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第16話

俊一の年齢が、彼にとって最も強力な保護となった。

彼はすぐに家に戻ってきたのだ。

「このクソ女!!」

彼は私に飛びかかり、取っ組み合いが始まった。

俊一は体が大きくても、まだ大人の力には及ばない。

私はすぐに彼を押さえ込んだ。

抑えきれない怒りと悔しさをこめて、拳を彼に叩きつけ続けた。

帰宅したばかりの両親に止められなければ、本当に彼を殺していたかもしれない。

私は家族に囲まれている俊一を冷ややかに見つめ、内心では何も感じなかった。

どれだけ悪事を働いても、どれだけひどいことをしても、許され守られる人がいる。

それが「男の子」であり、ただその理由だけで。

顔を殴られ青紫になった俊一は家族の関心を一通り受けた後、またしても得意げに振る舞い始めた。

「中村静香、どこに行ったんだ?あの女のせいで、俺がこんな目に遭ってるんだぞ」

「怒らないでね。あの子ならもうとっくに追い出しておいたよ。小さいくせにうちの俊一を誘惑するなんて、ろくな大人にならないに決まってるからね。毎日、彼女の家の前で悪口を言ってやったのさ。おかげで近所中があの子がどういう子か分かってるよ」

「なんだって??」

二人の男の声が同時に響いた。一人は驚愕で、もう一人は怒りの色を含んでいた。

父は自分の母がそんな厚顔無恥なことをしていたとは思いもよらなかったから驚いていた。

そして俊一は、「彼女を追い出しただと?じゃあ、これからどうやって楽しめって言うんだよ」

ずっと黙っていた母は、顔色がみるみるうちに青ざめ、生気が抜けたように信じられない思いで自分の息子を見つめていた。

彼女は子供が間違いを犯しても、時間をかけて導いてあげれば立ち直れると信じていた。しかし、ヤコブ症候群の影響を甘く見ていたのだ。

「性根が腐っている人間が、変わるなんてありえない」

「おせっかいなババアが、余計なことしやがって」

私はこの奇妙な家族のやり取りにもう飽き飽きしていたので、振り返ることなく自分の部屋に戻った。

ドアが閉まった瞬間、足の力が抜け、私はその場にしゃがみ込んだ。

俊一が刑務所に入らないということは、いつかまた彼に殺される運命にあるということだ。この家の中では、いつか命を落とすか分からない。

まだ俊一にどう対処するか考えがまとまらないうちに、今度は母に異変が起きた。
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