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第24話

由美子は悲鳴を上げた。

顔の痛みに歯を食いしばりながら、慌てて手を顔に当てた。

血!

手のひらは血で染まり、鮮やかな赤が目に刺さる。

「お前......お前......」由美子は信じられないという表情で目を見開き、声が震えた。「雪村、このクソ女、私の顔を切り裂くなんて!」

「ふん!」

今度は、私が冷たく笑い返した。

そして、もう一刀。

先ほどの傷と合わせ、彼女の顔に完璧な「バツ」が刻まれた。

私は口元を嘲笑でゆがめた。

ぴったりだ、この由美子にはお似合いの傷。

由美子は完全に呆然としていた。

ようやく反応すると、怒り狂ったように私に襲いかかろうとした。「雪村、このクソ女!殺してやる!」

私は一歩後退した。

ドスン!

由美子はまだ腹の傷が治っておらず、立つことができず、そのまま地面に崩れ落ちた。

私は一歩前に進み、しゃがみ込んで彼女の襟を掴み、ナイフを再び彼女の顔に押し当てた。

「榊、お前はいつも自分が高貴だと自慢して、私たち普通の人間を見下してきたけど......

でもな、お前の母親は教えてくれなかったのか?『失うものがない者は恐れるものもない』ってな。お前みたいな『陶器』が、私みたいな『瓦』とぶつかる覚悟があるか?」

「殺してやる......殺してやる......」

由美子は泣きながら髪を乱し、絶望と怒りに震えていた。自分の顔が私に傷つけられた事実を受け入れられないのだ。

その騒ぎはすぐに葉山家の人々を集めた。

大和もその中にいた。

彼は驚いた顔をしていた。

昨日、クラブで見た私は男を弄ぶ小悪魔のような姿だったのに。

しかし、今......

私の目は冷酷で、全身に殺意をまとい、髪は風に乱れながらも威圧感を放っていた。

同じ美しさだが、今は戦いの美。

二つの対照的な顔を見て、彼も私を理解できないようだった。

私の手にはナイフが握られており、誰も近づけない。大和は低い声で命じた。「雪村、由美子を放せ!」

私は振り返り、冷たい視線を彼に向け、まったく恐れずに言った。「彼女を放してほしいなら、私の息子の骨を返して」

「いいだろう!」

大和は手下に目配せした。

手下はすぐに手配に走った。

「もう放していいか?」

「......」私は彼を見つめながら、少し躊躇した。

大和が約束を守り、私の息子の骨を返して
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