第66話

高橋直步の言葉が終わると、大画面には当時森本家の人々が高橋健介の責任を追及した際、病院が出した傷害報告書と、顔が映っていない傷の写真が映し出された。

大小様々な傷跡が交錯し、見るに堪えない惨状だった。

「これは私の生母が高橋村から逃げ出し、亡くなる前に森本教授が病院に依頼して出された傷害報告書です」高橋優子は傷害報告書の重要な部分に赤線を引きながら説明した。「身体中に大小様々な新旧の傷があり、28カ所の骨折の跡が見られ、頭蓋骨には外傷による小さな欠損があります」

「これは警察が撮影した、私の生母が生前高橋家に監禁されていた場所です」高橋優子は再び大画面に映し出された新しい写真に視線を移した。

大画面には、警察が捜査のために撮影した、カビの生えた湿った地下室が映っていた。

中には血痕のついたベッド、鉄の鎖、そして壁には高橋優子の生母が引っ掻いた血の跡が至る所に残されており、見る者の心を打つ凄惨な光景だった。

「私の生母は16歳で高橋村に連れてこられ、17歳で私を産みました。その間、彼女は絶え間なく妊娠を強いられ、出産させられてきました。生んだ子供が女の子であれば、産婆は生母と私の目の前でその子を叩きつけて殺すか、熱湯で焼き殺すのが常でした。そのため、生母は精神を病んでしまいました」

森本家族が高橋優子の生母に与えた身分によると、彼女は16歳で連れ去られたことになっていた。

しかし実際には、高橋優子の生母である森本彩花は15歳で連れ去られ、16歳になる前に最初の子供である高橋優子を産んだ。

「私の生母は十数年間、暗闇の地獄の中で生き続け、命が尽きる時にようやく解放されたのです」高橋優子はマイクを握りしめながら、「高橋家の一人一人が私の生母を地獄で苦しめた悪魔です。私と高橋直步もその例外ではありません。なぜなら……私たち二人とも、高橋家族が私の生母を迫害した証拠だからです」

「証拠そのものは無実ですが、それでも証拠は証拠です。人間として最低限の良心があるならば、どんな理由があっても、被害者である森本教授をこれ以上苦しめるべきではありません。もしそうでなければ、いわゆる親探しの本当の目的が森本教授の財産を狙うものであることは明らかです」

携帯の画面に映った冷静に過去を語った高橋優子を見ながら、渡辺綾子は目の前で公の箸で煮物の野菜をみんなの器に分けている