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第23話

目に涙が滲み、もう抵抗することをやめた。

もしこれで彼の怒りが収まるのなら......それでいい。

拓真は狂ったように私の腰を掴み、私たちは乱暴に絡み合った。

体が上下に揺れ、まるで大海をさまよう迷子の小舟のように、私は痛みと快楽の狭間で溺れ続け、視界がぼやけていく。

そして、拓真が疲れ果てたように、私の上に崩れ落ちた。

しばらくの静寂の後、彼は低いかすれた声で突然尋ねてきた。

「鈴......最初から最後まで、お前は俺を好きになったことがあったか?

少しでも......」

私は涙を浮かべながら、唇を噛んで答えを飲み込んだ。

言葉にはできなかった。

拓真はそのまま去っていった。

私は力なく肩を抱き、暗闇の中で身を丸めた。

分かっていた......これで私と彼の関係は終わったんだと。

......

翌日、私は別荘を出て、適当に借りたアパートに移り住んだ。

落ち着いてから、服の中に果物ナイフを隠し、こっそり葉山家に忍び込んだ。

今や由美子と拓真の結婚は形だけのものになっていた。

由美子は子宮を摘出したばかりで、葉山家に戻り、千代子に世話をしてもらっていた。

私は彼女を追い詰めて、息子の骨を取り返すつもりだった。

周りの気配に気をつけながら、由美子に近づいた。

その時、彼女は庭で毛布を膝にかけ、日光浴をしていた。

昨日に比べて顔色がずっと良くなっている。

当然だろう。

私という脅威を排除し、拓真との関係も清算した彼女は、勝ち誇ったような顔をしていたのだから。

「ちょっと、ジュースを持ってきてくれる?」その時、由美子が後ろに立っているメイドに命じた。

「かしこまりました、お嬢様」メイドはすぐに返事をし、急いでその場を去った。

これで由美子は一人きりになった。

周囲を見回しながら、私はそっと彼女に近づいた。

「ジュースはどうしたの? 早く......」

足音に気づいた由美子が振り返って文句を言いかけたが、言葉が途切れた。

冷たいナイフが彼女の喉元に押し当てられていたからだ。

由美子の顔色が一瞬で変わった。

だが、私の顔を確認すると、彼女は笑みを浮かべ、まるで怖がる様子もなく、嘲笑するように言った。

「おやおや、これは大物の雪村じゃないか。

どうした? 旦那に捨てられて、今度は私に八つ当たりか?」

彼女の挑発
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