長もいる、現場には大きなまな板と綺麗な包丁などが並べられ解体の準備がされていた。 丁度その頃、焼き肉屋の御厨板長と板前をしているウェアタイガーのヤンチが到着した。御厨「今夜はご招待頂きありがとうございます、ただ私達も召し上がって宜しいのでしょうか。」光「勿論です、お2人も楽しんで行って下さいね。」ヤンチ「さてと・・・、早速解体していきますか。」女性達「私達も是非手伝わせて貰おうかね。」 声の方向に振り向くとエプロン姿をしたネスタ林田、そしてまさかの貝塚結愛がいた。ヤンチ「お2人さん・・・、本気ですか?」ネスタ「あら、私はドワーフだよ。舐めて貰っては困るね。」 昔からドワーフの一族は身のために色々な技術を何でも習得するという伝統があった、牛肉の解体技術もその1つだ。ヤンチ「でも何で社長さんまで?」結愛「実は私も見分を広げる為にドワーフの方々から勉強させて頂いているんです、牛肉の解体もその1つです。」ネスタ「では早速やりますかね。」 鮮やかな手つきで3人が解体を進めていく。骨と骨の間に包丁を入れていき、スルッと肉が剥がされていった。結愛「さてと・・・、最初から贅沢に行きましょうか。鞍下、肩ロースです。丸々1本だからとても大きいでしょう。」光「涎が出てきちゃってるよ、早く食べたいな。」御厨「さぁ、焼肉にしていきましょうか。」 結愛から受け取った大きな塊を御厨が丁寧に肉磨きと整形をして焼肉の形へと切っていく。20kgもの塊が沢山の焼肉へと変身した。御厨「では、焼いていきましょう。ヤンチ、すまんが整形を頼む。」ヤンチ「あいよ、プロが2人もいるから解体は大丈夫そうですもん。」 御厨が炭火の網の上に肉を乗せ焼いていった、そこら中にいい香りが広がる。光「この匂いだけでビールが行けちゃいそう。」御厨「さぁ、焼けましたよ。塩と山葵でお召し上がり下さい。購入されたご本人からどうぞ。」光「塩と山葵がお肉の甘みを引き立てて美味しい!!」 光がビールを一気に煽る、何とも幸せそうだ。作業中の結愛やネスタ、そして焼き肉屋の2人にも振舞う。結愛「たまりませんね、ビールが美味しい。」光「今日
Last Updated: 2025-03-25
Chapter: 3. 「異世界ほのぼの日記」85
-85 大金の使い道-光は林田警部と今夜の打ち合わせを進めて行った。林田(電話)「どうしましょう、私が何処かお店を予約しておきましょうか。」光「いや、食材や料理を持ち寄りどこかで集まりませんか?一先ずメイン食材は私にお任せ下さい。」林田(電話)「分かりました、では私の家の裏庭に集まりますか。」光「あの・・・、今から食材を注文しますので「あの2人」に連絡をお願い出来ますか?」林田(電話)「ああ・・・、「あの2人」ですね。お任せ下さい。」 光には幼少の頃から夢があった、それには大金が必要だった。レースの払い戻しにより自他共に認める大金持ちになったのでその夢を叶えてやろうとした、元々この異世界に来た時に神様に大金を渡されていたが隠していたがこれで堂々とこの大きな買い物が出来る。 ただ自分の愛車は今回使用するのに2台とも厳しかった上にレース中にビールをがぶ飲みしていたのでガイにお願いして軽トラを出して貰うにした。勿論お礼としてこの後の呑み会に招待している。(※飲酒運転、ダメ、絶対!!)一応、この為に『作成』した『強化』でこっそり車をカスタマイズしてはあるのだが・・・。光「乗るかな・・・。」ガイ「そんなに大きい買い物をするのかい?」光「そうですね・・・、値段的にも大きさ的にも・・・。」 少し不安になりながらとある場所へと向かった。 街から出て20分程、目的地へと着くとガイの顔が蒼ざめた。ガイ「光ちゃん、冗談だろ・・・?あれ・・・、買うのか?」光「買いますよ、子供の頃からの夢ですから。ああ・・・、興奮してきました。」ガイ「それにしても乗る・・・、かな・・・。」光「大丈夫ですって、私にお任せ下さい。」 店に入ると店主が笑顔で2人を出迎える、店の名前が刺繍された茶色いエプロンには所々シミが付いている。何故かプニに似て少しチャラい。店主「いらっしゃいませ、何に致しやしょう。」光「あの、予約していた吉村ですけど。」店主「これは失礼、吉村様ですね。お待ちしておりました。」 店主は光の名を聞くと何故か襟を正し2人にキャップを渡した。店主「こちらを被ったら奥へどうぞ。ただ吉村さん・・・、本気ですか?」光「勿論、夢が叶う瞬間です。駄目ですか?」店主「いえいえ、私はとても嬉しいのですが何せ初めてなものでして。」光「私もです、ドキドキして来ま
Last Updated: 2025-03-23
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